丸ノ内線の中心で、期間限定の「QRコード乗車券」をためす

スマホ決済やデジタルポイントカードの普及なども手伝って、電車やバスの運賃収受にQRコードを「乗車券」として利用するサービスが全国に広がりを見せ始めている。そんななか、この4月下旬から東京地下鉄(以下、「東京メトロ」)が運行する丸ノ内線で実験が始まったのが「デジタル1日乗車券」(実験期間は4月25日〜6月25日までの予定)。紙に印字されたものでなく、スマホ画面に表示したデジタルなQRコード乗車券の使い勝手を、誰もが手軽に体験しやすい機会かもしれない。実際の使い方を現場からレポートする。

「沿線スポット巡りアプリ」なら完全無料で体験可能

 「三度の飯より新しもの好き」の筆者とあって、こんなに身近な丸ノ内線で行われる実証実験に参加しない手は最初から頭になかったのである。ところが、いざ実際に体験してみようとすると、一体どうやって「デジタル1日乗車券」(写真1、2)を入手したらよいのか、正直いってこの手のサービスには慣れてるほうだが、それでもちょっとわかりにくくて、実物の改札を目の前にして右往左往してしまった。そこで、今回は読者の皆さんにいちばんお手軽な参加方法を伝授したい。

写真1 東京メトロの駅構内に貼り出された紹介ポスター

写真2 タブレットの設置された改札付近にはこの大きな掲示物が置かれている

 まず、東京地下鉄(以下、「東京メトロ」)が提供する「デジタル1日乗車券」を入手するには、以下、丸ノ内線沿線にゆかりのある3つのサービス(画面1)の中から、自分が使いたいと思えるものをどれか選ばなければならない。1日乗車券を単体で入手したり、利用することはできないことを最初に知っておこう。

1)沿線のスポット巡りイベント<提供会社:リアルワールドゲームス>
2)沿線から相乗りタクシーでの羽田空港送迎<提供会社:NearMe>
3)沿線のワークスペース利用<提供会社:via-at、提供協力会社:駅探>

画面1 デジタル乗車券は3つのアプリにのみ対応。単独提供は行われていない(出典:東京地下鉄の2023年4月10日付け報道発表資料『丸ノ内線でQRコードを利用したデジタル乗車サービスの実証実験を行います』より)

 このうち、相乗りタクシーとワークスペース利用(シェアオフィス)にはそれぞれ別途に料金がかかるので、完全無料で利用できるものを選ぶならばリアルワールドゲームスが提供する沿線のスポット巡りイベントの一択になる。
 沿線のスポット巡りを体験するには、まずアプリの「ビットにゃんたーず」(画面2)をスマホにダウンロードして利用登録を行う必要がある(アプリの利用条件は「満13歳以上の個人」なので注意)。このアプリ上では位置情報や地域に連動するいくつかのイベントを選んで楽しめるが、「デジタル1日乗車券」を利用できるイベントは『丸ノ内線江戸巡り 〜目指せ!徳川埋蔵金〜』なので、アプリを起動したらこれを選び、簡単なアンケートに答えて進んでいく(画面3)

画面2 ユーザー登録はAppleかGoogleのアカウント連携に対応(中)。アプリを起動すると開催中の「イベント」が確認できる(右)

画面3 デジタル1日乗車券と連動したイベントが開催中(左)。アンケート(中)に答えるとゲーム中のイベントに参加できる(右)

 すると最後に「丸ノ内線デジタル1日乗車券」の発券確認画面が表示されるので、規約を確認して「同意」する。これで1日乗車券が発券される(画面4)。無料提供なので、カード番号を入力したりして課金されることはない。ただし、乗車券は1ユーザーにつき一度きりしか発券できないので、スポット巡りをする当日でなく、事前にアプリだけインストールして準備しておくような場合には発券のタイミングに注意したい。アプリの設定だけ済ませておいて、スポット巡りは後日に取っておくような場合には、「閉じる」ボタンでいったん発券を保留しておくとよい。発券を保留にした場合でも、ゲーム中にアプリ画面の左下にある「QR乗車券」のアイコンをタップすれば、いつでも発券が可能だ。

画面4 このアプリから「発券」した乗車券を利用できるのは当日のみ(左)。発見すると、動的QRコードが表示される(右)(※画像は一部加工しています)

 ゲーム自体はプレイ画面をご覧の通り、『ポケモンGO』に似たタイプの位置ゲーなので、初めてでも遊び方に迷うことはないだろう。ゲーム中に近付いたスポットに応じて、アイテムがGETできたり、クイズが出題されたりと、なかなか楽しめる内容となっている(画面5)。経験を積むとレベルアップする仕掛けも、ついついアプリを起動したくなってくる。

画面5 クイズの難易度は難しめ? レベルアップすると気持ちがちょっと上がる

QRコード乗車券をかざして改札通過できるのは5駅に限定

 さて、ひとしきりゲームを試した後は、いよいよ丸ノ内線の乗り降りを「デジタル1日乗車券」でやってみたい(写真3)。対応するタブレット(写真4)が設置された駅の改札で、スマホに表示したデジタル乗車券をカメラにかざす。QRコードが認識されると、タブレット画面が通過OKを示すグリーンの画面(写真5)に変わるので、タブレットのすぐ脇にある自動改札レーンをそのまま通過すればよい。タブレットと自動改札は連動しているので、途中でゲートが閉まることはない。

写真3 「赤」の印象が強い丸ノ内線にあって、QRコード乗車券を示す「青」のデザインは目を引く。改札の通路足元には目立つステッカーも

写真4 スマホ画面をカメラに向けて使用する。タブレット左下にカメラ映像が映っており、QRコードを提示する際のガイドになる(写真は東京メトロ提供)

写真5 QRコードが無事に認識されるとグリーン表示に変わって通行可能になる

 実験期間中にタブレットが設置されているのは、丸ノ内線の全駅ではなくて、新宿駅、四谷三丁目駅、淡路町駅、御茶ノ水駅、池袋駅の5駅。特に池袋駅は複数ある改札口のうち「中央通路東改札」のみの設置なので、池袋駅からの入出場時には気をつけたい。
 タブレットが設置されていない駅では、改札で駅係員さんに「デジタル1日乗車券」を提示すると、QRコードを読み取った上で「精算済証」が貰えるので、これを自動改札機に挿入して入出場する。
 なお、「デジタル1日乗車券」は東京メトロ・丸ノ内線全線に限り有効で、有効期間は購入時に指定した当日のみ。有効区間の外まで乗車した場合には駅窓口で区間外の運賃を支払う必要がある。
 紹介してきたように今回の実証実験は東京メトロを舞台に行われているが、より正確にいうと、東京メトロと東芝インフラシステムズの2社が実験主催者となっている。また役割分担として、デジタル乗車券システムの「交通チケットオープン化プラットフォーム」を東芝インフラシステムズが提供。同プラットフォームは乗車券の固有IDを「キー」に、すべての情報をクラウドなどのセンターサーバ側で記録・参照する「ABT(Account Based Ticketing)」技術を採用している。

 今回のデジタル乗車サービスは、実証実験の位置付けとはいえ、アプリをダウンロードして利用登録すれば誰でも利用できるハードルの低さも特徴だ。実験はすでに2023年4月25日から始まっていて、今年の6月25日まで行われるので、このゴールデンウイークに家族で楽しんでみるのもいいかもしれない。

 

About Author

多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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