ヤフーは10月28日、東京都内で発表会を開催し、10月に開始したフリマアプリ「PayPayフリマ」と、オンラインショッピングモールの「PayPayモール」にて、11月1日からPayPay残高などを付与するキャンペーンを実施すると発表した。併せて同日から放映する新CMも披露し、お笑い芸人の宮川 大輔さんとゆりやんレトリィバァさんが「PayPay」の名を冠した両サービスを体験した。
フリマもモールも最大で20%を付与
11月1日から始まるPayPay付与キャンペーン(写真1)の対象となるのは、今月10月7日からヤフーが提供を開始したフリマアプリ「PayPayフリマ」と、オンラインショッピングモールの「PayPayモール」にて、PayPay残高などを用いて代金決済した取引。対象決済手段や付与率はそれぞれで異なる。
「PayPayフリマ」の場合、PayPay残高による支払いの10%分が付与される。これに加えて、ヤフーの有料会員であるYahoo! プレミアム会員であればプラス5%、またソフトバンクのスマホユーザーが「スマートログイン設定」を行った場合にプラス5%と、最大で20%の付与が受けられる(付与されるPayPay残高の種類は写真2の通り。いずれも出金や譲渡は不可)。同キャンペーンにおける付与上限は1回当たり1,000円相当、1カ月当たり3,000円相当に設定されている。キャンペーン期間は12月25日までの約2カ月間。
一方、今月10月16日にヤフーがオープンしたオンラインショッピングモールが「PayPayモール」。ブラウザ版での提供に続いて10月24日までにアプリ版(iOS、Android)も用意した。
PayPayモールには家電のダイソンや化粧品の@cosme shoppingなどが出店するほか、今後もヤマダ電機、ロイズ、ZOZOTOWNなど約600ストアの出店が予定されている(写真3)。中小店舗を中心に出店しているヤフーショッピングに対して、PayPayモールの位置付けは「誰もが知っている、実績がある、などの厳正な基準をクリアしたお店だけが出店できる、言わば百貨店のような位置付け。よりお客様に安心・安全にお買い物いただける」(ヤフー 取締役 専務執行役員 最高執行責任者(COO)の小澤 隆生氏/写真4)として、お客のニーズに合わせた選択肢を提供したい考えだ。
「PayPayモール」で実施されるキャンペーンの名称は、「PayPayモールで100億円相当あげちゃうキャンペーン」。PayPayが昨年実施して世間の耳目を集めた「100億円あげちゃう」の再来を思わせる内容とした。PayPayモール内で、PayPay残高、もしくはYahoo! JAPANカードで支払った場合が対象で、通常のストアポイントである1%(Tポイントによる付与)に加えて、9%相当のPayPay残高が付与される。この9%分の付与に対するヤフーの予算が100億円で、達した時点でキャンペーンは終了となる。
これに加えて、PayPay残高かYahoo! JAPANカードでの支払いに対してそれぞれプラス1%、またヤフーの有料会員であるYahoo! プレミアム会員であればプラス4%、またソフトバンクのスマホユーザー、もしくはワイモバイルスマホユーザーの「Enjoyパック」利用者に対してプラス5%が付与され、最大合計では20%の付与となる(付与されるポイント・PayPay残高の種類は写真5の通り。PayPay残高はいずれもPayPayボーナスライトで、出金や譲渡は不可)。同キャンペーンにおける付与上限は1カ月当たり10,000円相当となる。キャンペーン期間は来年(2020年)1月31日までの約3カ月間。
フリマアプリは宣伝なしで40万DL突破、「PayPayがぐるぐる回るようにしていきたい」
発表会に登壇したヤフー・最高執行責任者(COO)の小澤 隆生氏は、「ヤフーショッピング、ヤフオクのどちらも、いま現在でもPayPayは利用できるが、このほど振り切って、名称に『PayPay』を冠した2つのサービスを新たに開始した」と両サービスを紹介した。その上で、メルカリとの競合が鮮明な「PayPayフリマ」に関して、「ヤフオクは事業者であっても出店できるが、PayPayフリマは固定価格であり、個人だけが出店できるという違いがある。オークションはどんどん売買価格が上がっていくが、フリマは(価格交渉で)値段が下がっていくというのも異なる点だ」と両社の棲み分けを明確にした(写真6、7)。
「今月7日から始めて、まだちゃんとプロモーションしていないにも関わらず、すでに2週間で40万ダウンロードを突破した」と明かした小澤氏。「フリマは個人間売買なので消費税がかからないメリットもある」として、今後の利用者増に向けて意欲を見せた。
これまでのPayPayの展開では実店舗での決済利用、いわゆる「オフライン」での利用にフォーカスされてきた感はあるが(写真8)、今回のヤフーが投下するキャンペーンはPayPay利用の動線を「オンライン」のeコマースにまで広げていこうとする同社の強い決意の表れにも見える。
小澤氏は「PayPayに過度な期待を抱いているわけではない」としながらも、「eコマースでは『品揃え』と『配送』が最も重要で、市場の成長にPayPayが単体で寄与するわけではないが、マーケティング的な意味においては非常にプラスだと考えている。(オフライン、オンラインを問わず)PayPayがぐるぐる回るようにしていきたい」と期待感を話した。