ヤフーの金融サービスブランドは「完全PayPay化」へ、コロナ禍でも成長を堅持

営業利益でコマース事業がメディア事業を初めて上回る

 ZホールディングスとZフィナンシャル、およびソフトバンクは7月31日、2020年の秋以降、順次、各社傘下の金融事業会社6社の社名とサービス名を「PayPay」ブランドに統一すると発表した。金融事業会社6社における社名変更については、各社の取締役会において、各社の株主総会で「定款一部変更の件」が承認されることを条件に、商号の変更を行うことを決議した(画像1、2)

画像1 6つの金融サービスブランドが「PayPay」に統一される(出典:Zホールディングスとソフトバンクの共同報道発表資料より)

画像2 金融事業会社の社名、サービス名の変更(出典:Zホールディングスとソフトバンクの共同報道発表資料)

 同じ7月31日の夕方、Zホールディングスは2020年度第1四半期決算(4〜6月)の決算説明会をオンライン開催。コロナ禍により4月に発令された緊急事態宣言の影響を直接に受けた四半期にも関わらず、増収、営業利益増を達成した(画像3、4)

画像3 2020年度第1四半期の連結業績(出典:Zホールディングスの2020年度第1四半期決算説明資料)

画像4 コロナ禍における同社の事業環境(出典:Zホールディングスの2020年度第1四半期決算説明資料)

 売上収益は対前年同期比(YoY)で14.8%の増加。ヤフーショッピングやPayPayモール、ZOZO(2019年11月に連結子会社化)などのEC物販を中心とするコマース事業の伸長が、増収を支えた。コマース事業は費用削減効果もあり、営業利益(363億円)で、もう1つの主力事業である広告を中心としたメディア事業(335億円)を初めて上回った。その一方で、2019年度第1四半期に計上したPayPay持分変動益の影響により、純利益はYoYで16.9%の減少となった。
 PayPayの進捗状況については、4〜6月の外出自粛の影響でオフラインの利用が減り、伸び率に影響は見られるものの、決済回数、加盟店数、登録者数のいずれも増加した(画像5)。PayPayのマネタイズにつながる施策についても、今年度は金融やO2Oの領域でのサービス投入が予定通り進んでいるとした(画像6)。特にO2Oの「PayPayピックアップ」は、コロナ禍でお店への来店が控えられる状況にあって引き合いが増えており、営業展開を強化しているところだという。
 Zホールディングス・代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)の川邊 健太郎氏は決算説明会の中で、「Zホールディングス規模の会社の経営は『ジャンボジェット機』を操るようなもの。各社がきちんとやってくれている中、ある種の自動運転をしている感覚で安心しながら航行しているのが通常だが、この四半期は自ら操縦桿を握って、あらゆる『計器』を見て、不時着しないように、規程の航路を通って目的地に到着できるようにと、細心の注意を払って経営を行ってきた。そして経営と現場が、このコロナ禍で困っている世界に便利なサービスを提供できるようにと、息を合わせられたことがこの結果につながったと思う。コロナ禍はますます不透明感を増しており、引き続き緊張感を持って、通期でも増収増益を果たしていく」と意欲を見せた。

画像5 PayPayの進捗状況(出典:Zホールディングスの2020年度第1四半期決算説明資料)

画像6 金融やO2Oと連動するPayPayの新サービス(出典:Zホールディングスの2020年度第1四半期決算説明資料)

 

<関連URL>
Zホールディングス株式会社、Zフィナンシャル株式会社のプレスリリース
https://www.z-holdings.co.jp/pr/press-release/2020/0731/

ソフトバンク株式会社、Zホールディングス株式会社のプレスリリース
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200731_01/

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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