来週3月18日の朝10時、Androidスマホ限定ながらモバイルPASMOのアプリダウンロードとサービス提供とが開始となる。そこで気になるのが、すでに「モバイルSuica」を入れているAndroid端末に、追加としてモバイルPASMOをインストールすることができるのか、という問題。当日までその答えを待ちきれない筆者が、周辺の状況から対応の行方を類推してみた。
真相は「3月18日」を待たねばならないのか
登場から13年の時を経て、PASMO(カード)自体の誕生日に当たる2020年3月18日から、いよいよサービスが開始されるとのアナウンスが行われた「モバイルPASMO」。スマホでPASMO定期券を使いたい利用者をはじめ、長く待望されたサービスの登場に胸の高まりが抑えきれない読者も多いだろう。
気持ちが少しおさまると、次に頭に浮かんでくる疑問が「あれ、今までモバイルSuica入れてAndroidスマホ使ってきたけど、モバイルPASMOが始まるとこれに両方入れられるのかな? あるいはどっちかしか入らない?」であることは間違いない。
しかし、PASMO協議会からの3月10日付けの報道発表資料を隅々まで読み返しても、残念ながらこの疑問に対する答えは記載されていない。となると、手掛かりとなるのはモバイルPASMOを紹介するであろう専用の特設サイトでの説明か。「モバイルPASMOサイト(https://www.pasmo.co.jp/mp/and/)は2020年3月18日(水)10:00までに公開予定です。サポートセンター、会員メニューサイトも同時開設予定です。」とある。
「までに」、である。その刻は、律儀にも「3月18日(水)10:00」かもしれないし、あるいはいまこうして記事を執筆している最中にも、忽然と特設サイトが姿を現しているかもしれない。今、ちょっと中断して上のURLをクリックしてみたが、まだPASMOロボットが工事中よろしくお辞儀をしたままだ。大丈夫、安心してほしい。
もちろん1週間くらい待つことは何てことはない。決して強がりではない。何しろ私たちは13年待ったのだから。
おサイフケータイアプリにヒントが・・・
そこで、あきらめきれない取材班としては、待ちつつも、あらためてモバイルPASMOの対応機種の要件を確認してみることにした。報道発表資料には「Androidスマートフォンで購入時にAndroid6.0以上がインストールされており、最新版のおサイフケータイ アプリがインストールされている端末」と書かれている。
なるほど、Android6.0以下の端末を購入してOSだけアップグレードしても使えませんよ、ってことか。「購入時に」という縛りが入るのは、スマホアプリやサービスの機能要件としてはあまり見ないようにも思えるが、まぁここはそういうものなのだろう。筆者がモバイルPASMOの利用を想定しているGoogle Pixel 3aは購入時点で「Android 9.0 Pie」だし、すでに「Android 10」にアップデート済みなので、余裕をもってYesと言える。
「最新版のおサイフケータイ アプリがインストールされている端末」。はい、いつも最新版にしてます、なってます。でも、念のために更新が来ていないかGoogle Playストアで確認しておこう。あっ!!
フェリカネットワークスが提供するウォレットアプリ「おサイフケータイアプリ」のバージョン「8.2.1」の更新が来ているではないか(写真3-1、3-2)。しかも「モバイルPASMOアプリのご利用において必須の機能に対応しました」と書いてある。
もしや・・・と思い、速攻でインストールを選択し、アプリを起動したところ、ブルーの背景に見慣れたオレンジのおサイフケータイロゴがスプラッシュして(写真4)、利用規約などを表示した後にメインメニュー「マイサービス」が現れた(写真5)。その中の「モバイルSuica」のすぐ上に見慣れぬ文字列が!
複数枚の交通系ICカードに対応、ただし対応機種が限定される
「【交】交通系ICカード メインカードを切り替える」
押したくなりますよね、この水色の文字列↑。押しましょう。押すと下の画面(写真6)が現れます。
ふだんからAndroidスマホのおサイフケータイやGoogle Payをよく使っている方、あるいは勘のスルドイ方ならば瞬時に理解できるはず。なるほど、iDやQUICPay、タッチ決済など、同じサービスブランドでも複数枚のカード(情報)が登録可能なものは、タッチした際に最初に応答するものを「メインカード」として設定しておく仕組みがある(写真7)。
これと同じ仕組みで、モバイルSuicaも「交通系ICカード」のグループに属する1枚のカード(情報)として収まったのかと。これであれば2枚目の交通系ICカードとしてモバイルPASMOをインストールしても、1台のAndroidスマホに収めることが可能になる。そして、あらかじめ「メインカード」として設定しておいたほうが、駅の自動改札やお店の決済端末にタッチした場合に反応するカードになるのだろう。
ここまで勿体ぶっておいて恐縮だが、実は、モバイルPASMOとモバイルSuicaが共存可能であるということ自体は、3月10日付けのEngadget 日本版がPASMO協議会のコメントと併せて報じていた。しかし、これには少し注釈が付くようだ。
■「モバイルPASMO」3月18日サービス開始。モバイルSuicaと共存可能(更新)- Engadget 日本版
https://japanese.engadget.com/jp-2020-03-10-pasmo-android-3-18.html
本記事で筆者が試したGoogle Pixel 3aでは問題なく、おサイフケータイ アプリ「8.2.1」をインストールすることで「メインカード設定」に対応する表示が現れた。しかし、PASMO協議会がモバイルPASMOの対応機種として公表している要件、「Androidスマートフォンで購入時にAndroid6.0以上がインストールされており、最新版のおサイフケータイ アプリがインストールされている端末」を満たしていたとしても、上記のPASMO協議会のコメントを見る限り、モバイルPASMOとモバイルSuicaの2つを1台のスマホ上に併存できる端末は、さらにそのうちの一部の機種に限られそうだ。
■モバイルPASMOの対応機種 – PASMOホームページ
https://www.pasmo.co.jp/assets/pdf/teaser_and_device.pdf
ここまで見てきた一連の挙動を見る限り、少なくともGoogle Pixel 3aはこの一部の機種に入るであろうことはほぼ確実に思われる。しかし、その保証はない(2020年3月18日追記:残念ながらGoogle Pixel 3aは対象に含まれていなかった。詳細は記事末尾を参照)。モバイルPASMOの開始をきっかけにAndroidスマホを最新のものに買い替えようと狙っている読者がいるならば、すべての答えが判明する3月18日を待ってから購入する機種をセレクトするのが無難だ。
その際、FeliCaを含めたNFC機能を存分に味わいたいのであれば、筆者はAndroid 10以上の端末をお勧めする。その理由は、Android 10から導入された「NFCの保護」(写真8)という機能が活用できるからなのだが・・・。詳しい説明は別の機会にしたいと思う。
【2020年3月18日10:00追記】
モバイルPASMOのサービスサイトオープンと同時に1台に、モバイルPASMO・モバイルSuicaの両方を1枚ずつ発行可能なスマートフォンの機種が判明しました。