[6/18] デビットカードの処理コストは現金の4倍と試算(UK)

イギリスの流通小売団体であるブリティッシュ・リテール・コンソーシアム(BRC)は6月15日、今年5月に誕生した新政権に対して、「銀行が流通小売店や消費者に対してかけている過大な費用負担を止めさせるべき」との声明を発表した。

BRCの調査によると、流通小売店が現金の取り扱い1件当たりにかける平均的な費用は2.1ペンス(約3円)。これに対してデビットカードでは1件当たり8.5ペンス(約11円)、クレジットカードの場合には34ペンス(約46円)であることがわかったという。(※1ポンド=135円で換算)

こうした経費は「ハンドリングコスト」と表現されるが、一般的に釣り銭の受け渡しミスや、店舗内での安全管理などに負担のかかる現金のほうが、キャッシュレスなカード決済に比べてハンドリングコストは大きいと考えられてきた。つまり、ハンドリングコストの優位性こそ、カード決済をはじめとするキャッシュレス化のメリットの1つであった。
今回のBRCの発表は、そうした業界の常識に一石を投じるものである。

特に今回、槍玉に挙がったのはデビットカードである。デビットカードは立替払いなどのファイナンス機能を持たないため、クレジットカードと比べても現金との機能比較がシビアなサービスといえる。当然、デビットカードのハンドリングコストにはお店がカード発行銀行に支払う加盟店手数料が含まれており、BRCの声明もまさしくそこに向けられている。

BRCによれば、お店が支払うデビットカードの手数料は年々高騰しており、この5年間でほぼ2倍になったという。英国では近年、デビットカードサービスと非接触ICカード、もしくはモバイルペイメントとの連携が進んでおり、これらの技術革新による利便性向上により、今後デビットカードのマーケット規模はさらに拡大すると予想される。今回のBRCの公式見解は、それを牽制するものとしても業界に受け止められそうだ。


■The British Retail Consortium(BRC)のホームページ
http://www.brc.org.uk/

About Author

ePayments News

日々、電子決済サービス関連各社のプレスリリース発表を泳ぎ回り、秀逸なニュースを集めて紹介する電子決済研究所のスタッフ。ほぼ人力のボット。

Comments are closed.