1.6億枚を突破した日本国内のタッチ決済対応Visaカード、大阪プロジェクトの勢いで2026年は日本全国へ拡大目指す

ビザ・ワールドワイド・ジャパン(以下、「Visa」という)は12月10日、東京都内で記者説明会を開催し、2026年2月から「タッチ決済全国キャッシュレス推進プロジェクト」を全国で展開すると発表した。登壇したビザ・ワールドワイド・ジャパン・代表取締役社長のシータン・キトニー氏(写真)は、来年、2026年以降にVisaが注力する領域として、3つの分野を挙げた。

写真 ビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役社長のシータン・キトニー氏

大阪エリアのタッチ決済利用率は全国平均を8ポイント上回る

 「タッチ決済全国キャッシュレス推進プロジェクト」の実施期間や特典内容などの詳細は来年にアナウンスする。2025年に実施した「大阪エリア振興プロジェクト」の成果を受けて「タッチ決済の勢いを日本全国へ広げていく」(キトニー社長)
 Visaでは2024年4月に「大阪エリア振興プロジェクト」を開始し、大阪地域のスーパーマーケット、ファストフード店、ファミリーレストランチェーンなどの飲食店や日用品店、地下街などの加盟店や鉄道など、幅広い対象加盟店でのキャンペーンを実施し、タッチ決済の普及を推進してきた。
 その結果、期間中の大阪府内でVisaのタッチ決済の利用者は180万人以上増加(VisaNetデータ、大阪府のデータはVCA作成<VisaNet外で処理されたデータを除く>、2024年4月と2025年9月を比較)し、同地域のタッチ決済の利用は74%と、全国平均の66%(VisaNetデータ、大阪府のデータはVCA作成<VisaNet外で処理されたデータを除く>、2025年9月末時点)を8ポイント上回る結果になったという(画面1)

画面1 2025年12月10日開催のビザ・ワールドワイド・ジャパン記者説明会説明資料より

 また同じデータで、大阪での「タッチ決済対応アクティブVisaカード」(月1回以上タッチ決済の利用があるVisaカード)の枚数は2024年第2四半期と比較して、2025年第4四半期は201%の成長となり、全国平均の同160%を大きく上回った。タッチ決済の利用が大きく伸びたことがうかがわれる(画面2)

画面2 2025年12月10日開催のビザ・ワールドワイド・ジャパン記者説明会説明資料より

 公共交通機関でのタッチ決済の利用では、注目のデータも公表された。「交通機関でタッチ利用されるカードは日常利用でも多く使われている。全カテゴリーの取引件数で16%、決済金額では8%高くなった。日常利用店舗での決済金額は12%も伸びている」(キトニー社長/画面3
 こうした大阪での躍進もあり、国内におけるタッチ決済対応のVisaカード発行枚数は2025年9月末時点で約1億6,000万枚(発行会社からの報告ベース、2025年9月末時点)まで拡大し、日本の人口をすでに上回っている。

画面3 2025年12月10日開催のビザ・ワールドワイド・ジャパン記者説明会説明資料より

法人決済のデジタル化や、クリック決済の導入拡大にも注力

 2025年も暮れに差し掛かったタイミングでの記者説明会に登壇したVisaのキトニー氏は、2026年以降に注力していく領域として3つの分野を挙げた。1つ目は、タッチ決済に代表される「より良い決済体験の提供」。ストレスがなく、安全で直感的に利用可能なサービスの提供を通じて、日々の決済を現金からVisaカード決済に置き換えていく。
 2つ目は「法人決済のデジタル化」。Visaでは日本国内における企業間取引(B2B)でのカード決済の普及率を0.7%ととらえており(画面4)、個人向け(B2C)と同様に世界から遅れを取った状況の挽回を目指す。従来の銀行振込などの決済方法には販売する事業者側の請求額に対し4.7%のコスト負担が生じており、これをカード決済に置き換えることで事業者は売上高の約5.7%の利益が受けられる試算になるという(いずれもVisa調べ)。

画面4 2025年12月10日開催のビザ・ワールドワイド・ジャパン記者説明会説明資料より

 そして3つ目は、「新たな付加価値の提供」。ここでは「トークン活用」「クリック決済」「AI主導のコマース」など最新のデジタル技術を活用したプロダクト(Visaのサービス名)をキーワードに掲げ、パートナー企業などとも連携しながら取り組んでいきたい考えを示した。

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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