2012年の創業で暗号資産取引大手の米・コインベース(Coinbase Global, Inc.)が日本市場参入を果たした。8月19日、コインベースの日本法人であるCoinbase株式会社は暗号資産取引所「Coinbase(コインベース)」を開設し、日本でのサービス提供を開始した。決済パートナーに三菱UFJ銀行を迎えることで、利用者にとって暗号資産を保有する上で最初のハードルとなる入金をしやすくし、日本での利用拡大を狙う。
三菱UFJ銀行口座からの入出金に対応
8月19日から同社のWebサイト、もしくはアプリ(iOS/Android対応)からアカウントを開設すると、暗号資産の売買が可能になった(画面)。暗号資産の取引にかかる販売手数料は1.99%。
サービス開始時点では5種類の暗号資産、「BTC(ビットコイン)」、「ETH(イーサリアム)」、「LTC(ライトコイン)」、「BCH(ビットコインキャッシュ)」、「XLM(ステラー)」の売買が可能。今後さらに対応する資産を増やしていく予定とのこと。
売買に先立っての入出金方法は2通り。1つは、日本でのサービス開始にあたって同社が「決済パートナー」に迎えたという三菱UFJ銀行の預金口座を通じることで入出金が可能となる。三菱UFJ銀行はCoinbase Globalにも出資するが、「黎明期といえる日本の暗号資産業界にあって、まだ大手銀行が入出金を提供している例は少ない。このため、お客様は入金の際に、指定された銀行口座への送金などの手間がかかり、不便を強いられていた」(Coinbase代表取締役の北澤 直 氏)。
もう1つの入出金方法が他の暗号資産ウォレットからの移動。他の取引所や、クリプトウォレットなどからCoinbaseの指定したアドレスへ送信する。いずれの入出金方法も数クリックで注文が完了するように設計されており、利用者の操作性を向上させた。
これら一連のサービスは「日本の法律(資金決済法)では『暗号資産販売所』と呼ばれる」(北澤氏)方法により提供する。これによって、「お客様から見て売買の相手は日本のCoinbase株式会社となり、当社がCoinbaseのグローバル取引市場を通じて暗号資産を売買する。この仕組みにより、お客様はCoinbaseのグローバルで展開している取引市場に実質的にアクセスできることになる」(北澤氏)という。
今後は販売所以外のサービス展開も視野に入る。具体的な計画は伏せたものの、北澤氏は「暗号資産の現在は『投資フェーズ』だととらえており、販売所から始めた。ここから先、どこかのタイミングでは『公用フェーズ』に移っていく思う。例えば(親会社が提供している)『コインベースコマース』というサービスがあり、小規模店舗で暗号資産が利用できる決済サービスになっている。この例のように、『暗号資産、使えるんだよ』というフェーズに持っていきたい」と補足した。
同社の親会社であるCoinbase Globalは、2012年にアメリカ・サンフランシスコで創業。以降、世界各国にサービス提供先を広げ、2021年8月19日時点では100カ国以上で暗号資産の購入、売却、管理が行える暗号資産取引所を展開する。世界で6,800万人以上が利用しており、2021年4月14日にはナスダック市場への上場を果たしている。