福岡を本拠とする「TRIAL(トライアル)」の小型スーパー店舗、「TRIAL GO(トライアル・ゴー)」がこの11月に都内初出店を遂げた。トライアルではハウス型プリペイド決済サービスの「SU-PAY(スーペイ)」を提供しているが、この追加サービスとして「顔認証決済」が利用可能になっており、TRIAL GOは全店で対応している。ということで、都内初出店のTRIAL GOでさっそくSU-PAYの顔認証決済を試してきた。
TRIALのスマホ決済アプリに顔情報を紐付ける
今年の11月7日に「TRIAL GO」の都内初出店となる西荻窪駅北店(東京都杉並区)、富士見台駅北店(東京都練馬区)が同時オープンした。さらに12月上旬には笹塚駅西店(東京都渋谷区)、中野中央5丁目店(東京都中野区)をオープンし、4店舗体制となった。今回は11月下旬に富士見台駅北店(写真1)で顔認証決済を体験してきた。

写真1 2025年11月7日に新規オープンしたTRIAL GO富士見台駅北店
トライアルのプリペイド口座に残高を入金して使う決済サービスは、バーコードの貼付されたプラスチックカード(写真2)か、スマホ決済アプリ(「SU-PAY(スーペイ)」/画面1)の画面を通じてお店のPOSレジに会員証情報を提示することで、残高の範囲内で支払いに利用ができる。TRIAL GOではこれに加えて、あらかじめ登録しておいた利用者本人の顔情報だけでもプリペイドの残高が利用できる。

写真2 店内で配布されていたトライアルのプリペイカード

画面1 「SU-PAY」アプリのダウンロード画面
この顔認証決済を利用するためには、スマホアプリ「SU-PAY」の利用登録を済ませておくのに加えて、顔情報の登録用に「NEC顔リンク」アプリ(画面2)をダウンロードして事前登録しておく必要がある。
「NEC顔リンク」アプリを起動したらまず「新規登録」を選択し、アカウントを作成する。これはSU-PAYとは別のアカウントになる。

画面2 「NEC顔リンク」アプリのダウンロード画面
最初に本人確認として、運転免許証かマイナンバーカードのいずれかを本人確認書類として登録する(画面3)。運転免許証の場合はPINコードを入力した上でICチップをスマホで読み取るか券面の撮影によって登録し、マイナンバーカードの場合は生年月日などの情報を入力した上でICチップをスマホで読み取る(画面4〜5)。

画面3〜5 本人確認書類を選んだら、ICチップの読み取りなどの手順へ進む
本人確認書類の読み取りが終わったら、次は利用者自身の顔写真をセルフィーで撮影する(画面6〜7)。ここでは正面撮影以外に、指示された通りに顔を動かすことで撮影が完了する。撮影が終わると今後使用する「ログイン情報」として、メールアドレスと新規パスワードの設定が求められる(画面8)。パスワードは8文字以上で、英文字の大小、数字、記号がそれぞれ1文字以上含まれる必要がある。その後、メールアドレス宛てに届いた認証コードを入力することで、「NEC顔リンク」の登録は完了となる。

画面6〜8 続いては顔写真の撮影。正面だけでなく、画面の指示にしたがって顔を動かす。最後にログイン用のパスワードを設定する(画像は一部、修整しています)
続いて顔情報とSU-PAYの紐付け登録作業に進む。「NEC顔リンク」アプリ内から「連携サービス一覧」を選択し、「TRIAL」のボタンを押す(画面9)。連携にかかるサービス利用規約に同意し、画面の誘導にしたがってSU-PAYアプリにログインすると、連携手続きが完了する(画面10〜11)。
別途SU-PAYアプリに、買い物に十分な残高を入金しておく必要はあるが、これで顔認証決済に必要な準備がすべて整った状態になる。ここまで来たら、いざTRIAL GOへGO(直行)しよう!

画面9〜11 「NEC顔リンク」アプリから、連携するサービスを選択する。連携する情報の確認が済んだら、連携手続きは完了。使い方の説明が表示される(画像は一部、修整しています)
レジに立ったらいきなり顔認証、支払いは商品スキャン後、瞬時に完了
やってきました、東京都練馬区の富士見台駅北店。11月7日オープンということで、訪れた11月下旬現在ではお店の外観も店内もまだピカピカしている印象だ。ここではTRIAL GOの売りにもなっている手頃な値段で美味しいお惣菜や弁当を物色。ボリュームたっぷりな「ロースかつ重」(写真3)などを買い物カゴに入れて、いざセルフレジへ。

写真3 このお値段でのこのボリューム感に、大いに食欲がそそられる(写真は一部、修整しています)
するといきなりPOSレジのTOP画面に、SU-PAYのアプリかプリカを持っている・持っていないの意思表示ボタンと並んで、「顔認証決済の方は、こちらから」の赤いボタンが(写真4)。迷わずに顔認証決済を選ぶ。すると、同機能が実験中であることと、顔画像の事前登録が済んでいるかの確認画面が表示された(写真5)。ここで「はい(続行)」を押すと、レジ用の防犯カメラと思っていたディスプレイ付きカメラの画面が切り替わり、顔認証がスタートした。
わずか数秒であっという間に認証が完了すると(写真6)、顔認証カメラの画面がレジ周辺を映す防犯カメラに切り替わり、商品スキャンを行うよう指示が出る。一般的なセルフレジの要領で、購入する商品のバーコードを次々とスキャンしていけばよい。

写真4 セルフレジの全台が「顔認証決済」にも対応

写真5 「顔認証決済」を選択すると、事前登録が済んでいるかどうかを確認される

写真6 顔認証はセルフレジ右上に据え付けられたカメラで行われる
商品スキャンがすべて終わったら有料のレジ袋の必要有無を選択し、いよいよ会計へ。会計画面では「電子マネー(トライアルプリペイドカード/SU-PAYアプリ)」と「現金」の2択のボタンが表示された(写真7)。ちなみにシステムの都合上、現段階ではクレジットカードや電子マネー、スマートフォン決済のキャッシュレスは利用できず、現金かSU-PAYのみ利用可能になっていた。

写真7 顔認証でSU-PAYの残高やポイントを利用したい場合は「電子マネー」を選ぶ(写真は一部、修整しています)
ここでは左側の「電子マネー」を選択、次の支払い最終確認画面で「お会計」ボタンを押すと(写真8)、1秒も経たないうちに画面下のプリンターからレシート(写真9)が勢いよく発行されてきた。何というスピード! あまりの早さにしばし呆然として立ち尽くしてしまうほどだった。

写真8 決済直前の画面では「チャージ」や「ポイント支払」の操作も可能(写真は一部、修整しています)

写真9 レシートの決済欄には「プリカ支払」と記載され、会員番号や残高情報などのみが併記されており、「顔認証決済」であることを区別する表記は見られない(写真は一部、修整しています)
「顔認証」と「決済」のタイミング分離が画期的
この日は試すことができなかったが、顔認証決済では事前準備の際に運転免許証かマイナンバーカードの読み取りによる厳格な本人確認が行われているため、利用者の年齢についても認証結果が援用できる。通常、酒類を購入する際には店員目視などによる年齢確認が必要になるが、20歳以上の人が顔認証決済を利用する場合にはこの年齢確認をスキップできる。手ぶらで支払いできることに加えて、これもまた顔認証決済ならではの便利な機能といえる。
体験してみての感想だが、実はいま筆者は猛烈に感動している。特に2025年は電子決済マガジンで数多くの顔認証決済を体験してきたが、「普通に実用性が高い」と思わせてくれたのはTRIAL GOが初めてだ。
その理由は、「顔認証の読み取りスピードが速い」とか「顔認証を利用できるレジが限られていない」といったことではなく、顔認証をするタイミングにあったと思う。国内で提供されている多くの顔認証決済サービスでは、実際に支払手段として顔認証を選ぶタイミングが商品スキャンなどを行った最後に来る。これは現金やクレジットカードなどで支払う場合と一緒のタイミングで、普通に考えればそこに顔認証決済も選択肢のひとつとして並べるのが自然だろう。
しかし、TRIAL GOは違う。お客がレジ前に来てまず一番最初に顔認証の操作手順が来る。顔認証に要する処理時間は瞬時とは言えないが、レジの傍に買い物カゴを置いたりした直後のこともあってか、さほど待たされている感じはしなかった。
一方、「顔認証決済」の「顔認証」のパートが先に済んでしまっているので、いざ「決済」のタイミングでは支払う意思を確認するだけでよい。ここでの処理はSU-PAYのプリペイド残高から代金を差し引くだけなので、確認ボタンをタッチしたとほぼ同時に決済処理が終わった印象を受けた。あえて「顔認証」と「決済」のタイミングを分離したことが、画期的な「顔認証決済」を生み出すことに功奏している。
ちょっと評価が高過ぎではないか? いやいや、論より証拠。東京で暮らす皆さんもぜひTRIAL GOを訪れてSU-PAYの顔認証決済を試してみてほしい。来年1月4日まではポイントが10%還元になるキャンペーンを実施中の店舗もあるので(写真10)、よくチェック&顔認証決済の事前準備をした上でお店へGOだ。

写真10 取材した富士見台駅北店と、西荻窪駅北店では顔認証決済の利用でポイントを10%還元するキャンペーンを実施中