コロナ禍受け「Visaのタッチ決済」にスピード対応した「Airペイ」、加盟店からの感染防止ニーズに応える

ビザ・ワールドワイド・ジャパン(以下、「Visa」)は3月30日、「Visaのタッチ決済」の導入背景や反響、効果に関するオンライン説明会を報道機関向けにオンライン開催した。そのパートナー事例として、前月比1.2倍のペースで順調に増加中という「Airペイ」の利用状況についても報告した。

郵便局を含む公共/政府セクターでは上下期比で21倍の伸び

 Visa・コンシューマーソリューションズ 部長の寺尾 林人(てらお・しげと)氏が、日本における「Visaのタッチ決済」の最新状況を明らかにした(画面1)
 対応カードの国内発行枚数は、2020年12月末現在で3,670万枚に達している。このところVisaでは定期的に情報を開示してきているが、前回の2020年9月末時点には3,230万枚だったので、3カ月間に440万枚を上乗せした計算になる。

画面1 日本でも「Visaのタッチ決済」の利用が増加中

 対する加盟店側の対応端末の台数は、絶対数は非開示だが、2年間で約11倍。タッチ決済の取引件数は、2019年と2020年とを比べて12倍に伸びた。
 この伸び幅の内訳についても言及した。2020年の前半(1〜6月)と後半(7〜12月)の決済件数について、利用場面ごとに比較してみると、特に3つのシーンが注目されるという(画面2)

画面2 2020年の半年間ずつを上期と下期で比較した

 ファストフードやファミリーレストランの業種は、2018年の日本マクドナルドをはじめ、ゼンショーグループ、ドトールコーヒー、モスバーガーなどへと対応が広がってきたこともあり、3倍に伸びた。またドラッグストア/薬局ではウエルシア薬局やミネドラッグなどで対応しているが、コロナ禍で来店頻度が上がっていることの影響もあり、8倍の伸びを示している。
 しかし、21倍という最大の伸び幅を見せているのが、公共/政府のカテゴリーだ。これは昨年、2020年に導入が始まった郵便局での取扱が寄与しているものと思われる。
 このほか、中小加盟店では、Airペイが2020年9月に「Visaのタッチ決済」に対応して以降、順調に推移しているという(本記事の後半で紹介)。
 「Visaのタッチ決済」は流通小売以外にも、交通機関での導入が進んでおり、2021年3月末時点では12道府県の10プロジェクトで導入が進んでいる。「交通機関での導入は、将来的にはインバウンドを含めた旅行時の利用が期待されるが、この4月から始まる南海電鉄様のように大阪という大都市圏の主要駅で利用できるようになることは大きい。スムーズにご利用いただける環境を作っていきたい」(寺尾氏)

【参考】鉄道改札で「Visaのタッチ決済」による区間運賃収受に国内で初めて対応する南海電鉄、その処理スピードはどのくらい? | 電子決済マガジン

全国18.7万店が導入する「Airペイ」。ソフト更新で全台がタッチ決済に対応

 オンライン説明会には、2017年4月からリクルートのSaaS領域プロダクトマネジメント室 決済プロダクトマネジメント ユニット ユニット長と、リクルートペイメントの代表取締役社長を兼務する塩原 一慶(しおばら・かずよし)氏もゲスト出演し、同社が提供するmPOSサービス「Airペイ」における「Visaのタッチ決済」の利用動向を紹介した。
 Appleの製品であるiPadやiPhoneを店舗のPOSレジとして利用できる「Airレジ」のサービスを同社が提供開始したのは2013年のこと。その後、外付けの専用カードリーダーを通じて各種の電子決済に対応可能となる「Airペイ」(画面3)をはじめ、予約受付管理向けの「Airウェイト」、お店のシフト管理ができる「Airシフト」など、続々と拡充。日本の全企業のうち99.7%を占める(同社調べ)と言われる中小企業に向けた業務・経営支援サービスを包括的に提供している。

画面3 AirペイはAndroidタブレットなどには対応していない

 サービスにはそれぞれ別の名称が付けられているが、利用者に割り当てられた「AirID」を用いることで、全体を1つのサービスのように使えることが特長になっており、現在同社ではこれら一連のサービスを「Airビジネスツールズ」と位置付け、事業展開している。
 2020年12月末時点で全国18.7万店舗が導入(画面4)している「Airペイ」は、iPadまたはiPhoneと専用カードリーダー1台があれば、全35手段の決済手段に対応可能になるmPOS決済サービス。具体的には、クレジットカード、交通系電子マネー、その他の電子マネー、QR決済のほか、共通ポイントにも対応している。

画面4 Airペイ加盟店数の推移

 このうちの「クレジットカード」の拡張として、昨年、2020年9月から「Visaのタッチ決済」への対応を開始した。このタイミングで対応した背景には、コロナ禍において加盟店から要望する声が高まったことがあるという。
 「お客さんとスタッフの間でのカードの手渡しを避けたい。従業員や家族の感染を防ぎたい」
 そんな声に押される格好で、元々予定していた導入計画を早めることに。準備を急いだ結果、2020年9月28日からのサービス開始にこぎ着けることができた。塩原氏は、「(AirペイでのVisaのタッチ決済への対応に当たって)ハードウェアの交換が不要で、ソフトウェアのアップデートだけで実行できたことが大きい。このことによって、当時17万店への一斉導入を実現できた」と振り返る。
 操作手順も明快だ。Airペイの決済画面で「クレジットカード」を選択し、利用金額を入力して進むとカードリーダーが光るので、カードリーダーのディスプレイ部分に対応するカードやスマートフォンなどを音が鳴るまでかざしてもらうだけ(決済金額が10,001円以上の場合には画面へのサインが必要)。承認されればレシートなどが発行されて、決済が完了する(下の動画も参照)

 

 このように、わかりやすいUXの設計や、加盟店向けマニュアル、説明用動画の作成などにも力を入れて取り組んだこともあり、「混乱もなくタッチ決済を受け入れて貰えた」と塩原氏は評価する。
 加盟店の反応も上々で、「操作が非常に簡単で、反応速度も快適。72歳の母も全く問題なく利用している」。「会計時間が早いし、接触も低減されるのでタッチ決済の時はホッとする」などの声が届いているという。
 「導入後の決済件数は前月比1.2倍のペースで順調に増加中(画面5)。対応カードの普及により、今後も利用の伸びを見込んでいる」(塩原氏)とのこと。長引くコロナ禍にあって、AirペイのカードリーダーにICカードやスマホがかざされる光景を目にする機会が今後ますます増えそうだ。

画面5 Airペイにおける「Visaのタッチ決済」決済件数の推移

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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