総務省は6月21日、いよいよ今月30日から始まるマイナポイント第2弾の「保険証利用」「公金受取口座」登録開始を目前に控え、報道機関受けに説明会を開催した。キャッシュレス決済サービスとの紐付けに加えて、その利用金額やチャージ額によってポイントが還元された「第1弾」とは違って、今回は登録手続きを完了するだけでポイントが付与される「直接付与方式」に変更。意外にわかりにくい点、よく知っている人でも勘違いしやすい点がありそうなので、この機会に本記事を通じて予習しておこう。
キャッシュレス決済の利用やチャージが不要な「直接付与」方式
マイナポイント第2弾は、実は今年の1月からすでに始まっている。その内容は2020年9月から提供された第1弾の期間延長ともいえるもので、登録時にあらかじめ指定したキャッシュレス決済手段による支払いやチャージ(入金)の金額に対して、25%相当分のポイントがキャッシュレス決済事業者を通じて付与される「プレミアム方式」での提供。付与されるポイントの上限が5,000円相当なので、すでに2万円分のキャッシュレス決済と引き換えに満額の5,000ポイントを取得した人も多いだろう。
こちらは引き続き来年(2023年)2月末までが対象となっており、マイナポイント第1弾、第2弾を通じてまだ申し込みを行っていない、あるいは申し込み済みだが満額(5,000円相当分)のポイントを受け取っていない人が対象となる。
これに対して、今月の6月30日から新たに始まるのが、「健康保険証利用申し込み」と「公金受取口座登録」のそれぞれに対して各7,500円相当のポイントが付与される制度だ(画面1、2)。今回は事前にキャッシュレス決済を使用したりチャージする義務がなく、登録時に自身が指定したキャッシュレス決済サービスのポイントが一律付与される「直接付与方式」となる(ポイント付与のタイミングは付与確定から約1週間後で、キャッシュレス決済サービスにより異なる)。
どちらも制度の利用に当たって年齢制限はなく、マイナンバーカードを新規に取得、あるいは取得済みの人を含め、「健康保険証利用」と「公金受取口座」の登録手続きを所定の方法で行った上でマイナポイントの申し込みを行えば、両者合わせて1万5,000円分のポイントを受け取ることができる。
カードをこれから新規発行する人は、9月末までに要申請!
特に注意したいのは、マイナンバーカード自体の取得を申請する期限。マイナポイント第2弾の対象となるマイナンバーカードは「今年の9月末まで」にカードの取得申請を済ませたものとなっているので、カードの未取得者はカード申請を急いだほうがいい。
テレビCMなどの宣伝露出が増えてくる(下の動画)6月30日前後にマイナポイントの制度を初めて知ったとして、マイナンバーカードを申請する期限はそこからわずか3カ月以内。マイナポイント第1弾の際にもカード申請が殺到して市区町村の窓口が混雑した実績があり、今回も同様の心配は残っている。「まだ大丈夫だろう」と油断をしていると、うっかり対象から外れてしまいかねないので、マイナポイント第2弾を狙うのであれば今のうちにカードの申請を済ませるのが正解だ。いずれもポイントの申込期限は来年2月末までと余裕があるので、その事前準備ともいえるカード申請でつまづかないようにしたい。
また、マイナポイント第1弾ですでに申し込んだからといって、第2弾が自動的に適用されるわけではないので、新たに提供される1万5,000円分のポイント取得を狙う人は6月30日以降にスマートフォンのマイナポイントアプリなどからあらためて申し込みをする必要がある(画面3〜5)。
動画 6月22日から全国(一部地域を除く)で放送されるテレビCM「マイナポイント広報室「第2弾、本格スタート!」篇」では、元プロ野球選手の松坂 大輔氏が新登場
マイナンバーカードの普及率は約5割にまで上昇
総務省によると、マイナポイント第2弾に対応するキャッシュレス決済サービスは、2022年6月30日時点で82決済サービスが対応する見込み。第1弾の際には延べ90以上のキャッシュレス決済が対応していたが、このタイミングで対応を終了するサービスと、新たに対応する新規サービスがある。その後、7月下旬には92決済サービスまで増え、その後も順次増加する見込みだという。
そもそも総務省のマイナポイント施策では、「消費喚起」や「キャッシュレス決済の利用拡大」、さらには「公的サービスのデジタル化による利便性の向上」などいくつかの目的が設定されているが、それらにつながる大前提として「マイナンバーカードの普及」が目的に据えられている。総務省・大臣官房地域力創造審議官の馬場 竹次郎氏(写真1)によると、マイナポイント施策の第1弾と、年初からの第2弾を通じて「2,833万人の方からポイントの申し込みがあった。これはカード保有者の半分程度に当たる」という。
実際にマイナンバーカードの申請・交付状況の推移(画面6、7)を見ても、例えばマイナポイント第1弾の期間(2020年9月〜2021年12月の16カ月)では、当初の終了期限(後に延長)だった2021年3月前後の伸びなどを見ても、効果は着実に表れているようだ。
今年6月1日現在での申請枚数は5,882万枚に上り、人口比で約46.4%と、日本人の2人に1人が持つ規模までに広がった。日本政府はこれを今年度末(2022年度末)までに、ほぼ国民の100%まで行き渡ることを目指している。この目標値が、必ずしもマイナポイント第2弾の投入によるカード申請者の獲得目標設定とイコールにはならないだろうが、「(マイナポイント第2弾の)予算措置としては9,500万人分を確保している」(馬場審議官)とのこと。第1弾で動かなかったマイナンバーカードの未保有者が、追加される1万5,000円分のポイントなどを目当てに果たしてどこまで新規の申請に動くか。ここからの推移の行方こそ気になるところだ。
医療機関や薬局に「マイナ対応」を義務付け。保険証の原則廃止も
なお、今回新たにマイナポイントの対象となった「健康保険証利用」としての利用登録に関しては、サービスが始まった2021年10月以降も、対応している医療機関や薬局の数の少なさが問題視されており、わざわざマイナンバーカードを登録しても利用できる先がないとの声が挙がっていた。
マイナンバーカードの健康保険証利用に対応できる「顔認証機能付きカードリーダー」が設置され(画面8)、実際に稼動している全国の医療機関・薬局の数は4万9,454施設で、対象となる全施設数の21.5%に過ぎない(2022年6月12日時点)。
この課題に対して、日本政府は今年6月7日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」の中で、「オンライン資格確認について、保険医療機関・薬局に、2023年4月から導入を原則として義務付ける」ことを明記した。さらには「2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す」とした。
こうした目標設定がスムーズに進むとすれば、われわれ生活者からすれば「マイナンバーカードを持たない」という選択は日常生活を送る上で難しくなってくるだろう。そうであるならば、今のうちからさっさと登録手続きを済ませてしまって、マイナポイントを満額ゲットしてしまうのも賢い選択肢となりそうだ。