カルチュア・コンビニエンス・クラブのグループ会社であるCCCマーケティングは11月5日、パナソニックと業務提携し、光ID技術を利用した新しい電子スタンプサービスの提供を開始した。CCCマーケティングが2016年7月から提供しているポイントカードまとめアプリ、「スマホサイフ」の新機能として提供する。ポイントカードやクーポン券の情報を、「光(可視光)」を通じてスマホに配信するという。
スマホを光に向けるとスタンプが「押印」される
CCCマーケティングが採用したのは、LED 光源から送信されるID信号をスマートフォンで受信して情報を入手できるパナソニックの光ID技術「LinkRay(リンクレイ)」。これを活用した電子スタンプサービス「光スタンプ」を2社で共同開発し、11月5日から「スマホサイフ」アプリ上での提供を開始した(写真1)。Android端末、iOS端末のどちらにも対応する。
スマホサイフでは、一覧メニューから希望するお店のポイントカードやクーポンを登録すると、それぞれのお店が導入しているバーコード読み取りや番号表示、電子スタンプなどの方法を用いてサービスが受けられる。今回のサービス拡張により、新たに「光スタンプ」が加わった格好だ。
利用方法(下の動画)は、まずスマホサイフアプリを起動して、「光スタンプ」に対応するポイントカードやクーポンを選択する(使いたいお店の登録が済んでいなければ、サービス一覧から選び、規約に同意するだけで登録が完了する)。画面右下に黄色で表示されたボタンをタップするとスマートフォンのカメラ機能が立ち上がるので、これを専用の「スタンプスタンド」に向ける。この時、「スタンプスタンド」の下に用意されているボタンを押すとライトが点灯し、その光をスマホが自動的に読み取って認識(写真2)。スマホサイフ画面への「スタンプ」が完了する。利用者の手順としては、ちょうどスマホアプリからQRコードを読み取る動作に近い。
【動画】「光スタンプ」の利用手順
スマホサイフのDL数は2年間で150万に
発表翌日の11月6日からは、熊本県熊本市の下通商店街が「光スタンプ」を採用した「スマホ deスタンプ in 下通商店街」キャンペーンを開始した。来年、2019年の3月3日まで実施する(画面1)。参加店(画面2)に来店し、お店に設置された「スタンプスタンド(卓上発信機)」にスマホサイフをかざすと商店街オリジナルスタンプが貯まる。スタンプを5個貯めると、今年12月と来年3月に実施される抽選会に参加できる。
CCCマーケティングでは、現在、日本政府や事業者を中心に取り組みが活発化しているキャッシュレス化の動向に関連し、将来は財布の中身がすべてスマートフォンに一元化された「ウォレットレス社会」になると想定している。しかし、その一方で、「生活者目線の課題が置き去りになっているのではないか。スマホでキャッシュレス社会が進んでも、ポイントカードやクーポン券はなくならない。スマホとカードを両方出す必要があり、利便性は向上していない」(CCCマーケティング・スマホサイフ事業管掌COOの渡辺 朗 氏/写真3)
こうした課題意識から、同社は2016年7月からポイントカードやクーポン券をスマートフォンに集約できる「スマホサイフ」アプリの提供を開始、中小小売業をはじめ、商店街やイベントなどへ導入を働きかけてきた。2018年10月末時点の参加企業は、Tカードはもちろん、マツモトキヨシ、マクドナルド、ガスト、一風堂、GAPなど29のブランドが対応。Android端末の対応機種では楽天Edy、iD、QUICPay(iDとQUICPayは発行会社が限られる)にも対応している。「スマホサイフ」アプリのダウンロード数は150万を突破した。
「光スタンプ」ではスマートフォンで認証を行うため、「紙のスタンプでは取得し得なかった利用客の購買情報を可視化できる」(渡辺氏)。同社ではこうしたCRMへの活用のほか、150万DL実績のあるユーザーの送客効果などをアピールして、導入先を増やしていきたい意向だ。