LINE PayのCPMも、PayPay加盟店に一本化
2018年以降、急速に立ち上がった日本国内の「QR・バーコード市場」で、取扱高では68%超(同社調べ)という圧倒的な市場シェアを誇るPayPay。今年10月1日からはこれまで0円だった中小個店の決済手数料が有料化され、これが拡大に歯止めをかけるのではとの懸念がまことしやかに噂されていたが、注目の解約率が明らかになった。
手数料有料化後のPayPay解約率は、店舗数ベースではわずか0.2%(2021年9月末時点の加盟店数344万カ所に占める、決済手数料有料化公表後に解約した店舗の割合)、取扱高でも0.1%(2021年第2四半期<7〜9月>の月間平均取扱高に占める、2021年10月までに決済手数料有料化に伴い解約した店舗の同期間の月間平均取扱高の割合)にとどまった(画面1)。
PayPayのビジネスモデルは、画面2のように3階建てで説明されてきたが、決済手数料の有料化は、このうち1階部分に当たるベース収益の強化に位置付けられる。
10月1日から中小個店向けのPayPay決済手数料は「1.98%(税別)」、もしくは、月額1,980円のマーケティングプラン加入と月1回の入金サイクル設定により適用となる「1.60%(税別)」の2種類となった。これを受けて、一部報道ではPayPayの解約意向が相当な規模になるとの予測も取り沙汰されていたが、実態としては問題になるほどの解約にはつながらなかった模様だ。
Zホールディングスが11月2日に開いた「2021年度第2四半期決算説明会」の中で、同社・代表取締役社長Co-CEO(共同最高経営責任者)の川邊 健太郎氏は「われわれは(PayPay契約店舗の)全数を把握しているので、全数で見た数字を開示した。手数料有料化の影響が軽微となった理由として、やはりPayPayのユーザー数や利用頻度の多さ、そしてお店から見てもキャッシュレスの使い勝手の良さがあり、まさにユーザーとお店の両方から評価を頂けた結果と受け止めている。クレジットカードに比べてレートが低いこともあり、使い分けの観点も働いているのではないか」とコメントした。
取扱高や登録者数、加盟店数などの指標(画面3)を見ると、今期の伸び率はやや鈍化したようにも見えるが、決済回数をはじめとして、コロナ明けの社会環境を睨めばまだまだ成長余力を残しているようだ。
また、Zホールディングスの下で事業の統合を進めるPayPayとLINE Payに関しては、今年8月からMPM(店舗がQR・バーコードを提示する方式)でのサービス連携が始まっているが、今後、CPM(消費者がQR・バーコードを提示する方式)でもPayPayの対応加盟店でLINE Payでの支払いが可能になるべく準備を進めていることも明らかになった(画面4)。これにより、事実上、QR・バーコード決済の加盟店はPayPayに一本化されることになり、送客や加盟店管理などでより一層の業務効率化やコスト削減効果が見込まれる。
さらにその先には「LINEアプリ上でのPayPay残高による決済」も視野に入っているが、あくまでPayPayユーザーを強化する視点からの施策であり、「(両Payサービスの)残高や会社の統合は実施しない方針だ」(川邊社長)という。