インターネットイニシアティブ(IIJ)などが出資するディーカレットは11月19日、同社が2020年6月~9月の4カ月に渡って開催してきた「デジタル通貨勉強会」を発展的に解消し、「デジタル通貨フォーラム」に改組したことを発表した。勉強会で検討してきた民間発行デジタル通貨について、さまざまなユースケースを想定した概念検証(PoC)を行っていくほか、デジタル通貨の経済的影響や制度的論点などについても引き続き検討を深めていくという。
イオン、JCB、ゆうちょ銀などが新たに参画
勉強会から引き続き、山岡 浩巳氏(現・フューチャー取締役、元・日本銀行決済機構局長/写真1)がフォーラムの座長を務める。参加企業には、メガバンクや、独自電子マネーを発行するセブン銀行、東日本旅客鉄道(JR東日本)など従来からの勉強会メンバーに加えて、イオン、ANAグループ、ジェーシービー、ファミリーマート、ローソン、ゆうちょ銀行などが新たに加わり30社超のコンソーシアムを形成する(写真2)。
コンソーシアムにおける主要な論点は以下の通り。
・各ユースケースにおけるデジタル通貨の実用性の検討
・共通領域および、付加領域の要件定義、設計、開発
・デジタル通貨の実運用に向けた課題の洗い出しと解決方法の検討、標準化の作成
勉強会では、「将来に向けて発展性のある検討を進める観点から、特定の手段をアプリオリに除外することのないよう、『デジタル通貨』を、『デジタル技術(電磁的技術)を用いる支払決済手段』と広く捉える」こととしてきた。
新設するフォーラムの下には、デジタル通貨の各ユースケース(利用場面)を想定した分科会を設置し、2021年以降に概念検証(PoC)を実行していく計画(写真3)。その際に採用する「二層型デジタル通貨」(写真4)は、「事務局(を務めるディーカレット)が責任を持って開発、提供していく」(ディーカレット・代表取締役社長の時田 一広氏)としている。
19の導入場面を報告、カード加盟店への支払いにも
同日にはデジタル通貨勉強会の成果を凝縮した「最終報告書」も一般公開された。報告書の中で紹介されているデジタル通貨の具体的なユースケースは以下の19例。
①製造業のサプライチェーンと支払決済の連携
②小売業の納入チェーンと支払決済の連携
③物流・配送と支払決済の連携
④金融資産取引の効率化とリスク削減
⑤貿易金融におけるデジタル通貨の活用
⑥電力取引におけるデジタル通貨の活用
⑦電子マネーとデジタル通貨の連携
⑧銀行間決済へのデジタル通貨の活用
⑨地域通貨へのデジタル通貨の活用
⑩行政事務へのデジタル通貨の活用
⑪ポイントサービス・経済圏活性化へのデジタル通貨の活用
⑫ファイナンスへのデジタル通貨の活用
⑬クレジットカード会社の加盟店払いへのデジタル通貨の活用
⑭保険業務へのデジタル通貨の活用
⑮NFT(Non-Fungible Token)取引へのデジタル通貨の活用
⑯MaaS(Mobility as a Service)へのデジタル通貨の活用
⑰海外送金へのデジタル通貨の活用
⑱スマートフォン間でのオフラインでの少額決済
⑲グループでの資金管理へのデジタル通貨の活用
<参考URL>
日本におけるデジタル通貨の決済インフラを検討するデジタル通貨勉強会の最終報告書(ディーカレットニュース)
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