10%への消費税増税の実施までいよいよ4カ月を切った6月4日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで「軽減税率・キャッシュレス対応推進フェア」が開催された(主催:経済産業省、中小企業庁/一般社団法人日本能率協会)。増税と同時に始まる2つの政府施策、消費税の軽減税率制度と、キャッシュレス・消費者還元事業について「見て・触って・体験してもらう」ことを目的とするこのフェア。東京会場は明日5日まで開催しているほか(写真1)、6月中に全国8カ所で開催する。
全国の商業団体トップらが総決起、レジメーカーや決済事業者による展示コーナーも
フェアの会場は、特設ステージで催される軽減税率対策やキャッシュレス・消費者還元事業に関する説明講演、セミナーなどに加えて、レジメーカーやキャッシュレス決済事業者に直接、相談できる展示コーナーが設けられる形で準備されていた(写真2)。また、デモ端末を用いて実際にキャッシュレス決済でドリンクの購入を体験できるブースも用意された。実際、キャッシュレス導入を検討する中小事業者が決済サービスの説明に熱心に聞き入ったり、一般の消費者がキャッシュレス決済を体験する姿が見られた。
特設ステージの冒頭では、「軽減税率対応・キャッシュレス化 総決起大会」と銘打ち、世耕 弘成・経済産業大臣をはじめ、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会のトップらが「たすき掛け」姿で登壇し、制度や事業の円滑な導入に向けて取り組んでいくことを誓った(写真3)。
世耕 弘成・経済産業大臣(写真4)は「(どちらの事業も)準備が進み、メリットも理解していただいているが、実際にレジの切り替えまで至っていなかったり、キャッシュレスのメリットがよくわからないといった事業者の声が出ているとの報告を受けている。そのような、対応に踏み切れていない事業者の方々に、ぜひこの会場に来て、見て、触って、体験してほしい。そして消費者と事業者の双方にメリットあることを知ってもらいたい」と呼びかけた。
「今年度に限っては、店舗が導入をためらう『3つの壁』がなくなる」
総決起大会の直後には、キャッシュレス推進協議会・常務理事の福田 好郎氏(写真5)が登壇し、「キャッシュレスの付加価値と最新動向」と題した基調講演を行った。
福田氏は、日本人が所有している決済手段の数が世界でもトップクラスの「1人当たり8手段」であるにも関わらず(写真6)、その利用度合いになると2割を切り、諸外国に大きく遅れをとっている事情を紹介。「これをどう広げていくかが協議会としての1つの命題だ」
その上で、日本のキャッシュレスが進まない理由として、店舗側に立ちはだかる「3つの壁」を挙げた。その内訳は「導入コスト」、「決済手数料」、「資金繰り」だが、「『キャッシュレス・消費者還元事業』の恩恵で、導入にかかる端末代はゼロ。手数料率も3.25%以下という上限設定に加えて3分の1を国が補助してくれる。資金繰りについても入金の早いサービスが続々と誕生している。つまり、今年度に限ってはこの3つの壁がなくなる」とした。
また福田氏は今後、日本のキャッシュレスのあるべき姿として、協議会の活動とも関連させながら、「協調」と「競争」のあり方(写真7)を提示した。「(現在キャッシュレスになっていない)80%を狙って、キャッシュレスが使える場所をみんなで築いていこうとしている。『データの利活用』や『ポイントサービス』にしても、1社単独でなく地域や企業連合などもう少し幅広い形であると、消費者としてもより良い還元を受けられるのではないか」(福田氏)
「お店の方々も、いち消費者として、まずはキャッシュレスを使ってみてほしい。そして、実際に使ってみて良いものを、ぜひ自分たちのお店に採り入れてみていただきたい」と基調講演を締め括った福田氏。
なお、「軽減税率・キャッシュレス対応推進フェア」はこの6月中に、全国の8会場にて開催される。詳細は以下を参照のこと。
「軽減税率・キャッシュレス対応推進フェア」の特設サイト
https://regi-cashlessfair.jp/「軽減税率・キャッシュレス対応推進フェア」を全国8か所で開催します
経済産業省、中小企業庁、一般社団法人日本能率協会
2019年5月16日
https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190516001/20190516001.html