「デジタル通貨フォーラム」で小売への活用やウォレットセキュリティなどを検討する分科会が活動開始

 昨年11月に発足した「デジタル通貨フォーラム」(座長:山岡 浩巳・フューチャー取締役)の事務局を務めるディーカレットは2月9日、同フォーラムが第1回、第2回の会合を実施したことを報告した。同フォーラムには、銀行、小売、運輸、情報通信など50社以上の企業、有識者、オブザーバーとして関係省庁が参加する。
 同フォーラムでは、提唱する「二層型デジタル通貨」の開発を進める一方で、その技術を用いた概念検証(PoC)をユースケースに応じて実施する分科会を設置する。最終的に17の分科会が活動を行う計画だが、昨年12月には「電力取引分科会」、「小売り・流通分科会」、「地域通貨分科会」、「ウォレットセキュリティ分科会」の4つの分科会が立ち上がり、すでに活動をスタート。2月にはさらに3つほど分科会の立ち上げを予定しているという(画面1)

画面1 分科会の組成状況

 4つの分科会の具体的な検討内容は以下の通り。

1. 電力取引分科会
「電力取引」のユースケースを想定し、対価の支払い・決済にデジタル通貨を適用したPoC(概念実証)の実施を通じて、当該ビジネスの実現性やデジタル通貨の有用性を示していくため、業務、技術、法制度等の検討を行っていく予定。
参加企業:9社

2. 小売り・流通分科会
小売り・流通分野におけるデジタル通貨の活用ケース、要件課題を明確化することで、デジタル通貨で解決できる可能性のある共通課題を特定し方向性を合意することを目指す。納品管理や物流など様々なセクターでの先行事例の共有を行いながら、スマートコントラクト(ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組み)を適用できる最適なパーツの検討を行っていく予定。
参加企業:12社

3. 地域通貨分科会
デジタル通貨による地域経済圏活性化のため、仕様を統一し、プログラマブルマネーの機能を十分に発揮出来る地域通貨の検討を行う。地域という括りではあるものの、小売・MaaS・保険等ユースケースは多岐に渡る可能性があるので、他の分科会とも情報共有をしながら検討を進めていく予定。
参加企業:31社

4. ウォレットセキュリティ分科会
デジタル通貨プラットフォームを安全に扱うためのセキュリティの基本要件を定めることを目的とし、利用時の秘密鍵管理、接続するシステム、KYCとユーザー認証方法の在り方、 プログラムや実行環境のセキュリティ課題と対策を検討していく予定。
参加企業:7社

 活動への参加費用については、検討フェーズではかからないが、PoCでは実施に応じて発生する費用を参加企業間で按分していく考え。例えば分科会で3カ月のPoCを実施する場合、約1,000〜1,700万円の支出が必要であれば、参加企業が5社の場合で1社あたり350万円の費用負担が発生する見込みだ(画面2)

画面2 費用の考え方

 なお、昨年(2020年)11月19日にデジタル通貨勉強会の最終報告書が発表された以降に、新たに同フォーラム参画した企業・団体は以下の17社・団体。(2021年2月8日現在)

あいおいニッセイ同和損害保険、インテリジェント ウェイブ、SBI ホールディングス、エナリス、auカブコム証券、片岡総合法律事務所、一般社団法人キャッシュレス推進協議会、xID、Securitize Japan、大日本印刷、日本住宅ローン、野村総合研究所、HashPort、阪急阪神ホールディングス、BOOSTRY、フューチャーアーキテクト、三菱UFJニコス

 

<関連URL>
日本におけるデジタル通貨の実用性を検討する デジタル通貨フォーラム全体会第1~2回のご報告 – ディーカレットニュース

メガバンク、電子マネー発行体が参画するデジタル通貨フォーラムが発足、各利用場面における「二層型デジタル通貨」の有効性検証へ | 電子決済マガジン(2020年11月25日)

 

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日々、電子決済サービス関連各社のプレスリリース発表を泳ぎ回り、秀逸なニュースを集めて紹介する電子決済研究所のスタッフ。ほぼ人力のボット。

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