国内MNOで初「残価設定型」でのスマホ販売を開始。サムスンの折りたたみ端末第2弾を皮切りに対象機種を拡大

スマートフォンの購入に、いよいよ「残価設定型」が登場した。5Gの本格商用化を控え、機能の拡充とは裏腹に端末価格の高騰も進み、今や10万円を超えるスマホも珍しくない。業界初をうたうKDDIが投入する、24回払いで支払って2年後に端末を回収、そこで新しい機種に乗り換えれば、月額では数千円の負担で最新のスマホが持てるという新プログラムは、消費者にどこまで受け入れられるだろうか。

18万円の折りたたみギャラクシーが「12万円の24回分割払い」に

 KDDIと沖縄セルラー(以下、「KDDI」)が2月21日から提供を開始するのは、「残価設定型」のスマホ購入プログラム「かえトクプログラム」(写真1)。自動車の販売ではおなじみとなった購入形態だが、KDDIによると国内の通信事業者(仮想通信事業者/MVNOを除く)がスマホの販売に適用するのは初めて。

写真1 月額プログラム料なし、au回線契約がなくても利用可能などの特徴がある

 24回払いを条件に、あらかじめ2年後にKDDIが買い取る際の価格を「残価」として設定しておき、本体価格から残価分を差し引いた額を割賦金額として販売する。残価は「最終回支払分」に適用されるが、支払い方法は2つから選択できる。
 1つ目はKDDI(au)の機種に買い替える場合で、端末を回収してもらうことで、支払いが不要になる(写真2)。2つ目は引き続き端末を利用する場合で、最終回支払分を一括、または24回に再分割して支払うことができる(写真3)。端末を回収するだけの場合には「下取り」の扱いとなり、残価との差額によっては購入者が不足金額を負担する。

写真2 13カ月目以降25カ月目までにauで端末を乗り換えれば「残価(=最終回支払分)」の支払いが不要になる

写真3 残価を再度、24回払いに設定することもできる

 例えば、端末価格が約18万円と高額な「Galaxy Z Flip」(サムスン電子製)の場合、残価が約6万円(端末価格の約33%に相当)に設定されるため、差し引いた約12万円を24回の分割で支払えばよい(写真4、5)。端末価格が約9万円と、より安価な「iPhone11 64GB」(Apple製)であれば、残価が約3.7万円(端末価格の約41%に相当)に設定されるため、差し引いた約5万4千円を24回の分割で支払う(写真6)。これにより、月々の費用負担を数千円台に抑えた形で、最新のスマホを購入できる仕組みである。対応機種は順次、広げていく予定だ。

写真4 「Galaxy Z Flip」の料金適用例

写真5 au限定で2月28日に発売する「Galaxy Z Flip」。コンセプトは「スマホを、折りたたもう」

写真6 「iPhone11 64GB」の料金適用例

「残価」は機種ごとに設定、「政府の指摘事項はすべて解消した」

 「かえトクプログラム」の利用に当たっては、月額のプログラム料などは発生せず、auの回線契約を持っていないユーザーでも適用を受けられる。また、設定される残価は「販売してから2年後の端末価値を予測し、当社で機種ごとに設定する。(当社では)これまでも『アップグレードプログラム』で端末を回収してきているが、そこで培ったノウハウの活用に加えて、国内の中古市場の動向なども踏まえて決定していきたい」(KDDI・コンシューマ事業企画本部 副本部長の松田 浩路氏/写真7)という。

写真7 KDDI コンシューマ事業企画本部 副本部長の松田 浩路氏

 なお、KDDIは2019年10月以降、「アップグレードプログラム」の名称で、端末の分割払いと回収を条件とした端末の割引販売プランを導入してきたが、政府の批判を受けるなどして一部内容の見直しが行われていた。今回の「かえトクプログラム」導入で事実上「アップグレードプログラム」は終了となるが、「指摘されていた事項はすべて解消している。別にプログラム料を頂かないことや、表現のわかりにくいところは改良し、自動車などでも実績のある、一般的な販売方法としてご理解いただいている」(KDDI・次世代ビジネス企画部 部長の長谷川 渡氏)と説明した。

写真8 折りたたむとポケットにもすっぽり収まるコンパクトさ

写真9 開けば、折りたたみ部を気にせず、一般的なスマホのようにスワイプ操作できる

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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