やっぱり決済端末が好き-1.0(後編) 〜 無人販売・省人化を後押しする決済端末も。思わず唸ってしまうこの画面ギミックに刮目せよ

全3回に渡ってお送りしてきた『リテールテックJAPAN 2024』会場レポートも最終回。後編ではソリマチ技研、Castles Technology、Newland Payment Technology、ネットスターズの展示から紹介する。筆者が思わず2度見してしまった画期的な決済処理画面も、動画で掲載しているのでご注目いただきたい。

ソリマチ技研が「犬」推しなブランドでクラウド決済に参入

 ソリマチ技研といえば、決済業界においてはPOSや決済端末のインターフェース標準からドライバソフト、ミドルウェア、アプリケーション開発などに実績のある企業として有名だが、これらはいわば“黒子”としての活躍。消費者やお店からすれば、これまであまり見えてこなかった企業ともいえる。
 これ対して、今年のソリマチ技研のブースでは様相の異なるサービスが紹介されていた。クラウド型の簡易無人店舗向けのセルフチェックアウトシステムで、昨年のリテールテックJAPANでは「参考出展」の扱いだったが、今年2024年から提供を開始する。サービス名は「UNITE cloud ONE(ユナイト・クラウド・ワン)」。ここでの「ワン」は、「端末1台で決済までできる」ことに加えて、「犬」とかけたという。(だから、サービスのロゴもすべて犬のイラストに統一されている)
 一般的なAndroidスマートフォンに搭載可能なPOSソフトで、バーコードによる商品スキャンから、会計までを処理できるようになっている(写真1、2)。支払いにはクレジットカードなどのオンライン決済が利用できる。利用者が自身で操作を行う無人店舗での利用をイメージしているという。

写真1 Androidスマホをセルフチェックアウトシステムに活用できる

写真2 商品を選んでカートに入れていき、最後に決済を行う流れ

 同様に、専用のモバイル端末を通じた決済サービスも提供する(写真3)。こちらは接触ICや非接触IC、カメラなどの専用機器が内蔵されているので、決済のゲートウェイセンターと接続することで、一般的な決済端末として利用が可能だという。それ自体は珍しくないのかもしれないが、ソリマチ技研が提供する点に新しさを感じた。

写真3 こちらは決済端末向け。端末はPAXのA920だが、アプリケーションは写真1と同じものに見える

 ソフトウェア開発を得意とする同社らしく、思わず筆者が唸ってしまったギミックを動画で紹介したい。決済端末でカード決済を行うと、利用明細がレシートプリンターから発行されるのが一般的だが、その際に端末画面内に表示されたレシート画像が紙のプリントに合わせて「上にスライドする」のだ。
 何を言ってるのか、何が画期的なのか意味不明だと思われるが、見ればすぐにご理解いただけるので、ぜひ下の動画を見ていただきたい。

端末管理サービスやCOTS決済支援にも進出するCastles Technology、SATURNの3色カラバリも!

 台湾の決済端末メーカーであるCastles Technologyのブースでは、日本のお店でも本当によく見かけるようになった端末ラインアップ群を展示していた。
 同社の決済端末カタログには、既設置済みのタイプとして、ハードウェアボタンでLinuxベースの端末が存在するが、この数年のうちに新たに登場してきたラインアップはすべからくAndroidベースに入れ替わり、筐体も全面ディスプレイのスタイリッシュなものへと移行が進んでいるという。そのことはブース展示の様子からも明らかだった(写真4)

写真4 SATURNの第2世代は3色展開(上段)。ハードウェアボタン型の新機種リリースが予定にあるのは地味に嬉しいところ(下段のV1M)

 一方で、決済端末メーカーにとってはデバイスの汎用度合いが増すほどに、筐体デザインや操作性、はたまた価格競争力以外の部分で他者との差別化を図ることが難しくなってくる面があるだろう。
 そうした環境変化も意識して提供しているのが、同社の決済端末をネットワークで結ぶことで、クラウドを通じたデータ活用や制御が可能になる端末管理サービスの「CASHUB Solution」である(写真5)。端末の監視やソフトウェアの更新、リアルタイムでの技術サポートなどで、決済システムの運用業務を支援する。

写真5 Castlesが提供する端末管理サービス

 また、スマホやタブレットなどの汎用デバイス(COTS)を用いた決済サービスの提供にも積極的に関与する。同社では今年3月末までにPCIが定める「MPoC(Mobile Payments on COTS)」のライセンス取得を目指しており、SDKを提供する形でCOTS決済の裏側を支える仕組みを提供していきたい考えだ(写真6)
 同社が狙うCOTS決済の利用シーンとしては、中小規模の個店というよりは、大型店舗でのレジ捌きを効率化するためのサブ端末として店員が携行する用途を主に想定しているとのこと。決済端末「メーカー」としてのCastlesの事業モデルが大きく変わっていきそうな、業態の変化を感じさせる取り組みともいえる。

写真6 MPoCは、COTS決済向け規格である「SPoC」と「CPoC」を統合する規格

写真7 台湾のマンション駐車場に採用されているEV充電スタンドでは、車のナンバープレートを識別し、自動決済。Castlesの提供する決済端末が採用されている

2年連続参加の中国・NPT。ネットスターズはセルフ&モバイルオーダー端末を提案

 昨年、2023年にリテールテックJAPANへ初出展した中国・Newland Payment Technology(NPT)。お客向けと店員向けに分かれた2画面ディスプレイが印象的な「X800」(写真8)や、Android12ベースの最新モデル「N950」をはじめ、モバイル型や無人機対応型など多様なバリエーションを披露していた。

写真8 ポータブルPOSシステムと銘打たれた「X800」

 「N950S」(写真9)はN950の筐体サイズをひと回り小さくした(画面サイズはN950の5.99インチに対し、N950は5インチ)コンパクトモデル。基本的な性能はそのままに、小型化と低コスト化を目指したという。

写真9 N950のコンパクト版にあたる「N950S」

 コード決済をはじめ、電子マネーやクレジットカードなどの決済を利用可能にするゲートウェイサービス、「StarPay(スターペイ)」を提供するネットスターズのブースでは、行列解消と省人化につながるソリューションとして、セルフオーダー式の「StarPay Order(スターペイ・オーダー)」を紹介していた(写真10)
 店舗に設置したキオスク端末からの注文に対応するだけでなく、利用者のスマホからのモバイルオーダー(オンライン予約を含む)にも対応。メニューの多言語対応が特長のほか、WeChat Pay、Alipay、JKO Payなど中国、台湾からのインバウンドが利用する決済手段に対応しているという。イオンシネマ、不二家洋菓子店などでの採用実績がある。

写真10 セルフオーダー式の「StarPay Order」

写真11 ファミリーマートが今年2月から導入している「多機能型床清掃ロボット」は、ネットスターズの提供

 

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【記事バックナンバー】やっぱり決済端末が好き in 『リテールテックJAPAN』
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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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