[09/08] 【コラム】自腹購入レビュー:世界初のNFC対応キーボードを試してみました。





相変わらず暑い日が続きますが、朝夕の風には確かに秋の気配を感じるようになりました。
さて今回は、一部に好評の、誰にも頼まれてもいないのに自腹購入&勝手レビューのコーナーをお送りします。まさかの第1回目は、パソコンの周辺機器で有名なエレコム社から先日発売になったばかりのNFC対応シリコンキーボードです。

スマートフォンやタブレットに利用できる外付けキーボードといえば、Bluetooth方式のものが主流、というかほぼ独占状態になっています。しかし、便利なBluetoothキーボードの欠点として、接続の設定が面倒というのがあります。コンピュータに慣れた人ならさほど問題なく操作もできるのですが、普通の人にはいささか導入ハードルが高く感じられます。

そこで、機器同士をタッチすれば両者がつながるという直感的なインターフェースを持ったNFC技術の出番です。NFCが複雑な接続の部分だけを肩代わりして、互いの機器(スマホとBluetoothキーボードなど)をタッチし合うだけで簡単に使えるような仕組みが開発されました。すでに実用化されていて、商品にもなっています。

しかし、ノルウェーのone2TOUCH社との共同開発により、先月8月に日本企業であるエレコム(ELECOM)社から発売されたNFC対応キーボードは、Bluetoothを使いません。最初の接続から、キーボード入力のすべての信号のやり取りをNFCだけでやってしまおうという野心的な試みです(商品化されているので“試み”という言葉はふさわしくありませんが。。)。

「世界初」モノに弱い当研究所でもさっそく実機を購入しましたので、その使用感について、簡単にレビューをお送りしたいと思います。

■■ELECOM NFC対応シリコンキーボード TK-FNS040シリーズ■■
http://www2.elecom.co.jp/peripheral/full-keyboard/tk-fns040/

■まずやることは、アプリのインストール
まずは開封の儀。どことなくオシャレなケースを開けると、3つ折りにたたまれたキーボードが出てきます。シリコン製のため、こんな芸当が可能になっています。持ち運び用に収納ケースまで付いていました。

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燦然と踊る「世界初」の文字。

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比較的高級感のあるケースを開封。

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キーボードの裏面には共同開発したノルウェーのone2TOUCH社の刻印が。

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左右に分かれたセパレートタイプ。中央部にNFCリーダが内蔵されており、そこにスマートフォンを置いて使用する。

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シリコンキーボードは独特の打鍵感。

使用するに当たり、スマートフォン側(もちろんNFC対応のAndroid端末)では3つの準備が必要です。1つはAndroidアプリのインストール。「NFCアシスタント」という接続アプリと、専用のIME(日本語入力環境)として「ATOK for ELECOM」の2つをGoogle Playからダウンロードし、インストールします。
なお、ダウンロードサイトへの誘導用に写真のステッカータグが同梱されていましたが、筆者の常用しているauのAQUOS PHONE SERIE(ISW16SH)のタグリーダーでは読み込むことができませんでした(「NDEF情報を取得できませんでした」の表示)。ここはあっさりと取扱説明書に載っていたQRコードを読んで、解決です。

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ダウンロードサイトのURLが書き込まれたタグシールが同梱。

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事前に2つのAndroidアプリをインストールする必要がある。

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「ELECOM NFCアシスタント」アプリ

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「ATOK for ELECOM」アプリ

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同梱のタグシールは、AQUOS PHONE SERIEでは読めず。

さて、アプリのインストールが済んだら、IMEの設定をします。NFCキーボード利用の際には、Androidの「設定」画面より、いつも利用しているIMEから「ATOK for ELECOM」への切り替えが必要です。そして最後に、スマートフォンのNFC機能をオンにします。これは常時オンにしている人には不要の操作ですね。
と、準備はこれだけです。意外に簡単な印象を受けました。


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「設定」画面からELECOM専用のIMEを選択する。


■ただ載せるだけでキーボードとスマホがつながる!
いよいよNFCキーボードの利用ですが、なんと左右に分かれたキーボードの中央部分にスマートフォンを載せるだけ。確認音と一緒に「NFC Connected」のポップアップが出て、テキスト入力のあるアプリケーション(Eメールやメモ帳などなど)に対して、NFCキーボードを通じて入力ができるようになります()。確かにこれはわかりやすいです。
※NFCアプリを複数入れているとポップアップで選択画面が出ます。もちろんELECOMアプリを選択。

[flickr id=”7953469186″ thumbnail=”small” overlay=”true” size=”large” group=”” align=”none”][flickr id=”7953469506″ thumbnail=”small” overlay=”true” size=”large” group=”” align=”none”] キーボードにスマートフォンを載せるだけでつながる!

しばらく文章を打ってみましたが、キー入力の反応自体はほんのわずかな遅れを感じるくらい(0.1秒くらい?)で、実用上は問題ない印象です。ただ、筆者は左右セパレート型のキーボード自体が初体験だったので、快適に入力できるようになるまでには少々時間を要するような感想を覚えました。シリコン製のキートップの打鍵感もそうですが、これは本題であるNFCとは無関係ですので、評価の対象外としました。

[flickr id=”7953470790″ thumbnail=”small_320″ overlay=”true” size=”large” group=”” align=”none”] Eメールやメモ帳、Twitterなど、アプリからテキスト入力する場面でキーボード入力が可能になる。

一方で、課題を感じたこともあります。1つはキーボードを入力していると、途中でスマホの画面がスリープモードに入ってしまうことです(設定にもよりますが。。)。そのたびに画面に触れる必要があるのですが、この点はぜひアプリアップデートでの改善を望みたいところです。もう1つは、入力中にスマホの位置がズレると、「NFC Disconnect」の表示が出て、接続が切れてしまうことです。もちろんまた位置を直せば再び「NFC Connected」になるので問題はないのですが、これは「近距離」無線通信技術であるNFCの宿命かもしれません。

■内蔵電池方式にはデメリットも
最後にもう1つ、驚いた点を。このNFCキーボードは内蔵のリチウム電池で駆動するため、充電がいっさい不要です。これは大きなメリットで、充電ケーブルや予備の電池を気にすることなく毎日持ち運ぶことができます。しかし、電池交換ができない(!)ため、メーカー公称では約1年6ヶ月間くらい使用する(1日8時間)と電池が切れて、もれなくシリコンの「文鎮」になるという思い切った仕様になっています。
まさにポータブルキーボードの発想の大転換とも言える大胆な仕様ですが、壊れたらまた買う、つまり「使い捨て」の位置付けになります。主旨を理解していればまだいいんでしょうけれども、後から気が付くとかなりショックを受けます。よほど電池交換できるようにするのが難しかったのでしょうか、あるいは裏蓋を開けられない事情があったとか。。こちらも今後の改善に期待したいところです。

製品の成熟度としては課題もありそうですが、NFCを使った奇抜なアイディアがこのように登場してくること自体は、基本的には喜ばしいことだと思います。今後もさまざまなバリエーションが出てくることに大いに期待しています!

■■製品の主な仕様(ELECOM社ホームページより抜粋)■■

対応機種
NFC 対応Android スマートフォン(ISO/IEC 18092 およびISO/IEC 14443 Type Aに準拠)
対応OS
Android2.3.4~2.3.7/Android4.0以上
接続方式
NFC IP-1(ISO/IEC 18092に準拠)
電波周波数
13.56MHz帯
電波到達距離
キーボードの表面より約10mm
対応電池
コイン型二酸化マンガン・リチウム1次電池(本体に内蔵)
動作時間
約1年6ヶ月
キー数
45キー
キータイプ
シリコンタイプ
キーピッチ
15.0mm
キーストローク
1.0mm
外形寸法
幅341.0×奥行65.0×高さ8.6mm
質量
約144g


(文責:多田羅/電子決済研究所)




About Author

多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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