CCC増田会長が決意を固めた「Vポイント」との融合、決め手はどこに

1983年3月、大阪府枚方市に「蔦屋書店 枚方店」を創業し、カルチュア・コンビニエンス・クラブを設立してTSUTAYAをフランチャイズ展開。その20年後の2003年10月に共通ポイントサービス「Tポイント」を立ち上げたのが、カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役会長 兼 CEOの増田 宗昭氏(写真)。さらにその20年後、愛着あるはずの「Tポイント」がSMBCグループの「Vポイント」へ統合されることになった。新ポイント誕生を告げる記者会見会場でのコメントから、増田氏の「青と黄色のVポイント」への思いを探った。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役会長 兼 CEOの増田 宗昭氏

「巷では『VTポイント』なんてのもあったらしいが(笑)」

 共通ポイントの「Tポイント」が生まれたのは2003年10月のこと。以来、20年に渡って親しまれてきた名称がなくなることに淋しさがないと言ったら嘘になるだろう。しかし増田氏は、記者への質問にこう答えた。
「名称へのこだわりはあまりなくて、いつも見ているのはお客さん。そのサービスの内容が素晴らしければ名称は付いていく。価値を作ることが僕らの仕事だ。Tポイントの加盟店数は15万店。これがVisaの国内750万店、世界の1億店で貯まるようになる。今回は明らかに、『Visa』さんを核とした『V』に価値がある。これをお客さんに伝えるには『V』がよいのか『T』がよいのか。巷では『VTポイント』なんてのもあったらしいが(笑)、その価値を重視して判断した」(増田氏)
 名称を、伝わりやすい『V』に完全移行する一方で、Tポイントのイメージカラーである青と黄色の配色はそのまま踏襲した(画面1)

画面1 新『Vポイント』のロゴ(出典:本発表に関するプレスリリースより)

 新『Vポイント』の特徴として、世界に広がる巨大な店舗ネットワークを持つVisaとつながることで、ポイントの貯まる場所・使える場所の双方に広がりを持たせることがある。本発表のプレスリリースタイトルでも『どんな経済圏にも縛られない みんなが使えるポイント』の表現が強調されている。しかし、新『Vポイント』は、現実的には、独自の「経済圏」を持った他の共通ポイントサービスたちとの熾烈な戦いを勝ち抜いていかねばならない。
 この点について増田氏は、「経済圏(という考え方)は基本的に企業のエゴだと思う」と断じた上でこう語った。「どのポイントサービスを使うのか決めるのはお客さんなのだから、それに対してわれわれに出来ることは『どこよリも価値のあるサービスを作ること』、この一点に尽きると思う」
 会見同日に公開されたコンセプトムービーには、「経済圏」、「スマホ」など増田氏の発言にも通じる、新『Vポイント』を支える重要なキーワードが散りばめられている。

【2024年春START】青と黄色のVポイント コンセプトムービー

「キャッシュレス」「スマホ」による環境変化を意識

 もうひとつ、背景にあるのがキャッシュレスの進展とスマホ(アプリ)の日常化だ。蔦屋書店を杭州、上海をはじめ、中国にフランチャイズ展開していく中で(画面2)、増田氏はそれらの店頭決済の実に97.3%がウィーチャットペイ、アリペイなどのスマホ決済で行われている現実を目の当たりにし、こうした世界観は必ず日本にも来るはずと考えている。

画面2 2020年に中国・杭州に出店した「蔦屋書店」の店舗(出典:共同記者会見の説明資料より)

「(Tポイントは)環境変化や競争が激化する中で、相対的に価値が落ちたと思う。世の中、環境が変われば価値は変わる。ポイントだって、かつては台紙にスタンプ貼って運営していた時期があり、そこに(Tポイントが)カード方式を入れて価値を高めた。でも今は、スマホやキャッシュレスがある中で、ありようが違ってきている。私は、これからのお札は『喋るお札』に変わると思っている」。増田氏はこう話し、自身のスマホを掲げてみせた。
 スマホの上で、決済と統合されたポイントサービスを提供していくためにも、Vポイントを擁するSMBCグループとのサービス融合が最適解として選択された格好だ。
 もっとも、近年はTポイントもモバイル対応に注力してきており、プラスチックカードに代えて2016年10月に始めたスマホアプリ「モバイルTカード」を利用するユーザーも着実に増加してきている(画面3)。新『Vポイント』への移行でこれをさらに強化し、最終的にはモバイル利用率100%を視野に入れる(画面4)

画面3 出典:共同記者会見の説明資料より

画面4 出典:共同記者会見の説明資料より

 増田氏が大阪で蔦屋書店を創業したのが1983年、その20年後の2003年10月に共通ポイントの「Tポイント」を開始。そしてそのさらに20年後の今年、Vポイントへの統合を発表するに至っている。
「今から20年後にどんな社会になっていくのか、それはわからない。しかし、Vポイントのような新しいサービスの登場で、もっと世の中は面白くなると思う」
 増田氏は笑顔でこう付け加えた。

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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