【レポート】LINE Payが独自の加盟店端末を公開、3年後の加盟店手数料は「調整中」

LINE Payは7月30日、東京都内で記者向けにサービス説明会を開催し、同社が現在開発中のオリジナル加盟店端末を公開した。コーポレートカラーであるグリーンを基調とし、お店がQRコードを表示するMPM型(加盟店QR提示方式)を採用する。日本と台湾を手始めにグローバル展開を予定し、特に新規開拓を目指しているSMB(中小事業者)を中心に提供していくという。

■お客がQRコードを読み取るMPM型の端末
 説明会会場ではモックアップが陳列された「LINE Payオリジナル加盟店端末」(以下「新端末」/写真1、2)。店員側の操作面からハードキーボタンにより決済金額を入力すると、利用者側の画面にQRコードが表示される。利用者は自分のスマホからLINE Payアプリを起動し、「コードリーダー」を選択してQRコードを読み取れば、決済が完了する。新端末のボタン操作で決済のキャンセルなどにも対応するという。

写真1 目にも鮮やかなグリーンカラーの決済端末

写真2 端末の反対面。表示面は電子ペーパーのようにも見えたが、詳細は未発表。NFCタグも搭載するが、用途は未公表(写真左はネットスターズ端末)

 現在開発中のため、端末の販売価格などは未定。加盟店手数料も調整中とした(写真3)。2018年中に事前申し込みを開始し、順次提供していく。開始当初はLINE Payのみが利用可能だが、将来的には他社のQRコード決済などにも対応していきたいとしている。

写真3 端末バリエーションは5種類に拡大した。紙型(Printed)の加盟店掲出ボードもラインアップするが、現在は職域などで使用中とのこと

■「ショップカード」や「LINE Payクーポン」機能も提供へ
 そもそもLINE Payは今年6月末の発表で、「決済革命」の一環として、SMB(Small and Medium Business)とカテゴライズされる中小事業者の導入ハードルを下げるため、店舗オーナーのスマホなどに無料でインストールできる店舗用アプリを公開。その上で、同アプリを通じたLINE Payの利用は向こう3年間無料(0円)とする施策を発表していた。同アプリでは、利用者がQRコードを表示するCPM型(消費者QR提示方式)を採用していたが(写真4)、新端末ではまた別のアプローチを提案した恰好だ。

写真4 無料ダウンロードで利用できる店舗用アプリは、お客がスマホで提示したQRコードを読み取る方式

 ただ、店舗用アプリにも新端末にも共通するのが、同社取締役COOを務める長福(ちょうふく)久弘氏が「決済の後にしっかりとコミュニケーションが取れる」と胸を張った機能。お店の販促に活用できる「メッセージ機能」である。
 これは法人がLINEに開設して活用する「LINE@」のアカウントとは別のサービスで、店舗用アプリか新端末を導入したお店は無料で利用できる。お客がLINE Payで支払いを行うと、お店とLINEでつながってよいかを尋ねる許諾(パーミッション)の画面が表示され、同意するとお店からお客にメッセージを送付できるようになる。配信先は一斉配信に限られるが、1店舗につき1カ月に1,000通まで利用できる。
 これら販促の機能から提供を始めるが、今後はSMBのビジネスをサポートする機能として、「ショップカード」や「LINE Payクーポン」などを簡単に、安価に利用できるようにしていくそうだ(写真5)

写真5 SMB向けにさまざまな店舗支援サービスを投入予定

 加盟店手数料0円キャンペーンの始まる8月1日を目前に控えて開催された記者説明会。キャンペーンが終了する3年後、2021年7月31日以降に手数料が果たしていくらに設定されるのかについての発表が注目されたが、回答は「調整中」だった。長福氏は「3年後にはマーケットがかなり変わっているはず。それに見合った料率を実現しているのではないか」と見通しを話すにとどまった(写真6)

写真6 LINE Pay代表取締役CEO 高 永受(こう・よんす)氏(写真右)と、同社取締役COOの長福 久弘 氏

 

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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