読売新聞グループ本社、読売巨人軍、東京ドーム、三井不動産の4社は、東京ドームの過去最大規模となるリニューアルを完了し、2022年3月1日にその姿を報道陣に公開した(写真1)。東京ドームへの入場ゲートでは顔認証と、番号を事前に紐付け登録したSuicaによる認証に対応。完全キャッシュレス化された場内では、タッチ決済を含む国際ブランド決済、非接触IC電子マネー、コード決済が利用できるほか、球団直営グッズショップなどの5店舗では手ぶらでの顔認証決済にも対応した。
顔(フェイス)で通過(スルー)するから「フェイスルー」
東京ドームが開始した新サービスの名称は「facethru(フェイスルー)」。パナソニック システムソリューションズ ジャパンの顔認証クラウドサービス「KPASクラウド」をベースに採用して構築した。
あらかじめ顔画像かSuicaの番号を登録し、入場チケットと紐付けておくことで、専用レーンにてチケット所有者の顔、あるいはSuicaをかざすだけで東京ドーム内に入場できる(動画1〜2)。マスク着用状態での顔認証に対応しているため、マスクをずらしたり外したりせずに済む点で実に快適そうだった。
動画1 顔認証により手ぶらで東京ドームに入場する
動画2 あらかじめ登録したSuicaをかざして東京ドームに入場する
顔画像やSuicaの番号の登録は、3月中旬以降にバージョンアップが予定されている読売巨人軍の公式アプリ「GIANTS APP」から行う(画面1)。「facethru」の利用には「GIANTS ID」の登録が必要だ。アプリでの対応が開始するまでは、東京ドームリニューアルの特設サイトに設置されたバナーを経由して、専用のWebサイトから登録が可能となっている。
対応するのは20・22・25・40・41ゲートの一部レーンで、写真2〜4の端末が設置されているのが目印となる。運用開始は3月25日から。
顔認証決済時にはPIN入力を併用
今回のリニューアルで東京ドーム内は完全キャッシュレス化を実現。飲食やグッズの売店をはじめ、客席販売、場内チケットカウンター、自動販売機、コインロッカーなどでキャッシュレスでの支払いが可能になっている。
対応する決済方法は、タッチ決済を含む国際ブランド決済、非接触IC電子マネー、コード決済が利用できる(写真6)ほか、球団直営グッズショップなどの5店舗では手ぶらでの顔認証決済にも対応した。
東京ドームでのオープン戦開催初日となる3月2日から、場内の5店舗で対応する顔認証決済の仕組みも、先述の「facethru」を利用したもの。事前の顔画像登録に加えて、支払いに利用したいクレジットカードの情報をあらかじめ登録しておくと、専用タブレット端末のカメラによる顔認証の後に、別途、顔認証決済用に設定しておいた暗証番号(PIN)を入力することでクレジットカードでの決済が済ませられる(動画3)。
動画3 金額入力までを店員が行い、支払い金額の最終確認から利用者が操作する手順となる
感染リスクの低減や、接触機会の低減を効果として狙っていることもあり、今回は暗証番号(PIN)を入力するディスプレイに特殊なセンサーを搭載し、指を画面に触れずに数字入力できる工夫が施された。
こちらもゲート入場時と同様に、いちいちマスクを外す必要のない点は便利に感じられた。筆者も顔認証を試してみたが、マスク着用にも関わらず、瞬時に顔認証が完了する。金銭の授受ということもあり、支払いの意思確認を含めて暗証番号(PIN)入力の手順が設けられているため、顔を向けただけで「誰かにうっかりご馳走してしまう」心配がないことも、ユーザーの利用しやすさにつながりそうだ。
せっかくなので、リニューアルした東京ドームの内部が見たい!
せっかくなので、東京ドームの内部も見学させてもらってきた。巨人ファンにはたまらないであろう数々の設備や調度品も堪能できるので、ぜひ機会を作って東京ドームを訪れてみてほしい。