【レポート】MasterPassを中心とした最新決済ソリューションが公開、「今そこにある」デジタルペイメントの近未来は?

 

 

MasterCardは2月17日、東京・六本木のザ・リッツ・カールトン東京にて記者発表会を開催し、同社が開発した最新決済ソリューションのデモンストレーションを披露した。通勤、交通移動、オフィス、学校、家庭などの各シーンで、今後MasterCardの決済サービスがどのように利用されていくか、実演を交えた紹介が行われた。その多くが「MasterPass」に機能集約され、「デジタルペイメント」の近未来が垣間見える発表会となった。

■日常生活のあらゆる決済シーンの中心に「MasterPass」
記者発表会、および、ソリューションデモの中心になったのは、「MasterPass(マスターパス)」。スマートフォン向けの「ウォレットアプリ」で、あらかじめアプリ上に登録しておいたクレジットカードやデビットカードなどのアカウント情報を用い、オンライン決済(アプリ内決済、ブラウザ経由でのEC決済)が可能だ。MasterCard以外の国際ブランド搭載カードの登録が可能なことも特徴で、現在、アジア太平洋地域に5,500万の利用者を抱え、世界25万店の対応加盟店(オンライン加盟店)で利用できる。

写真X デジタルペイメントの取扱高は、2023年までに総小売商取引の26%に上ることが予測されるという

写真1 デジタルペイメントの取扱高は、2023年までに総小売商取引の26%に上ることが予測されるという

写真X アジア太平洋地域でのMasterPassの状況

写真2 アジア太平洋地域でのMasterPassの状況

写真X MasterCardアジア太平洋地域エマージング・ペイメント ヘッド ラジャ・ダモダラン氏

写真3 MasterCardアジア太平洋地域エマージング・ペイメント ヘッド ラジャ・ダモダラン氏

同日に披露された最新決済ソリューションでは、MasterPassによるオンライン決済の結果をネットワークやスマートフォンのBluetooth機能などによりリアル店舗に通知、連動することにより、対面決済にも応用する事例が多数、例示されていた。さらにMasterPassのウォレットアプリは、「今年後半にはEMVに準拠した非接触IC決済(同社のサービス名は「MasterCard Contactless」)にも対応する予定」(MasterCardアジア太平洋地域エマージング・ペイメント ヘッドのラジャ・ダモダラン氏)だという。

とはいえ、ウォレットアプリ自身をMasterCardが利用者に対して提供するわけではなく、イシュアー(カード発行会社)、アクワイアラー(カード加盟店管理会社)、小売業者など、同社がパートナーと呼ぶ事業者が内容をカスタマイズしてサービス提供することを想定しており、テクノロジー企業として率先して技術開発を行うことで、事業を支援していこうというのがMasterCardの立場だ。実際、本記者発表会の前日にイシュアー向け説明会を開催し、「すでに日本市場でも提供可能なサービス」として、これらのデモンストレーションをいち早く体験してもらったそうだ。

写真X MasterPassアプリによるカフェ注文の事前オーダー。アプリから商品を選択、ネット決済後、商品受け取りに店舗へ向かう

写真4 MasterPassアプリによるカフェ注文の事前オーダー。アプリから商品を選択、ネット決済後、商品受け取りに店舗へ向かう

写真X タクシー配車アプリ「MasterCab」のデモは、Uberと見まごうような完成度。ドライバーのタブレットとの連携機能も開発済み

写真5 タクシー配車アプリ「MasterCab」のデモは、Uberと見まごうような完成度。ドライバーのタブレットとの連携機能も開発済み

写真X 毎日の食堂でのランチ支払いをはじめ学校内で生じるさまざまな購買手続きをMasterPassアプリ決済に移行。子どもに現金を持たせることなく、家庭から保護者が事前に必要な支払いを済ませることができる。こちらはデモではなく、実際にオーストラリアでは300の小学校が採用しているそうだ

写真6 毎日の食堂でのランチ支払いをはじめ学校内で生じるさまざまな購買手続きをMasterPassアプリ決済に移行。子どもに現金を持たせることなく、家庭から保護者が事前に必要な支払いを済ませることができる。こちらはデモではなく、実際にオーストラリアでは300の小学校が採用しているそうだ

■非接触決済対応端末の設置は苦戦
ところでMasterCardでは、かつて日本市場において、2016年までに「MasterCard Contactless(旧MasterCard PayPass)」対応の加盟店端末を41万台設置する目標を掲げていたが、POSへの非接触決済機能の組み込みが進んでおらず、達成には至っていない。
その点についてマスターカード ジャパンオフィス・代表取締役 上席副社長の廣瀬 薫氏は「上手くいっていないことは事実だが、この後2020年に向けて非接触決済へのニーズは着実に高まるはず。非接触に対応するカードのラインアップが広がっていけば、他の国と同様に非接触決済の使える環境は広まっていく」と事情説明した。

■ブランド、グローバルシステム、チームの強化に注力(日本地区社長/ナンダン・マー氏)
昨年9月にマスターカード ジャパンオフィス・日本地区社長に就任したナンダン・マー氏は、日本におけるMasterCardの今後の展開方針について、①現在展開中の「プライレスレス・ジャパン」をはじめ、ブランドを強化していく、②MasterCardのグローバルシステムを見直し、すべての決済ソリューションが日本のシステムと「完全互換」であるようにする、③日本チーム(スタッフ)の強化に注力しており、今後、必要な人材を確保していく、ことを力説した。また、意識を共有するため、「本日の記者発表会には日本のスタッフ全員が出席している」ことを明かし、会見場後方に控えていたスタッフが起立して応える場面も見られた。MasterCardの記者発表会では、珍しい光景であった。

写真X MasterCard日本地区社長 ナンダン・マー氏

写真7 MasterCard日本地区社長 ナンダン・マー氏

■「生活シーン別最新決済ソリューション体験ツアー」
会場では、生活シーンごとにさまざまなサービスがデモ展示されていた。

P1030171 P1030203

P1030218 P1030217 P1030214 P1030221

写真8 ショップ、オフィス、飲食店や交通機関、学校などに交じって「ワインバー」も

 

 

■コインランドリーに5日間でキャッシュレス決済機能を追加!
MasterCardアジア太平洋地域デジタルペイメント&ラボ イノベーション・マネジメント部門 バイス・プレジデントのトビアス・プース氏は、将来の決済ソリューションの方向性や、FinTechへの取り組みなどについて、ビデオ映像を交えて紹介した。

写真X MasterCardアジア太平洋地域デジタルペイメント&ラボ イノベーション・マネジメント部門 バイス・プレジデント トビアス・プース氏

写真9 MasterCardアジア太平洋地域デジタルペイメント&ラボ イノベーション・マネジメント部門 バイス・プレジデント トビアス・プース氏

動画1 メイタグ社と共同で、5日間で開発したというコインランドリーの決済サービス

動画2 サムスンと共同開発した決済機能付きのスマート冷蔵庫は5月から米国商用化

動画3 スマホ、ウェアラブル、グーグルグラスでのMasterPassを利用した決済イメージ

動画4・5 FinTechのスタートアップ企業をMasterCardが支援する「スタートパス」プログラム

 

(2016/02/22 記事修正)
*本稿初出時、MatsrePassの利用者数として「現在、世界20カ国に5,500万の利用者と、25万店の対応加盟店(オンライン加盟店)が存在する。」と誤った記載がございましたが、正しくは「現在、アジア太平洋地域に5,500万の利用者を抱え、世界25万店の対応加盟店(オンライン加盟店)で利用できる。」でした。ご関係者および読者の皆さまへ、お詫びと訂正を申し上げます。

[2016-02-17]

 

About Author

ePayments News

日々、電子決済サービス関連各社のプレスリリース発表を泳ぎ回り、秀逸なニュースを集めて紹介する電子決済研究所のスタッフ。ほぼ人力のボット。

Comments are closed.