【レポート】リテールテックJAPAN 2018(番外編)電子マネーはレジでなく、ロボットにかざしたほうがもっと楽しい。

「リテールテックJAPAN 2018」レポートの番外編として、会場で見つけたちょっとユニークな展示を紹介する。決済端末でなく、ロボットが電子マネーの処理をしてくれるというのだが・・・。

■ロボットの「背中」で電子マネー決済、健気な姿が共感呼ぶ
 JICSAP(日本ICカードシステム利用促進協議会)のブースでは、電子マネー決済をロボットが取り次いでくれるという、珍しいコンセプトのデモが参考出展されていた。ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズが開発したデモでは、コミュニケーションロボット「Xperia Hello!(エクスペリア・ハロー)」の「背中」に内蔵されたFeliCaのリーダライタと連動し、ロボットがPOSレジに代わって商品の登録と会計を担う場面を体験できた。と言葉で説明するよりも、以下の動画で見てもらったほうがわかりやすい。

 実際にはPOSレジとの連動により、POSレジ側では商品登録、ロボット側では電子マネー決済と、役割分担する運用をイメージしているが、今回はデモ環境の関係からロボットですべてを行う作りとなっていた。
 ただ、カードをかざす段になってクルッと背中を向けたり、決済が完了すると振り返って「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしています」と喋るなど、健気なロボットの挙動がいちいち愛らしく、ハマるお店が出てくるのではないかと感じた(写真①)

写真① この角度、この目つきに、開発者のこだわりが見える

なお、このデモの一番の見所は、実は地味な外見ながら(失礼!)ロボットの脇にあった白いボックスにあった。エクスペリア・ハローに内蔵されているFeliCaのリーダライタはセキュリティ部分を内蔵しておらず、そのままでは電子マネー決済には対応できない。そこで今回のデモで活用されたのが、マルチサービスリーダーモジュール・アンテナ外部接続サービス(外付け接続)「RC-SB00」(写真②)だ。
 FeliCaのアンテナだけを内蔵する端末にこのボックスを後付け(接続)するだけで、FeliCaカードやFeliCa対応デバイスの処理機能が利用できるようになる。「FeliCaのアンテナだけ」内蔵されることの多い外国製の端末などには持ってこいではないだろうか。

写真② 一見地味なこの小箱に、FeliCaの心臓部が

 また、JICSAPブースでは、本年度の展示コンセプトである「未来のICカード」にちなんで、東芝インフラシステムズのバッテリーレス指紋認証センサー付きICカード(写真③)や、富士通の手のひら静脈認証デバイス(写真④)、大日本印刷のディスプレイ搭載ICカード(写真⑤)、凸版印刷の異形状ICカード(写真⑥)などが展示されていた。ICカード業界にも進化の波が訪れている、ということなのだろうか。

写真③ カード券面に搭載された指紋センターから読み取った情報と、チップ内の指紋データとをカード内で照合する(東芝インフラシステムズ)

写真④ 手のひら静脈認証のセンサーや装置もバリエーションが広がってきた(富士通)

写真⑤ カード券面に書き換え可能な電子ペーパー表示部を搭載し、カード内の電子マネー残高や、動的なセキュリティコード生成などが利用できる(大日本印刷)

写真⑥ 非接触ICチップはアンテナが実装できれば、カード形状にこだわらない自由さが特長でもある。リストバンドやキーホルダーなど「ウェアラブル」なデバイスとしても注目されている(凸版印刷)

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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