【レポート】中小規模加盟店に対して「大企業並みのサポート」をアピールするSquare 、「Apple Pay」普及で 磁気カードリーダーは今後どうなる?

 

 

2014年9月18日、スマホ決済サービスを提供するSquare(スクエア)の日本法人は、東京都内で報道陣に向けて事業戦略説明会を開催した。会見には米国本社Square, Inc.でジェネラル・カウンセルを務めるダナ・R・ワグナー氏(写真1)が出席し、「当社の提供するSquareリーダーは、中小企業に対し、大企業並みの安全・サポート体制を提供する」ことをアピール。NFCやEMVへの対応方針などについても言及した。また説明会は、事業展開上のパートナーである三井住友カード(以下、SMCC)の担当者も同席して行われた。
 同説明会より、ダナ・R・ワグナー氏のコメントを紹介する。

写真1 Square Inc. ジェネラル・カウンセル ダナ・R・ワグナー氏

写真1 Square Inc. ジェネラル・カウンセル ダナ・R・ワグナー氏

●決済にとどまらず、「在庫」「売上」「顧客」の情報管理までサポート
「Squareリーダー」(スマートフォン、タブレットに装着して使用するカード読み取りデバイス)のサービスを北米以外に初めて提供する国、それが日本である。日本は最先端技術の国であり、また、中小事業者が非常に多いとの理由から、北米の次に日本を選んだ。Squareの世界に対するミッションは、これまで審査やコスト面でカード決済を導入できなかった中小企業に簡易に低コストでカード決済を導入し、利便性を提供することである。このSquareの掲げるミッションと、日本企業の特徴が合致した結果である。

Squareリーダーは、スマートフォンのイヤホンジャックに差し込み簡単な登録を済ませることで、すぐに決済端末としてカードの利用を受け入れられるようになる。昨今では、低コストで簡易に導入できるだけでなく、在庫の管理、売上の管理、顧客の管理までもが可能になった。他方、こうしたサービスの広がりにより、加盟店の細やかな情報がSquareに蓄積されていく。この蓄積された情報を用いることによって、Squareの提供するサービスの質や対応可能な幅はさらに広がるという構図がある。

写真2はある平日の午前中に、アメリカ国内で使用されたSquare決済のプロット図である。円の大きさが取引額。色が業種を示している。Squareは1つの地域に限定されたサービスではなく、全米で使用されている。大都市のみならず、地方でも使用されているため、さまざまな情報が蓄積される。この情報を用いて、加盟店をサポート、あるいは加盟店を守ることに活用していくために、どのようにすればよいのかをお話ししたい。その答えの一端としては、これらの情報を加盟店に戻すことにより、活かしていくことがある。

写真2 Squareのプロット図

写真2 Squareのプロット図

●店舗の業務効率化や、カード不正取引の防止にも貢献
写真3は、加盟店側から見たダッシュボード画面である。このボードから加盟店の事業状況について、人気商品、取引件数、来客件数、使用金額などが確認できる。従来こうした情報にリアルタイムにアクセスできるのは大手の小売チェーン店に限られていた。この大手のみが持ち得たのと同じ情報を、Squareでは小規模事業者に対して提供する。

例えば、Square導入以前のあるカフェでは、かつていくつのカップを洗浄したかによって売上個数を特定していたが、Square導入後はこのダッシュボード画面から、一目で売上数が特定できるようになった。決済時のデータを利用しているため、正確な数が数えられ、また従来カップを数えることに割いていた時間が短縮できるのである。

写真3 Squareのダッシュボード画面

写真3 Squareのダッシュボード画面

また、Squareは加盟店に対し、不正な取引などを事前に防止できる安全性も提供する。ビジネスをより良く改善するために使用するデータは、そのビジネスの取引を安全に守る情報となる。そのため、コンピュータシステムやSquareのアナリストが週7日24時間監視し、怪しい決済があれば、取引される前に止めることで対応が可能だ。

では、どのようにして不正な取引から加盟店を守るのか。写真4は取引の記録を示したものだが、これには位置情報が含まれている。従来、他の金融機関(の提供するサービス)では決済が行われた位置情報を特定することはできなかったが、Squareではタブレットやスマートフォンを介して容易に入手することができる。

写真4 Squareの取引記録

写真4 Squareの取引記録

これを使えば、例えば同一のカードが同一の時刻に、まったく違う2つの場所で決済が行われた際には、すぐに加盟店に確認を取り、その取引が安全なのかどうか判断することが可能である。
また、Squareを導入していたある美容院の例では、決済の行われた場所が約1カ月後に移動するという現象が起こった。美容院において、決済の行われる場所が変わることは通常では考えられない。SquareではアナリストやSMCCが常に監視することにより、早々とこの異変に気付き、問題がないのか加盟店に確認することが可能となっている。このように、位置情報を不正対策に使用できるのは、他の金融機関にはないSquareの強みである。

●Apple Payで注目高まる「NFC」や、「EMV」にも今後対応予定
Squareは、黒子として、Squareリーダーの決済情報を用いて事業者を守ることができる機能を有している。監視しているアナリストからも、お客のカード番号は下4桁しか確認することができないなど、セキュリティ面ではPCI DSSのレベル1に準拠した仕様となっている。

さらにSquareは、前記したような加盟店の手助けだけではなく、加盟店の先にいる消費者に対してまで、間接的に利便性を提供できる。現在、電子決済サービスの領域では、NFCやQRコードなど多岐にわたる決済方法が生まれている。そうした中で消費者は、今後、各々の価値観から決済方法を選択する可能性がある。もし加盟店が消費者の選んだ決済方法に対応していない場合には、消費者は支払いを諦め、加盟店は大事な機会を失うことになるだろう。

その一例として、Squareでは、日本時間9月10日に米・Apple社から発表された「Apple Pay(アップルペイ)」の動向にも注目している。Appleの市場参入により、NFCを用いた決済サービスが普及してきた暁には、Squareも早急にNFCに対応していきたいと考えている。同様に、EMV(接触IC方式)についても、普及状況を見ながら、今後対応していく予定である。
それが消費者や加盟店にとって「必要な決済」ということであれば、どのようなものであれ、Squareは必ず使える環境を提供していく方針だ。

 

[2014-10-06]

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ePayments News

日々、電子決済サービス関連各社のプレスリリース発表を泳ぎ回り、秀逸なニュースを集めて紹介する電子決済研究所のスタッフ。ほぼ人力のボット。

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