電子情報産業の世界生産額は史上初の3兆ドル超え見込み、2030年には年間700万台以上の自動運転車が生産

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)は12月18日、代表理事で会長の柵山 正樹氏(三菱電機・取締役会長/写真1)が記者会見し、電子情報産業の世界生産見通し、および、自動運転車などモビリティ分野の注目デバイスを対象とした世界生産額の見通しを発表した。

写真1 JEITA代表理事/会長の柵山 正樹氏(三菱電機・取締役会長)

日系企業の世界生産額、電子工業の国内生産額も対前年比増

 電子情報産業の世界生産額は2018年(見込み)が2.93兆ドル、2019年(見通し)は3.05兆ドルとなり、初めて3兆ドルを突破する見通し(写真2)。両年ともに過去最高額の更新を見込むが、対前年比では2018年の8%増に対し、2019年は4%増と若干の成長鈍化を予測している。この理由について柵山会長は、「米中貿易摩擦や、EUからの英国離脱問題といった不透明な事象を見据え、推移をやや慎重に見ているため」と説明した。

写真2 電子情報産業の世界生産額(2018年・2019年)

 このほか、日系企業の世界生産額、電子工業の国内生産額についても、2018年、2019年と対前年比増を見込むという(写真3)。自動車の電装化率向上による半導体や電子部品搭載数の飛躍的増加や、働き方改革や生産性向上に向けた法人向けPC・情報端末の需要が好調に推移していることなどが要因。
 世界生産見通しに関する調査は、JEITAが2007年より継続して実施しており、今回で13回目。世界の電子情報産業の生産規模をデータにより明確にすると同時に、世界における日系企業の位置づけを把握することを目的とする。会員各社を対象としたアンケート調査の結果に基づいて推計したもの。

写真3 日系企業の世界生産額と、電子工業の国内生産額

モビリティ分野では「CASE」関連デバイスが4倍の市場規模に

 同日の会見では、例年実施している電子情報産業の世界生産見通しに加えて、現在モビリティ分野で進行中の動向「CASE」(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric/写真4)に着目し、同分野における注目デバイスを対象とした世界生産額の見通しを公表した。

写真4「CASE」デバイスの種類

 これに先立ってJEITAでは、注目デバイスの出荷を試算する前提として、自動運転車と環境対応車の世界生産台数を予測。「レベル3」以上の自動運転車は、2017年から2030年まで対前年比65.8%増で推移し、今後2030年には年間700万台以上が生産されるとした。また、環境対応車は同じく2017年から2030年まで対前年比20 .1%増で推移し、年間約9,000万台が生産されると予測。このうち特に電気自動車は2,000万台を超え、2030年時点で自動車全体の15%を占めるまでに拡大するとした(写真5)

写真5 自動運転車と環境対応車の生産見通し(2017年→2030年)

 この試算に基づいて、JEITAでは電子制御装置(ECU)の市場規模は、2017年の9.5兆円から2030年には17.8兆円の約2倍へ拡大すると予測した(写真6)。また、「CASE」に必要となるデバイスは年平均10.8%で増加し、2017年の3.5兆円から2030年には13.3兆円の約4倍に拡大すると予測した(写真7)

写真6 ECUの種類と世界生産額

写真7 「CASE」関連デバイスの生産額見通し

CEATEC JAPANは来年20周年に

 なお、JEITAが秋に毎年開催している「CEATEC JAPAN」は2019年の開催で20周年を迎える(写真8)。柵山会長は、「(CEATECは)CPSとIoTをテーマとして生まれ変わった。ITやエレクトロニクス業界にとどまらず、データ連係と利活用によって社会課題を解決することをテーマにしている」と同展の位置付けを説明。2019年は10月15日〜18日の日程で千葉市美浜区の幕張メッセで開催する。出展社募集は年明け2月から開始する予定だ。

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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