メルペイが無料送金に対応、年間5,000億のメルカリ売上金をギフト用途に

メルカリとメルペイは7月13日、報道機関向けにオンライン説明会を開催し、新機能「おくる・もらう」のサービス開始を発表した。スマホ決済では個人を対象とした無料送金サービスを提供する事業者がすでに多くある中で、後発となるメルカリ/メルペイでは、ユーザーがメルカリでの売買を通じて得た売上金を友人や家族などにギフトとして贈りたいとのニーズに応える形で機能を開発したという。

「メッセージとともに、売上金を身近な人へ贈りたい」

 2019年2月にサービス提供を開始したスマホ決済「メルペイ」の利用者数は今年2020年1月時点で600万人以上、対応する加盟店(iDとコード決済の合計)は全国170万箇所に上る。
 メルペイの特徴は、年間約5,000億円に上るメルカリの売上金を、プリペイドの残高としてそのまま店舗での支払いに利用できること。それまでフリマ機能を中核とするメルカリ内で循環してきた資金を、外部へ環流させる役割も担っている。
 そんなメルカリのアプリに7月13日から新たに追加(段階的に適用)された機能が「おくる・もらう」。「メルペイ残高(メルカリの売上金、もしくは銀行経由で入金されたもの)」か「メルカリポイント(有償ポイントのみが対象)」をメルカリ/メルペイの会員間で送金し合うことができる(写真1)

写真1 商品開発の経緯を説明したメルペイ・「おくる・もらう」開発リーダーの中村 奎太氏。「メルカリ全体の4割のお客さまが、売上金を身近な人に送りたいと思っている。具体的には、会社の後輩や、妻へ「おつかれさま」や「労い」の気持ちを伝えたり、親への仕送りに使いたい、との声があった。『おくる・もらう』はこれらのニーズに応えて開発したものだ」

 利用方法は、まず送り手がメルカリアプリ内の「メルペイ」タブから「おくる・もらう」を選択(画面1)。送りたい金額の入力とカードデザインの選択、相手に送りたいメッセージを入力すると、受取リンク(URL)が生成される(画面2)。このURLをメールやSNSなどを用いて送りたい相手に送信する。

画面1 <送り手の画面> 「おくる・もらう」ボタンが登場

画面2 <送り手の画面> 相手には生成されたURLを伝える方式を採用

 リンク情報(画面3)を受け取った相手がURLをタップするとメルカリアプリが起動し、メッセージ入りのカードと送金金額が表示される(画面4)。送金してきた相手を確認して「受け取る」ボタンを押すと、送り手に対して「友だち確認依頼」が送り返される(画面5)
 ここで再び送り手の画面に戻ると、受け取り相手の名前とともに「友だち確認」画面が表示されるので、送り手が「承認」か「拒否」を選択すると送金が完了する仕組みだ(画面6)

画面3 <受け取り相手の画面> URLがLINEで送られてきた例

画面4 <受け取り相手の画面> 送り手の「表示名」とメッセージが確認できる

画面5 <受け取り相手の画面> 受け取り者が自身で設定した「表示名」とアイコンが返送される

画面6 <送り手の画面> 受け取り相手の「表示名」とアイコンが表示されるので、確認の上で承認すると送金が完了する

本人確認が完了していれば1日10万円まで送れる

 最後に「友だち確認依頼」をはさむ分、やや手順が多いように思われるが、これはマネーロンダリングや不正利用への対策を盛り込んだため。「アカウント乗っ取りやアカウント流出、第3者による不正利用、さらには他社サービスとの組み合わせによる架空取引なども想定して、総合的・多角的に対策を施した」(メルペイ 「おくる・もらう」開発リーダーの中村 奎太氏)
 送金は1円相当から可能だが、送金金額には上限も設けられている。送るのがメルペイ残高の場合、1回当たりの送金上限は10万円分までで、1日当たりの送金上限も10万円分まで。それに対して有償ポイントを送る場合には、1回当たりの送金上限が5,000円分まで、1カ月当たりの送金上限も5,000円分までと厳しく設定されている。これは、メルペイ残高の利用には本人確認が必須だが、有償ポイントの購入には本人確認が必須でないことに起因しているという。なお、キャンペーンなどを通じて入手できる「無償ポイント」は、送金には利用できない。
 また、メルカリ会員でない人に対してもメルペイ残高や有償ポイントを送金できるが、受け取りと利用に当たっては会員登録が必要になる。

画面7 カードのデザインは開始時点で24種類を用意。今後さらに増やしていく。「ここは開発で最もこだわったところ。金額だけでなく、気持ちも一緒に贈れるようにしたい」(中村氏)

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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