[9/24] 消費者委員会が決済代行業の規制を検討

9月24日、内閣府消費者委員会は東京・千代田区の山王パークタワーにて第35回となる会合を開き、決済代行業の現状把握と課題解決に向けた議論を行った。

決済代行業に関する説明者として招かれたのは、山本国際コンサルタンツ代表の山本正行氏と、京都産業大学大学院法務研究科教授で弁護士の坂東俊矢氏の2名。

山本氏は「クレジットカードの仕組と決済代行業者の位置づけ」のテーマで、主に国際ブランド取引における決済代行業を介したクレジットカード取引の特徴や、サービスの実情、課題と対策などについて論点を整理した。特に「クロスボーダー取引」と呼ばれる、アクワイアラや決済代行業者が海外の事業者であるパターンの分類や、それに対する国際ブランドのスタンス、チャージバックの仕組みと実施状況などを解説した上で、考えられる対策と課題についてコメントした。

一方、弁護士の坂東氏は、実際に決済代行業により金銭的被害を受けた消費者の相談案件に日々対応している立場から、カード取引に決済代行業が介在していることが消費者から見えにくい(自身の取引相手となる加盟店がカード会社と契約しているのか、代行業者と契約しているかが不明)点や、国外に本社のある決済代行業者のわかりにくい規約例などを紹介。決済代行業者の中でも、宅配便の集金のような流通型のケースを除く、ネット上での取引や海外に本社機能を有する決済代行業者に課題があると述べた。

坂東氏は結論として、大きな法改正ではなく政令の改正などにより実行できる部分として、①決済代行業者に対する「登録制」の実施、②インターネット上でのオンライン決済時、決済代行業者に関する情報を画面に掲出する「表示義務」――の2点を挙げた。その上で、将来的には資金決済法の改正を含め、消費者が利用する決済手段を横断的に規律する「消費者決済(保護)法」の立法を検討すべきとした。

近年、決済代行業が介在するクレジットカード取引では、出会い系サイトや占いサイト、アダルトサイトなどでの詐欺的被害やトラブルが増えている。近畿弁護士連合会(近弁連)が昨年、インターネット関連のトラブルを調査したところ、全500件のうち107件(21%)が決済代行業の関係する内容だったという(そのうち解決できたのはわずか14件)。
こうした実態を受け、近弁連では昨年、決済代行業者に関する提言(決議)を行っている。

●第29回 近弁連大会 (2009/11/27 於:京都)
第2決議 クレジットカードに対する消費者の真の安心と信頼を確立するための割賦販売法の改正を求める決議
http://www.kinbenren.jp/declare/2009/k20091127-02.pdf

【ePayments.jp管理人のコメント】
確かにネット上でカード決済する際に、決済代行業経由の場合にはその会社のロゴマークや連絡先が表示されるステップがあると、利用者にとっては安心かもしれませんね。
ところで当業界人の間では、溜池山王にある山王パークタワーといえばNTTドコモの本社と連想する方が大半だと思いますが、同じビルに「消費者庁」および「(内閣府)消費者委員会」が入っていることはまったく知りませんでした。
省庁関連の検討会は、これまでもカードや決済に関係のあるテーマについて傍聴する機会は多々ありましたが、ふだん仕事でご一緒している方が招かれるケースは初めて。いつもより緊張感のある会合となりました。
冒頭、就任早々の岡崎トミ子 内閣府特命担当大臣による挨拶などもあり、貴重な消費者委員会初体験でした。(多田羅)

追記:

関連資料および当日の模様(動画・90分以上)が消費者委員会のホームページで公開されています。

About Author

ePayments News

日々、電子決済サービス関連各社のプレスリリース発表を泳ぎ回り、秀逸なニュースを集めて紹介する電子決済研究所のスタッフ。ほぼ人力のボット。

Comments are closed.