タッチレスなおサイフケータイを記者がいち早く体験。NTTドコモの「Open House 2020」が明日から開催

NTTドコモは今週1月23日と24日の2日間に渡り、東京・江東区の東京ビッグサイト「青海展示棟」にて自社、およびパートナー企業などによる講演や展示などを紹介する展示会「DOCOMO Open House 2020」を開催する。開催に先立って前日の1月22日に公開されたプレス内覧会から、「おサイフケータイのタッチレス対応」をはじめ、電子決済・キャッシュレスに関連する展示を見聞してきた。

ドライブスルーでの利用なども想定、実用化には課題も

 「おサイフケータイのタッチレス対応」は、会場の2箇所でデモ展示が披露されていた。デモはそれぞれ異なるシーンを想定して作り込まれており、①店舗での買い物、②自動車のキー開錠/施錠、および、ドライブスルーを想定した運転席からの支払い、の2つが公開された。
 会場入ってすぐにあるコンセプトゾーンでは、支払い場所として想定した会計カウンター(写真1)にUWBの受信機(写真2)を設置。タッチレス対応のスマートフォンを持ってカウンターに近寄っていくと、およそ1メートルほど手前でUWB受信機側が反応して会計側の支払い画面が処理を開始した。ほぼ同時にスマホ側のアプリ画面では残高が引き去られ、おサイフケータイをかざすでも見せるでもなく決済が完了するという主旨のデモだった。スマホをポケットやかばんに入れたままでも支払いができるようになるという。

写真1 買い物のデモは、シンプルな構成。会計用のPOSを想定した画面がカウンター奥に投影され、決済時の挙動やスピードがスマホ画面と見比べつつ体感できるようになっている

写真2 UWBの受信機

 自動車のデモでは、先ほどの会計と同様に、スマホを持ってクルマに近寄っていくだけでドアロックが開錠された(写真3)。まさにおサイフケータイがスマートキーの代わりになるイメージだが、従来はドアにスマホをかざして開錠/施錠する提案が中心だったが、今回は遠隔からスマホを取り出さなくても開錠/施錠できるサービスイメージとなった。また、自動車に乗車した状態で、ドライブスルーなどでの支払い時にタッチレス決済を利用するデモも紹介されていた(写真4〜6)

写真3 スマホを持ってクルマに近付くだけでドアが開錠する

写真4 車内からファストフードの支払いを済ませるデモ

写真5 お金を上にスワイプして送り出すイメージのユーザーインターフェース

写真6 決済が完了したことを示す画面

 おサイフケータイはこれまでFeliCa技術をインターフェースとした「タッチ」での利用がフィーチャーされてきたが、タッチレス対応ではこれに他の通信技術である「UWB(Ultra Wide Band)」と「Bluetooth」を連携させることで、やや離れた場所から遠隔での認証を可能にする(写真7)。今回の実証実験(PoC)ではスマートフォン側には「UWB」を内蔵せず、外付けにより実装した。

写真7 システム構成図(イメージ)

 実験はソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズと共同で行われているが、説明員によれば、FeliCaの近距離通信に比べて通信距離が長いUWBでは、隣接する他のUWBデバイスに誤って接続してしまう可能性があり、課題だという。今回のデモではUWBの通信距離を1メートルに設定して行っているとのことだったが(写真8)、それでもタッチレスの挙動をデモする場面では時折、想定通りに動作しない場面が見られた。
 決済の実行には利用者の「支払う」という意思表示が重要であり、FeliCaベースのおサイフケータイではそれに「タッチする行為」が見事に合致していた。今回の新しいチャレンジには技術だけでなく、運用に関わる課題も存在するため、商用化までには少し時間がかかりそうに感じられた。

写真8 今回のデモでは通信可能距離を1メートルに調整したという

dポイントの海外エリア拡大、パスワードレス、ID乗車券など、見どころ満載の展示会場

 会場は青海展示棟の両ホールが機器の展示やデモンストレーション、講演会場などで埋め尽くされており、丸1日がかりでも全部は見切れないと思われるが、ぜひ会場へ足を運ばれることをお勧めする。
 ここでは電子決済・キャッシュレスに関連しそうな展示をピックアップして紹介する。

写真9&10 ドコモの共通ポイント「dポイント」は海外展開を強化中。グアム、ニューヨーク、ハワイといった日本人旅行客が訪れる観光地への加盟店拡大(アウトバウンド)と、日本を訪れる外国人旅行客の会員獲得(インバウンド)の両面で取り組んでいる。外国人のdポイント会員登録は現状、アジア12カ国・地域からの旅行者に限定されているが、今後は加盟店の拡大にあわせて欧米などへの展開も検討する可能性があるとのこと

写真11 ドコモでは2020年2月以降、dアカウントの認証に関してパスワードによる認証を無効化できるようにし、FIDOに準拠した生体認証のみで利用できるようにする(対象はドコモ回線の契約者で、dアカウントの生体認証対応機種利用者)。同年4月以降はスマートフォンが機能として内蔵する画面ロック解除もdアカウント認証に利用できるようにするなど着々と「パスワードレス」化を進めている

写真12&13 「パスワードレス」関連の取り組みでは、QRコード認証を使ってクラウド上の仕事環境(Windows仮想デスクトップやOffice365、G Suiteなど)にシングルサインオンできる仕組みを提案している。最初の認証にはdアカウントのほか、SAMLを用いた連携が利用可能。中小・小規模事業者やシェアオフィスなどへ導入を働きかける

写真14&15 協業先である東芝インフラシステムズが出展する「5Gを活用したクラウド型 ID乗車券システム」のデモ。現在主流のICカード乗車券では、媒体のICカードと改札の両方に各種の情報が格納されて作動しているが、媒体側を単純なID情報のみとし、改札には情報を持たせずに5Gを用いて乗車券処理サーバに接続することで現行のICカード方式と遜色のない処理速度を実現。クラウド管理に移行することでMaaSなどへの応用も容易になるという。媒体にはQRコードや顔認証などを想定する

写真16&17 レジ無し店舗ソリューションは、NTTドコモ・ベンチャーズが2019年に出資したアメリカのスタートアップ企業、ZIPPIN社によるもの。多数のカメラ設定が必要になるAmazon Goに対して、こちらはカメラに加えて独自開発の商品重量センサー(写真17)を併用することで、Amazon Goのシステムに比べて大幅なコストダウンを実現できるという

写真18 球型ドローンの全面がディスプレイになっており、ビカビカ光る(静止画では感動が伝わらないので、ぜひ会場にて現物を)

写真19 5Gの可搬型基地局も間近で見学し放題!!

 

 

About Author

多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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