Visaがタッチ決済の普及を後押しするために、来年、2025年に万博(EXPO 2025 大阪・関西万博)開催を控えた大阪府で、キャッシュレスのエリア振興プロジェクトをスタートさせた。第1弾として、Visaのタッチ決済で会計した金額を対象にしたキャッシュバックキャンペーンを4月17日から開始する。
継続的・長期的なエリア振興プロジェクトに
ビザ・ワールドワイド・ジャパン(以下、「Visa」という)は4月16日、大阪府内の限定でVisaのタッチ決済キャッシュバックキャンペーンを翌17日から開始すると発表した。第1弾として、関西を拠点とするスーパーマーケット、「万代」「サンディ」の全店を対象店舗として、Visaのタッチ決済で会計した金額の30%(最大500円)をキャッシュバックする(画面1)。実施期間は2024年4月17日から2024年6月14日まで。
対象カードは日本国内で発行されたVisaカード(クレジット・デビット・プリペイド)で、スマートフォンやウェアラブルデバイスによるVisaカードの利用も対象となる(一部に対象外のカードあり)。エントリーは不要。
また、同キャンペーンの大阪府民を代表する応援キャラクターとして、海原やすよ ともこさんを起用した(写真1)。キャンペーンはVisaが4月15日に発表した「大阪エリア振興プロジェクト」の一環で、キャッシュレスを通じた大阪府の地域経済活性化を目指す継続的かつ長期的な取り組みに位置付けられている。今後も、対象店舗を変更した上で、大阪府内にて同様のキャンペーンを実施する予定である。
タッチ決済の普及に向け「数百万ドルの桁で投資を進めていく」
ビザ・ワールドワイド・ジャパン・代表取締役社長のシータン・キトニー氏(写真2)は、Visaの5年後の目標に『日本の決済エコシステムが世界でも最もスマートでパーソナルなものとなること』を置いていることを明らかにした。とりわけ、「少額決済や、コンビニでの利用だけでなく、どんな決済であってもスピーディで効率がよいので、タッチ決済を日本における決済方法のスタンダードにしていく」という。
そのために、取り組みは期間限定ではなく、長期間を見据えたものと説明する。「数百万ドルの桁で投資を進めていく。大阪府が成功したら、日本全体に広げていきたい」(キトニー氏)と話す。
その言葉を裏付けるように、タッチ決済の取引実績はこの数年間のうちに急増している。2023年の数字では、Visaカード取引の3件に1件がタッチ決済に移行した(画面2)。また、タッチ決済の決済金額も1.6倍に増加している(2022年12月と2023年10月の比較)。
また、利用店舗の業種にも変化が表れてきている。5年前の2018年時点では、コンビニ、スーパーといった日常利用加盟店がタッチ決済利用全体の9割を占めていたが、直近では8割程度まで下がり、変わって家電量販や衣料品など非日常利用加盟店の比率が2割まで増えてきているという(画面3、4)。
「何を買うにしても、どこで買うにしても、タッチ決済が標準的な決済方法になっている」(キトニー氏)
Visaでは「大阪エリア振興プロジェクト」を通じて、大阪のキャッシュレス社会への移行を加速させていく(画面5)。同時に、大阪府がスマートシティの実現に向けて運用する「大阪広域データ連携基盤(ORDEN:Osaka Regional Data Exchange Network)」とも連携し、決済データを活用したターゲットマーケティングを支援していく。