【ALIPAY DAY 2018】PayPay中山一郎社長のプレゼン全文〜加盟店手数料0円+1%バック、アリペイとQRコードの一枚化も

9月5日に東京国際フォーラムで開催された『ALIPAY DAY 2018』。主催のALIPAY(アリペイ)に限らず、日本でQRコード決済サービスを提供する事業者や店舗を交えて終日に渡って濃密なカンファレンスが繰り広げられた。本稿では、「ソフトバンク、ヤフーが仕掛けるWキャッシュレス革命」と題し、PayPayの中山一郎社長(写真1)が行ったプレゼンテーションの内容を、ほぼそのままの形でお伝えする。

■印のモバイル決済No.1事業者、ペイティーエムの技術を生かす

写真1 PayPayの代表取締役社長を務める中山一郎氏

動画 PayPayの紹介ビデオ

 まず、この動画をご覧いただきたい。これは、ヤフーの株主総会で流した映像です。グループ戦略として、ソフトバンクとヤフーが一緒になってビジネスをしてまいります。
 インドのモバイル決済市場においては「Paytm(ペイティーエム)」が現地ナンバーワンのプラットフォームユーザーであり、すでに7年に渡って事業を行ってきた実績のある会社です。われわれはこの会社と技術連携をして進めます(写真2)
 実際、ペイティーエムを率いてきた者、そして「PayPay(ペイペイ)」で一緒にやっている技術責任者である彼と私とは、毎朝30分〜1時間、テレビ会議をして、さまざまな問題を話し合っています。彼と決めているのは「24時間以内に必ず問題を解決する」。それはウイークデイでも、ウイークエンドであっても、私たち2人でよく話しています。「フォローザムーン」と言うのでしょうか。日本だけでなく各国で技術を開発し、24時間サービスの開発を行っています。サービスをローンチしてからも、われわれはこの速度で機能強化、追加、改善を入っていきたい。グローバルなITカンパニーでは普通かもしれないが、これを日本の会社で展開して参りたい。
 いま申し上げたとおり、われわれはヤフー、ソフトバンク、ペイティーエムの力を使って、PayPayという会社で事業を展開していく。孫さんは8月に行った四半期の決算発表会で、「これから日本でもインド、中国で起きているのと同じことが起きる。だからオレは展開するんだ」という話を伝えている。そしてヤフージャパンのCEOである川邊さんも、「この事業は22年前にヤフージャパンを作ったときのように、もう1つヤフーを作るんだ、というつもりで経営資源をかけている」と表明されています(写真3)

写真2

写真3

 具体的な収益モデルのプロセスについてお話ししたい。まず、加盟店の皆さまにご契約をお願いしている。そしてユーザーの皆さまに使っていただく。その上で事業としてはもちろん収益化を狙わなければいけませんので、新しい事業を立ち上げ、皆さまに愛されるサービスを作ってまいりたいと考えております(写真4)
 具体的な強みです。まずソフトバンク。皆さま覚えていらっしゃると思いますけれども、日本のインターネットが非常に高速で、かつ、リーズナブルに使えるようになった礎を築いたのは、かつてのソフトバンクが展開した「ADSL」。あの時に速度が従来の数倍、そして金額がかなりリーズナブルと、これを展開することによって一気に日本はインターネット大国になりました。それと同じようなことにわれわれは挑戦して参りたいと思っています。
 ソフトバンクにはノウハウとして、ユーザーの顧客基盤がございます。そして、ヤフーも同じように「ヤフー! ウォレット」を展開しており、顧客基盤がある。こちらを皆さんと一緒に取り組んでまいりたいと思っております。また、ペイティーエムは先ほどお話ししましたとおり、7年間をかけて3億人、800万店のストアで愛されています。こちらを存分に活用してまいりたいと考えております(写真5)

写真4

写真5

■営業拠点を全国20箇所に拡大
 具体的に、まずはソフトバンクから申し上げます。ソフトバンクとは大型店舗の営業、そして個店の営業展開を行って参ります(写真6)。ちょうどこの8月末までは、東京・大阪・名古屋・福岡で先行して営業を行って参りました。そして、今週に入って新たに16カ所の拠点を立ち上げ、47都道府県の20カ所を営業拠点として営業して参ります(写真7)

写真6

写真7

 次にヤフージャパンです。われわれはPayPayの独自アプリを立ち上げます。ただ、独自アプリを立ち上げるだけではなく、これはヤフーのスマートフォン向けトップ画面ですが、ヤフージャパンでもPayPayを使えます(写真8)。このようなユーザー体験を提供して参ります。
 また、Eコマースにも対応して参ります。ヤフーは広告、およびメディアだけの会社ではなく、今はショッピングを中心としたオークション、そういったコマースにも積極的に挑戦しております(写真9)。この基盤にわれわれはPayPayの支払いをしっかりと導入して参りたいと考えます。

写真8

写真9

 先ほどから何度も申し上げていますがインドのペイティーエムは、この事業でございます(写真10)。実際、私どもは、開発者も含めてインドに足を運び、彼らからノウハウを学びながら、一緒に街へ出て話をしています。
 これまではソフトバンクのビジョンファンド、そしてアリババグループのアントフィナンシャル、こちらが(ペイティーエムの)主な出資者でありましたが、先般、米・バークシャー・ハサウェイ社がペイティーエムに出資をしました。あのウォーレン・バフェットさんが見込んだ会社です。
 この名だたる世界の投資家がこのペイティーエム、そしてモバイルペイメントの世界に非常に関心をお持ちになっており、ここは必ず来ると見込まれている。ユーザーのみなさん、あるいはストアの皆さまの課題を解決できると見込まれているのだと思います。
 実際、私もこのプロジェクトが始まって(ペイティーエムの)彼らと日々接していく中で、この素晴らしいプロダクトを、1日も早く皆さまに届けたいとの思いが募るばかりです。

写真10

■先行加入で加盟店に1%キャッシュバック
 次にサービスの紹介です。まず、スマートフォンを見せてお支払いをする。そして(お店側が提示したQRコードを)読み込んで支払う。この2つを両方展開して参ります(写真11)。また、繰り返しになりますけれども、PayPay独自のアプリ、そしてヤフージャパンのスマートフォントップ画面からもPayPayが使えます。これも非常にユニークではないかと思いますが、決済方法も、銀行口座からのチャージ、クレジットカードによる支払いの2つに対応しており、非常にユニークなサービスを開発していると思っています。
 お客さま向けの内容になります(写真12)。こちらはサービスをローンチする前にサービス説明会を予定しておりますので、大変申し訳ないのですけれどもそちらまでお待ちいただき、積極的な展開をお話し申し上げたいと思います。

写真11

写真12

 ストアの営業の状況でございます(写真13)。申し上げました通り今年の6月から4カ所で営業開始しております。夏の暑い中、どんどん営業が頑張り、そして今このようになっています。本日発表する内容、これも大変魅力的な内容になっていると思いますので、営業に、よりいっそう精が出るのではないかなと思いますが、スタッフの皆さまがこれはいい、と思っていただけるサービスをご紹介したいと思います。

写真13

 これはすでに展開しておりますが、「先行加入キャンペーン」をやっております(写真14)。われわれのサービスはこの秋にローンチを目指しておりますので、現在のところはサービスが始まっていません。にも関わらず、加盟契約をいただけるストアの皆さまには、来年の1月末まで、決済手数料が通常はゼロ円なのですが、さらにPayPay決済額の1%を還元します、というキャンペーンを展開しています。
 すでに加入いただいたお客様の声も寄せられています。「非常に安心感がある」とか「手数料が無料だ」とか「ステッカーを貼るタイプは非常に簡単だ」などの声を頂きつつ、先行して導入しているスタッフの皆さまがおられます。本当にありがとうございます。

写真14

 あらためて発表の内容をまとめています。「読んで支払う方式」、すなわちステッカーを置いたり貼っていただく皆さまには、初期投資、月間固定費、そして決済手数料、そして毎日の入金、これらすべてを無料で展開します(写真15)
 プロダクトの大きなロードマップです(写真16)。まずDay1では、標準的なサービスをリリースします。続くDay2、こちらでアリペイとの連携と個人間送金を開始します。そしてDay3でオンラインのEコマース対応、ネット対応を行います。

写真15

写真16

■PayPayとアリペイが1つの紙QRコードで使える
 最後にインバウンド対応についてご説明申し上げます。本日17時の時点でプレスリリースをPayPayとして出しました。PayPayに加盟いただいた店舗では、同じQRコードでアリペイも使えます(写真17)。もう一度申し上げます。PayPayに入っていただければ同じQRコードでアリペイが使えます!
 そしてアリペイの加盟店、これは1年間ですけれども決済手数料、無料でやります。大変魅力的なサービスを展開しますので、ぜひご検討いただければと思います。

写真17

 本日ご説明したことのまとめです(写真18)。グループ戦略はソフトバンク、ヤフー、およびペイティーエムの協力なタッグを組んで展開していきます。サービス紹介では、ヤフーのアプリでも使えます。圧倒的おトク、これは後のサービス説明会でお話し申し上げます。加盟店コストは無料ですし、先行加入ではさらに1%還元します。最後に、今なら同じQRコードを貼っていただければ、PayPayの加盟店でアリペイも使え、そして1年間はアリペイの決済手数料では無料にします。PayPayは3年間、無料です。

写真18

 最後にビジョンをお話します。私たちは単に便利な決済の機能を提供するというところにとどまるつもりはございません。PayPayを使っていただければ、ユーザーへの還元、さまざまな使うシーンの提供、こういったものを通して、華やかな・豊かな生活をご提供したいと思っています(写真19)。一同、そういったことを考えながら日々、サービスの開発に勤しんでおります。いつでもどこでもPayPay、皆さまがPayPayを使うことを楽しんでいただける、「PayPayいいよね!」と言われるようなサービスを展開して参りたいと思います。どうぞご期待ください。

写真19

 

About Author

多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。