「ペイといえばau PAY」な世界を目指して決済ブランドを統合、総額70億円分の還元キャンペーン実施も

KDDIは1月28日、東京都内で「au PAY」の発表会を開催し、同社が提供する決済・コマースサービスのブランド名を「au WALLET」から「au PAY」に変更すると発表した。これに併せてau PAYのスマホアプリが大幅にバージョンアップされるほか、新テレビCMの放映、そして総額70億円分のポイントを還元する大型キャンペーンの開始をアナウンスした。

au WALLETは「au PAY」に変更・統一

 KDDI(au)は2014年から提供している「au WALLET」の決済サービス名を変更し、今年の2月以降、順次「au PAY」ブランドに統一する。現・au WALLETアプリは「au PAYアプリ」、現・au WALLETプリペイドカードは「au PAYプリペイドカード」、現・au WALLETクレジットカードは「au PAYカード」、他にショッピングモールの現・au Wowma!は「au PAYマーケット」といった具合に変更される(写真1)。au PAYプリペイドカードをはじめとする各カードの券面切り替えは2020年5月以降の予定。


写真1 au WALLETクレジットカードは、今回のブランド変更で「クレジット」の文字が消え、「au PAYカード」となる

 KDDI・取締役執行役員専務 パーソナル事業本部長の東海林 崇氏(写真2)は、「当社はスマホ&決済のパイオニアとして、2014年5月からau WALLETのプラスチックカードとそれを管理するスマホアプリを提供してきた。そして、昨年1年間の『PAY元年』、ひいては『スマホ決済元年』を受けて、私どもも4月にコード決済サービスの提供を開始した」と振り返る。

写真2 KDDI 取締役執行役員専務 パーソナル事業本部長の東海林 崇氏

 その後、今年の1月にはauのポイント保有会員数が2,800万を突破し、モバイル口座数は2,200万を超えるまでに成長した。その過程で、「何が変わってきたかというと、決済、ポイント獲得、ポイント利用といったそれぞれの体験量が増えれば増えるほど、NPS(ネット・プロモーター・スコア)が上がること(写真3)。お客様に接触していただくと、私どもに非常に愛着を持っていただけることがわかった」(東海林氏)

写真3 2014年以降、スマホ決済サービスの提供に伴ってお客のエンゲージメントが上がったという

 さらに、今年5月には共通ポイントである「Ponta(ポンタ)」とのサービス統合を発表し、「au PAYを使えばPontaが貯まる」(東海林氏)布陣を整えたことで、両社の会員数を合わせた会員基盤は1億を超える規模に発展した。この提携関係はコンビニ大手のローソンにも広がり、年間来店者数41億人、全国1万4,600拠点を擁するリアル店舗との相乗効果も今後、期待されている。
 発表会では「au PAY」がauの名前を冠するサービス名であるにも関わらず、「ドコモでも、ソフトバンクでも、他のキャリアでも、どなたでもご利用いただける」(東海林氏)ことが繰り返し強調されていた。この1億人という巨大な会員基盤に対して提供していくサービス名こそが「au PAY」。東海林氏は「『ペイといえばau PAY』と呼ばれたい」との期待を込めて話した。

KDDI謹製「スーパーアプリ」の強みは総合金融サービスとの連携に

 新たに統一したブランドの下でのサービス提供で中心となるのが、今年2月4日にau WALLETアプリの更新により登場する「au PAYアプリ」。同社の表現によると、「ひとつのアプリでお客さまの家計や日常生活にかかわるすべての入り口となる、金融サービスに強い『スーパーアプリ』」(写真4)を目指すという。
 au PAYアプリでは、au WALLETアプリで1つの提供メニューとして収まっていたために起動にワンタップが必要だったau PAYのコード表示(バーコード・QRコード)機能を、アプリのトップ画面に直接表示(バーコード)するように変更し、使い勝手を向上させる。

写真4 auの「スーパーアプリ」は金融サービスとの親和性が特徴的。au PAY残高のオートチャージは通信料金との合算、じぶん銀行に加えてクレジットカードにも対応する

 また、今後は飲食店の事前注文やタクシーの配車予約などの手続きをアプリ内で完結できるサービスを追加するほか、当面3つの機能を拡充する。1つ目は、公共料金などの請求書支払い機能で、今年3月の提供を予定する。2つ目は、今年の上期中にクレジットカードである「au PAYカード」からのau PAY残高へのオートチャージに対応する。そして3つ目は今年3月から、同社が提供する電力サービス利用者向けに「おつり投資 for auでんき」を開始し、資産運用を促す。
 登壇したauフィナンシャルホールディングス・代表取締役社長の勝木 朋彦氏(写真5)は、「われわれKDDIグループとしては、十数年に渡り培ってきたフルラインアップの金融サービス(写真6)に、『au PAY』を掛け合わせることで、お客様の便益を拡大していきたい」と話し、他社の「スーパーアプリ」戦略との違いを強調した。今後も投資や資産形成サービスをはじめとした「auフィナンシャルのすべての知見をアプリに移植していく」(勝木氏)ことで、スーパーアプリ化を進める考えだ。

写真5 auフィナンシャルホールディングス 代表取締役社長の勝木 朋彦氏

写真6 KDDIではauフィナンシャルグループが提供する各種金融サービスを融合して提供する「スマートマネー構想」を推進している

すべてのau PAY加盟店で総額70億円のポイントを還元

 今回の「au PAY」へのブランド統合にあわせて、2月10日から3月29日までの7週間に渡り、毎週10億円分の還元を上限とする、総額70億円分の大型キャンペーンを開催する。au PAYが使えるすべての加盟店での決済利用が対象で、利用金額の最大20%相当のポイントが還元される。ポイント還元の上限は、全体を3つに区切った対象期間によって異なるが、期間中の合計では利用者1人あたり最大7万円分のポイントが還元される(写真7、8)

写真7 「Pontaと提携した頃から『auが大型の還元をやるらしい』と噂になっていたそうだが、お待たせしました」(東海林氏)

写真8 「消費者にアンケートを取ると、キャッシュレスを利用し始めるきっかけは3つ。利用できる店舗が多いこと。安全であること。そして、ポイントや割引特典があること。1番、2番はもちろん、それにに加えてわれわれもこの3番目のニーズにお応えします」と東海林氏

【参考】誰でも!毎週10億円!もらえるキャンペーン(KDDIのキャンペーンサイト)

 同じ2月10日からは、じぶん銀行でもau PAYにオートチャージを設定して支払うと抽選で50名に10万ポイントが当たるキャンペーンを実施するほか、ローソンでも今後、個別のキャンペーンを予定しているという。
 キャンペーンが大型であればあるほど、気になるのはキャンペーン終了後の利用者離れをいかに食い止めるかだが、この点に関してKDDI・ライフデザイン事業本部 新規ビジネス推進本部 副本部長の中井 武志氏は「今回、au PAYにブランドを統一するが、(auでは)コード決済から非接触、Apple Payなどいろいろと取り揃えている。まずはコード決済を爆発的に盛り上げていきたいと考えているが、その後もPontaとの連携、金融との連携と、ポイントジェネレイトの循環を持っていることが当社の強みなので、そこを発揮していきたい」と話し、継続的にサービス利用を促す施策を準備していることに関して含みを残した。

「au PAYで。」な新テレビCM、「流行って欲しい」と菜々緖さん

 発表会ではau PAYの新テレビCMも公開された。「鯛やヒラメ」の舞い踊りをもじった、「ペイやヒラメ」の舞い踊り篇として、2月3日から全国でオンエアされる。
 このCM動画の中でも「PAYといえばau PAY」のフレーズが読み上げられ、タレントの菜々緖さん(写真9、10)がユニークな振り付けにあわせて発声する「au PAYで。」の決めゼリフとともに、耳に残ってしまいそうな印象を受けた。

写真9 auのテレビCMに乙姫役で出演している菜々緖さんは、発表会で「最近はわたしもお財布を持たず、スマホだけ持って外出することがありますけど、キャリアが違っても使えるau PAYは、お得に買い物もできてとっても便利。皆さんにもたくさん使っていただきたい」とコメント

写真10 テレビCM中で決めポーズとともに繰り返される「au PAYで。」の振り付けを菜々緖さんが生実演。「ぜひ、流行って欲しい」と笑顔で応えた

写真11 毎週10億円分を還元するキャンペーンでは、auスマホユーザーでなくても「誰でも」使えることをアピール

 

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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