コスパ・タイパ重視のZ世代に人気のカナダ発・旅行予約サイトが、三井住友カードの「Vトリップ」として日本登場

利用対象は三井住友カード会員とVポイント会員

 三井住友カードとHopper,Inc.は3月31日、会員制の旅行サイト「Vトリップ」をオープンし、同日からサービスを開始したと発表した(写真1)。航空券、ホテル、レンタカーの予約が可能で、掲載ホテル数は国内で2万軒強、海外は50万軒強(2025年3月31日現在)と国内最大級の規模になる。

写真1 (左から)Hopper,Inc. 代表取締役社長 兼 共同創業者のダコタ・スミス氏、三井住友カード 代表取締役社長の大西 幸彦氏

 三井住友カードのカード会員で「VpassID」を保有するユーザー、もしくは、Vポイント会員番号を保有する「V会員」が利用できる。三井住友カード会員が「Vpassアプリ」内からVトリップのサイトへアクセスする場合、登録した「VpassID」が自動連携されるため、面倒なID登録作業が求められることがない。また、Vトリップサイト内から「V会員」番号を設定することで、Vポイントとも連携できる。
 Vトリップの最大の特長として、予約時に航空券の価格予測ができるだけでなく最適な購入タイミングが提案されることや(写真2、3)、最大21日間後まで航空券の価格を据え置けるプラン(有料)の提供(写真4)、ホテルはチェックインまで、航空券は出発3時間前まで対応するキャンセル時の返金プラン(有料)の提供などがある。

写真2 行き先と出発日を入力すると、航空券の価格状況がグラフィカルに表示されるため、価格も参考にして旅行日程を決めやすい

写真3 将来の価格変動予測を踏まえて、航空券の「買いどき」を客観的に提案してくれる

写真4 最大で向こう21日間、航空券の価格を据え置きできる有料サービスも提供。「(旅程が決まってからも)仕事の調整や伴侶への相談、クレジットカードの支払期日が来てから購入したい、などいろいろな事情があると思う」とHopper Inc.のスミス氏

 また、決済代金に応じて貯まるVポイントの還元率も高めで、ナンバーレスカード(NL)やOlive(クレジットカードモード)の「プラチナプリファード」利用の場合で、最大の10%還元が受けられる(三井住友カードの通常ポイント付与+Vトリップ利用特典+Vポイント付与分の合算値/写真5)。
 来月4月30日までの1カ月間(予約期間)は、Vトリップのサービス開始を記念して、さらに10%(上限1万ポイント)のVポイント還元を上乗せするキャンペーンも実施している。三井住友カードのカード会員で「VpassID」を保有するユーザーが対象で、Vトリップ内でVpassIDを設定の上、Vトリップで国内ホテルや海外ホテルを予約する。対象の三井住友カードで決済してチェックアウトまで完了することが付与条件となる。

写真5 保有する三井住友カードの種類によってVポイントの還元率は変動する

Oliveの非金融サービス第1弾の位置付け

 三井住友カードではVトリップを単なるクレジットカード会社の提携サービスとしてではなく、SMBCグループが提供する個人向け総合金融サービス、「Olive(オリーブ)」の非金融サービスと位置付けて展開する。
「おかげさまでOliveは発売から2年で、2024年度末に500万アカウントを達成するところ。これからもサービスのバージョンアップを考えているが、その大きな1つが非金融のサービスであり、その第1弾が『Vトリップ』という形になる」(三井住友カード・代表取締役社長の大西 幸彦氏)
 Vトリップの開発にあたり、三井住友カードはカナダに本社を置くHopper,Inc.と協業した(写真6、7)。記者発表会で登壇したHopper,Inc.代表取締役社長 兼 共同創業者のダコタ・スミス氏は、「特にZ世代に人気があり、北米おいてこの層ではナンバーワン。年間50億ドル(約7,500億円)以上のホテルや旅行を取り扱っている。当社の『トラベル・フィンテック』に日本特有のポイントサービスを掛け合わせ、便利と安心を提供していきたい」と日本市場にかける意気込みを話した。
 2007年創業のHopperは当初、もっぱら個人向けに事業展開していたが、2021年にBtoB部門として、主に金融機関に向けた提携サービスの提供を始めた。米・キャピタルワンを皮切りに、豪・コモンウェルス銀行、ブラジルのNubank(ヌーバンク)などの金融サービスに旅行予約機能を組み込んで提供してきた。三井住友カードは2024年7月に、このHopperグループのBtoB部門である「HTS(Hopper Technology Solutions)」との間で戦略的業務提携に合意している。

写真6 米国のOTA(オンライン専業旅行サイト)で第3位というHopperだが、Z世代層からの支持はこれを上回るという

写真7 膨大な蓄積データと機械学習のアルゴリズムが、Hopperの「トラベル・フィンテック」機能を支える

 大西社長は「金融に非金融サービスをエンベデッドする取り組みが、キャッシュレスの先進国では確立されつつある。われわれがOliveで実現しようとする世界観も同様だ」と話し、今後の第2弾、第3弾をにらんだサービス拡大に意欲を見せた。

 

写真8 発表会にゲスト登場した航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さん(左)とタレントで女優の筧 美和子さん。鳥海さんは「海外へお得に安く行く方法がまた一つできたと思う。ニューヨークではタッチ決済で地下鉄にも乗れるので、ぜひ海外へ出かけていただきたい」と嬉しそうにコメントした

写真9 今月初旬に結婚を発表した筧さんは、「(旅行の予約情報を)調べる、というよりも、任せる感じが今の時代にあってる気がした。旅行好きの私には嬉しいです」と感想を述べた。気になる新婚旅行の行き先は「いま計画中で、お互いの行ってみたいところを協議中。2人ともヨーロッパが好きだが、共通していたのはイタリア」とのこと

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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