Tポイント消滅で生まれる「青と黄色のVポイント」、キャッシュレスへの「相乗り」で貯めやすさ・使いやすさを向上

2003年10月にスタートした共通ポイント「Tポイント」が来春(2024年春)をめどに、SMBCグループが提供する「Vポイント」に統合され、「青と黄色のVポイント」として生まれ変わることになった。国際決済ネットワークであるVisaの利用可能店舗と連動することで、貯まる場所・使える場所の両面を大幅に拡充した新ポイントサービスは、プラスチックカードからスマートフォンアプリへ主舞台を変え、他の共通ポイント陣営との熾烈な競争に挑む。

有効会員数1.46億人で国内最大規模に

 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、三井住友カード(SMCC)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、CCCMKホールディングス(CCCMKHD)は6月13日、東京都内で記者会見を行い、SMBCグループが提供する「Vポイント」とCCCグループが提供する「Tポイント」を統合し、新たな『Vポイント』として、2024年春を目途に提供開始すると発表した(写真)

写真 左から、三井住友カード 代表取締役社長の大西 幸彦氏、カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役会長 兼 CEOの増田 宗昭氏、三井住友フィナンシャルグループ 執行役社長グループCEOの太田 純氏、カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取役社長 兼 COOおよびCCCMKホールディングス 代表取締役社長兼CEOの髙橋 誉則氏

 名称は「Vポイント」としつつ、サービスのロゴデザインと配色には「Tポイント」が使用していた「青と黄色」を反映した新デザインを考案。両サービスの融合を表現した(画面1)。両者がそれぞれ発行するカードやスマホアプリは順次、新デザインに移行していくが、既存のポイントや媒体(プラスチックカードやスマホアプリ)についても変わらず利用できるようにする。

画面1 新『Vポイント』のロゴマーク(出典:「Vポイント」特設サイトより)

 両ポイントの統合により、有効会員数は1.46億人に上る見通しで、国内最大規模の共通ポイントサービスが誕生することになる(画面2)。会員数をアクティブ(1年以内の利用あり)なユニークユーザーに絞っても、2024年度末までに8,600万人に達する見込みだという。

画面2 有効会員数の合算値(出典:共同記者会見の説明資料より)

現金払いもポイント付与、利用は「タッチ決済」や「ネット決済」で

 新『Vポイント』は、現在全国15万店のTポイント提携先でTカードやモバイルTカードを提示することで貯まるようになる。この場合、これまでと変わらず現金での支払いにもポイントは付与される。これに加えて、世界1億店以上のVisaカード加盟店で、SMCCが発行するVポイント対象のクレジットカードやフレキシブルペイで支払うことによりポイントが貯まるほか、SMBCグループの金融取引利用などに応じてもポイントが付与される。
 貯まった新『Vポイント』は1ポイント=1円換算で、Tポイント提携先のほか、Visaカード加盟店での支払いに充当できるほか、SMBCグループの金融取引に利用できる。また、従来のTポイントアプリは、Tポイント提携先での支払いにのみポイントの充当が可能だったが、今後はVisaカード加盟店での支払いにもポイントを充当できるようにTポイントアプリを改良していく予定。
 なお、これらのVisa実店舗での支払い充当は、Apple PayかGoogle Payによる「Visaのタッチ決済」に限定される(画面3)。一方で、オンライン店舗での支払いに充当する場合には、ポイントアプリに表示されるVisaカード番号を用いて決済できるので、制約事項は少ないといえる。

画面3 新『Vポイント』の利用可能場所(Visa加盟店)(出典:共同記者会見の説明資料より)

ポイント7兆円+カード決済30兆円のDBマーケティング

 新『Vポイント』では、ポイント提携先やクレジットカード加盟店へのマーケティング支援の面でもサービス強化を狙う。これまで、Tポイント提携先にはCCCMKHDがデータベースを活用したマーケティングを提供してきており、クレジットカード加盟店にはSMCCがキャッシュレスデータ分析サービス「Custella(カステラ)」を通じてマーケティング支援を行ってきた。両ポイントの統合により、ポイントから得られる7兆円の購買明細データと、キャッシュレスデータである30兆円のカードショッピング取扱高について、データ分析から販促ソリューションの提供、コンサルティングに展開することが可能になるという(画面4)

画面4 データベースマーケティングの拡充(出典:共同記者会見の説明資料より)

 その際に重視されているのが、個人情報保護やセキュリティの確立だ。「(お客様のデータが)どのような目的でどのように使われているかを、ご自身で確認できる環境を用意していく」(カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役社長兼COO、CCCMKホールディングス代表取締役社長兼CEOの髙橋 誉則氏)とした上で、年内にも第三者によるアドバイザリーボードの設置、プライバシーセンターの立ち上げを予定している。「このことを最優先のプライオリティで取り組んでまいりたい」(髙橋氏)。

「ポイントの提示し忘れ」に後付けの救済サービスも

 最後に、来春の新『Vポイント』開始以降の提供が予定されている新サービスを紹介しておこう。いずれも詳細は、サービス開始となる2024年春に発表される予定だ。

1)ポイントの二重取り(提示+クレカ決済)

(出典:共同記者会見の説明資料より)

2)ポイントの後付け

(出典:共同記者会見の説明資料より)

3)ポイントと決済をスマホの1回タッチで完了

(出典:共同記者会見の説明資料より)

4)ポイントの送金機能

(出典:共同記者会見の説明資料より)

5)家族間での送金・見守り機能

(出典:共同記者会見の説明資料より)

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。