【写真あり】「米ドル建てステーブルコインのUSDCを日本の加盟店で使ってみる」、ネットスターズが実機でデモンストレーションを披露

米ドル建てのステーブルコインである「USDC」。年明けから羽田空港・第3ターミナルの一部店舗で、決済手段としてこのUSDCを受け入れる実験が行われている。インバウンド(訪日外国人旅行客)を主な対象としているが、仕組み上、ステーブルコイン自体の保有に居住国は問われない。多くの人にとって人生で初めての体験となる「ステーブルコイン決済」がどのようなものか、サービス提供元のネットスターズが実演してくれた。

「MetaMaskアプリ」利用&「Solanaチェーン」上のUSDCに対応

 ネットスターズは日本空港ビルデングと共同で、本年1月26日から2月28日までの期間、米ドル建てステーブルコイン「USDC」を活用した決済サービスの実証実験を行っている。インバウンド旅行客の利便性向上を目的とし、羽田空港第3ターミナル内の2店舗、「Edo食賓館(時代館)」、「Edoイベント館」でUSDC決済が利用できる。
 インバウンド向けなので、日本に居住する日本人がこれを試してみようとすると、ややハードルが高い。USDCを取得する必要があるのはもちろんなのだが、さらにその上で、決済に利用するためには指定のウォレットアプリをスマホに入れておく必要があったり、使用するブロックチェーンに制限があったりと、なかなかに難しい。
 そこでネットスターズが、2月18日に開いた通期決算説明会(2025年12月期)の中で、実際の決済サービスの挙動を、羽田空港で使われているのと同じ実機を用いて実演してみせてくれた。
 米ドル建てステーブルコインである「USDC」を日本の加盟店で使うためには、暗号資産などのデジタル資産を格納できるWeb3ウォレットアプリ「MetaMask(メタマスク)」が必要になる。MetaMaskを入れたスマホを持っていれば、居住国は問わない。
 このMetaMaskに自分が保有するUSDCを入れておくのだが、その際にはブロックチェーンの1種類である「Solanaチェーン」で登録しておくことが必要になる。日本ではSBI VCトレードがUSDCの一般向け取り扱いを2025年3月から開始しているが、仮にここでUSDCを入手した時点ではSolanaではない別のブロックチェーン(イーサリアム)上にあるため、MetaMaskに移す際に「変換」する必要があるという。
 前置きが長くなったが、ネットスターズが提供するUSDC決済サービスはMetaMask上に登録された「Solanaチェーン」のUSDCであり、海外から来たインバウンドの人たちがすでにこれを持っている状態で来日したケースを前提としている。
 お店でUSDC決済を始める場合、まず利用者はMetaMaskアプリを開いて決済用のユニークなQRを生成するのが最初のステップになる。手順は、MetaMaskアプリ内に表示されるブラウザから、お店で指定されたURLを入力してリンクすると決済用のQRコードが表示される(写真1、2)。なお、このQRコード表示のためのURLは決済の都度、取引内容や決済金額に応じて生成されるものでなく、共通のURLであるため、2回目以降はブックマークすることで手順を簡略化できる。

写真1 利用者側の手順(出典:ネットスターズ通期決算説明会(2025年12月期)資料)

写真2 利用者のスマホ側にQRコードを表示するCPM方式を採用(※写真は一部加工しています)

 一方、お店側の操作はいたってシンプルだ。普段からコード決済の支払いの受け入れに使用している決済端末の画面を操作して、ステーブルコイン(USDC)決済を選択し、日本円で商品の金額を手入力する。決済端末側のカメラが起動するので(写真3)、利用者のスマホ(MetaMaskアプリ)に表示されたQRコードを読み取らせる(写真4)。正常に読み取ると「支払」ボタンが表示されるので、これをタップする(写真5)。すると利用者のスマホ画面がUSDC決済を実行する確認画面に切り替わり、日本円の決済金額、換算レート、USDCの決済金額などが表示される(写真6)。これらの情報を確認の上、間違いがなければ利用者自身がスマホ画面で署名リクエスト(写真7)に「確認(Confirm)」を押下することで決済が完了する(写真8)

写真3 決済端末側で金額を入力するとカメラが起動

写真4 街中でよく見かけるコード決済の風景と変わらない(※写真は一部加工しています)

写真5 決済端末側で再度金額を確認し、「支払」をタップする

写真6 日本円での決済金額、換算レート、USDCの決済金額などが表示されている

写真7 「署名リクエスト」なる見慣れない画面がブロックチェーンっぽい(※写真は一部加工しています)

写真8 決済完了画面。下部には決済履歴が表示されている(※写真は一部加工しています)

「USDCが何であるかを、すべてのスタッフに教育する必要がない」

 「(ステーブルコイン決済を)ただのQR決済に落とし込んだ」とネットスターズ・取締役CFOの安達 源氏は説明するが、「ステーブルコインやUSDCが何であるかをいちいちすべての社員やアルバイトへ教育する必要がない」ことを目指した結果だという。入金も日本円で振り込まれるため、加盟店は精算面でも悩む必要がなく、導入している他のコード決済と同様に取り扱えるメリットがある(画面1)

画面1 USDC決済の事業フロー(出典:ネットスターズ通期決算説明会(2025年12月期)資料)

「ハブ空港で実施しているのは日本初。おそらく世界初ではないかと自負しているが、ステーブルコインの利用が盛んなアフリカ地域などを含めて隈なく調べきれていないので(うたっていない)」(安達氏)
 新サービスの宣伝告知は導入した羽田空港第3ターミナル内の2店舗周辺での看板やポスターのみで行っているが、USDC決済は最近のステーブルコインへの注目度の高まりも手伝ってか、「想定を上回る決済量があり、毎日何かしらの動きがある」そうだ。
 
 なお、ネットスターズの2025年12月期通期決算は、2023年9月の上場以来で初めて通期黒字を達成した。売上高は対前年比22.7%増の47億8,800万円、営業利益は2億9,300万円、経常利益は4億4,300万円となり、期初計画を大幅に上回る収益改善となった(画面2)

画面2 2025年通期の連結損益計算書(出典:ネットスターズ通期決算説明会(2025年12月期)資料)

 同社の李 剛・代表取締役社長は「当社は単なる決済企業でなくフィンテック企業。金融のプラットフォームとなるべく方向を目指している」と話す。
 新規事業と位置付けるステーブルコイン決済では、「まずはユースケースを日本でしっかりと行い、USDCがいろいろな店舗の中で決済手段として使われることを優先する。Web3を取り込んでいく」(李社長)と意気込みを見せた。

<参考URL>
【ニューストピックス〜1月27日】羽田でUSDC決済始まる/ほか | 電子決済マガジン

 

About Author

多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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