3月1日から3月4日まで東京・有明の東京ビッグサイト東展示棟(写真1、2)で開催された「リテールテックJAPAN 2022」(主催・日本経済新聞社)。長引くコロナ禍の中、徐々に人出の戻り始めた展示会場では、今年も魅力的な決済端末やソリューションが勢揃いしていた。今年もやっぱり、お目当ての決済端末を中心に筆者が見聞してきたところをレポートする。
ブースの至るところにステラ! ステラ! ステラ! 〜三井住友カード
クレジットカード会社の三井住友カードは昨年のリテールテックJAPANにも出展していたが、時節柄オンライン展中心のサービス紹介となっていたことから、大々的なリアル出展は今年が初めてとなる。同社が力を注いでいる決済プラットフォームの「stera(ステラ)」シリーズから、据置型の決済端末である「stera terminal」(パナソニック製の「JT-C60シリーズ」)の実機が各コーナーに並び、説明員が特長や操作方法について解説していた(写真3)。
2019年10月にサービス提供を開始したsteraは、その後の2020年7月からstera terminalの本格設置がスタート。サイゼリヤ(イタリアンレストラン)やびっくりドンキー(ハンバーグレストラン)、トモズ(ドラッグストア)、ヴィドフランス(ベーカリー)などの流通小売業から、警視庁をはじめとする公共機関まで、着実に導入店舗を増やしており、消費者としても目にする機会がグッと増えてきた印象がある。2022年4月以降も紀伊國屋書店などで順次導入予定とのことだ。
stera terminalを導入する際には、三井住友カードとの直接契約だけでなく、決済代行会社のSMBC GMO PAYMENT社を通じた月額利用料と決済手数料の負担で利用可能なサブスク契約、「stera pack(ステラ・パック)」も用意され、中小事業者であっても導入がしやすい仕掛けとなっていることも採用先の増加につながっているようだ。
stera terminalはAndroidベースのため、ディスプレイ上にはスマートフォン(スマホ)で見慣れたようなアプリの一覧画面が表示されている(写真4)。展示会直前の2月末に、新たに発表された追加サービス(アプリ)の1つが「stera ads(ステラ・アドズ)」。管理用のWebページを通じて、端末のお客側画面への表示(待機時、決済前、決済後)やレシートに印字できる広告媒体をお店が自由に編集・作成できる。テキストや画像、QRコードなどの表示・印字が可能(写真5、6)。月額利用料の負担だけで導入でき、2022年夏頃からのサービス開始を予定している。
新たに加わるもう1つの追加サービスが「stera connect(ステラ・コネクト)」。こちらは会員証アプリやポイントカード、クーポンなど、決済周辺のサービスをstera terminalの1台に集約して読み取り可能とする認証サービス。これまで用途に合わせて個別に設置していた読み取り端末をstera terminalにまとめることができる。すでに、ポイント管理や会員管理システムに実績のあるトリニティ、バリューデザイン、日立ソリューションズとの接続が決定しているほか、接続先は今後も拡大が予定されているという。
ところでsteraシリーズでは、モバイル型端末として「stera mobile(ステラ・モバイル)」(トランザクション・メディア・ネットワークス製の「UT-P10」)も提供されているが(写真9)、アプリマーケット(「stera market」)などはstera terminalとの間で共通化されているわけではないとのこと。こちらは決済端末の持ち運びニーズに応えるもので、3月1日にリニューアルオープンした東京ドームの客席販売にも採用されている。
世界中のPAX端末をリモートで制御できる 〜Pax Japan(パックス・ジャパン)
中国・深圳(シンセン)市に本社を置くPAX Technology(パックス・テクノロジー)。その日本法人であるPax Japanのブースでは、Androidベース(Android 7.1)のモバイル決済端末「A920」が、それぞれ協業会社のサービス紹介とともに紹介されていた(写真10)。この1年で見かけることの多くなった「A920」の筐体だが、Androidベースということもあり、搭載されているアプリやUIは各社によって異なるほか、提供形態などもバリエーションに富んでいる。端末メーカーのPAXとしては採用実績を示すと同時に、これらの端末供給を担うサポート力の高さをアピールする展示だった。
その要となるのが「PAXSTORE(パックスストア)」。ネーミングからいわゆるAndroidの「アプリマーケット」を彷彿とさせるが、PAXの場合、提供する内容はアプリ管理にとどまらない。その実態は決済端末のOS性能やGPS機能を活用した「端末情報連携サービス」であり、何と驚くことに世界中に出荷されているPAXの決済端末の情報(ステイタス)をリアルタイムに確認したり、制御したりできるという(写真11)。
端末の位置情報や操作状況(ログ)からインストール済みアプリの情報把握、アプリのプッシュ配信、有効になっている決済インターフェースの確認、果てはプリント用紙の残量チェック(!)まで、あらゆる情報をWebベースの「ダッシュボード」を通じて一元管理できる(写真12、13)。さらに驚いたのは、決済端末へのリモートアクセス機能。決済端末側がアクセスを許可すれば、端末の操作を「ダッシュボード」側が代わって行うことができる(写真14)。例えば、店員が端末の操作に迷っているような場面で、問い合わせたコールセンター側からリモートで端末に接続し、操作をアシストするような使い方が考えられるという(写真15)。
もちろんPAXの決済端末は、パートナーやディストリビューターを通じた供給のほか、チェーン店舗などでの一括導入などがあり、独自アプリマーケットの搭載や端末の制御など、管理主体をPAX以外が担いたいケースが想定される。PAXとしてはそうしたニーズに対して「PAXSTORE」の機能を提供することで、ハードウェアとしての決済端末だけでない付加価値を提供していきたい考えだ。
手のひら認証機能を搭載したAndroid 10採用モデルも 〜Ingenico(インジェニコ)
フランス発、世界最大手の決済端末メーカーであるIngenico(インジェニコ)も、キャッシュレスブームに乗るこの数年間で日本での出荷台数を着実に伸ばしている。
2020年10月には同じくフランスのWordlineによる買収で、WordlineグループとなったIngenico。その日本法人であるIngenico Japanのブースでは、日本の流通店舗や百貨店などでも見かける機会の増えた「Lane/5000」や「Link/2500」などの端末に加えて、最新モデルの「DX8000」が展示されていた。決済端末は安定性が大事ということもあってか、Android OSのバージョンは比較的枯れたものが採用されているが、このDX8000ではAndroid 10を初めて搭載した。
このDX8000では、富士通フロンテックノースアメリカとIngenico innovation Laboの協業によって実現した、手のひら静脈センサーを搭載したモデル(写真17)も展示されていた。センサー部分は小さめに見えるが、上から手のひらを向けて認証する。
また、ブース内では「TaaS」(写真18)なる言葉が提唱されていたことにも注目したい。Terminal as a Serviceの頭文字語で、決済端末の導入だけでなく、導入後の運用までをカバーするサービスとのこと。PAXのブースでも感じたことだったが、いまや端末メーカーであってもハードウェアの切り売りだけでなく、サブスクで稼ぐ時代になったのかと驚きと感慨を覚える筆者であった。
スマホより小さい「謎のマッチ箱端末」の正体は? 〜CASTLES(キャッスル)
台湾のCASTLES TECHNOLOGY(キャッスル・テクノロジー)といえば、VEGAやSaturnシリーズですっかり日本でもおなじみとなった決済端末メーカー(写真19)。その代理店の1社であるアイティフォーでは、VEGA3000 Mobile2を採用する「iRITSpay決済ターミナル」などの決済端末を紹介していた。
最近の決済端末ではAndroidをOSに採用したり、操作画面を全面タッチスクリーンにしてハードウェアのボタンを廃止、ソフトウェアボタン化するものが増えている。これらと同じテーブルに並んでしまうと、Linux OSを搭載するVEGA3000はいつのまにか旧式(失礼!)に見えなくもない(筆者の個人的な感想です)。しかし説明員に聞いてみると、「操作画面がシンプルでわかりやすいと好評なんです」(写真20)。確かに、スマホのアプリアイコン的でなく、いわゆるタイル型の決済選択メニューには迷いがなく、万人にとってやさしいデザインなのかもしれない。そう言われてみれば、ボタンもハードウェアのほうが安心感があるように思えてくるから不思議だ。
ところでCASTLESブースの中央付近にあったテーブルには、最新モデルを含むCASTLES端末がディスプレイオフの状態でひっそりと佇んでいた(写真21)。聞けば、今年のリテールテックはコロナ禍の影響で台湾チームが来日できなかったそうで、端末のみが展示される状態となっていた。筆者が陳列された決済端末群を食い入るように眺めていると、「!?」と首を捻りたくなるデバイスを発見(写真22)。黒い。小さい。もはやスマホよりも小さい。手で持って裏返してみても、ひたすらに黒い。
決済端末をスマホより小さくする動機って? もしかして用途が限られたもの? とりあえず「謎のマッチ箱端末」と命名して、CASTLESブースを立ち去る筆者であった。
オレンジ色のニクい決済端末が勢揃い 〜SUNMI(サンミ)
2018年頃からの日本のキャッシュレスブームで、特にQR・バーコード決済の処理用として導入されたオレンジ色のニクい決済端末に見覚えのある読者は多いのではないか。その端末こそ、中国・上海市を本拠とするSUNMI(サンミ)が供給するもので、今年のリテールテックJAPANにはその日本法人であるSunmi Technology Japanが初出展してブースを構えていた(写真23)。
販売代理店の1つでもあるブレイン(blayn)は、POSレジ会計、レシート印刷、決済までの処理をコンパクトな1台ですべて対応できる「モバイル型POSレジ(SUNMI P2PRO)」の実機を展示していた(写真24)。売りは税込み2万9,800円という低価格。ヨドバシカメラなどの実店舗でも展示販売している。また、飲食店の用途に特化したPOSレジも、同じくスタイリッシュなSUNMI製をラインアップ。こちらも税込み7万9,000円の「業界最安値」をうたうが、本体とキャッシュドロアー、Verifone製の決済端末までセットでのこの価格は良心的に感じられた(写真25)。同社では他に、セルフレジなども紹介していた。
AndroidベースのPOSレジ開発と提供に関してすでに10年以上に渡る経験を有するというブレインだが、そんな同社をして、端末コストと品質を両立している点こそがSUNMI端末採用の理由だという。
マルエツ、カスミでおなじみのスマホレジを提供 〜U.S.M.H
スーパーマーケット業態のマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東を事業会社とする共同持株会社「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)」。ブースではマルエツやカスミなどで実際に導入されている「Scan&Go Ignica(スキャンアンドゴー・イグニカ)」のサービスをデモンストレーションしていた(写真26)。あらかじめ自身のスマホにインストールした同名のアプリを使って、お客は商品スキャン(写真27)と会計、オンライン決済まで行う。オンライン決済はクレジットカードとPayPayに対応する(写真28)。
すでに商用利用が始まっており運用面での問題は生じてないが、最近ではお客が退店時に確かにスマホ内で支払いを完了したことを示すために、専用ゲートを用意した。このゲートは決済完了時にスマホ画面に表示されるQRコード(写真29、30)に対応するほか、セルフレジ(セルフPOS/写真31)で決済した場合に発行されるレシートに印字されたバーコード(写真32)の提示でも反応するようにした。QRやバーコードを上からかざすとゲートの側面ラインが鮮やかに光るのだが、これがあるのとないのとでは、店員だけでなくお客の安心感が違うなと感じた。
なお、「Scan&Go Ignica」アプリにはネットスーパー機能も統合されていて、使いやすそうな印象を持った。2022年1月末時点でのアプリダウンロード数は、Scan&Goアプリが29万件、単体のネットスーパーアプリが5万件となっている。
ところで同社が妙に推している「Ignica(イグニカ)」という言葉が、筆者は以前からどこの国の言葉かと気になって仕方なかったのだが、せっかくなので思い切って聞いてみた。「イグニッション・フォー・カルチュアル・ライフです!」とのことで、“新しいスタイルや信条を持った人生に点火する”意味なのだという。これは覚えておきたい。
じっと画面を見つめるだけで決済が完了 〜NEC
NEC(日本電気)のブースでは、昨年も見学させてもらった「マルチモーダル生体認証」を用いた決済のデモを1年ぶりに見せていただいた。あらかじめ登録しておいた利用者本人の顔認証と虹彩認証とを組み合わせることで、利用者の認証と決済時の意思確認を操作なしに完結できる。液晶画面に表示されたボタンにじっと目線を合わせているだけでセンサーが検知し、ゲージが充填。これを一定量満たすと決済の意思確認が済んだと判断され、決済が実行される仕組みだ(写真33、34)。
昨年時点では明らかに展示デモ用の試作品といった趣でごっつさが目立ったが、今年展示された実機はいつでも店舗に設置可能と思える完成度だった。すでに同じく出展されていた同社製のPOSレジとは接続が可能になっているそうで、実際に店舗で目にする時期は近そうに感じられた。
mPOSと業務用スマホの2台を合体させるという新提案 〜NTTデータ
CASTLESで見つからなかった「謎のマッチ箱端末」。その答えはNTTデータのブースで見つかった。同社ではクラウド型総合決済プラットフォームの「CAFIS Arch」を展開しているが、その豊富な端末ラインアップに加わる最新のコンセプト端末として、先日のCASTLES端末をベースとした「Saturn 1000 Mini」を展示していた(写真35)。残念ながら実機の写真撮影はNGだったが、実は先ほどの「謎のマッチ箱端末」の正式名称は「S1M」。バーコードリーダー、非接触IC/接触ICのリーダーと、電子サインやソフトウェアPINパッドになるタッチディスプレイを備える実力派だった。ユニークなのは単体で使用しないことで、別に用意された「ブラケット」に装着し、さらに反対側の面にiPhoneやAndroidのスマートフォンを完全合体して完成形になるのだという。そして「S1M」と、POSアプリを入れたスマホが機能連携することで決済処理が可能になる。
ブースで聞いたところによると、わざわざスマホを合体させる理由として、「店員は接客時に業務用のスマホを持ち歩いているケースが多いが、決済端末はまた別のところにあるため、決済のためにレジへ移動したり並んだりする手間があった」という。しかし、「Saturn 1000 Mini」を店員が手元に持って接客していれば、売り場内など場所を選ばずにその場で決済を受け付けることが出来る点がメリットとなる(写真36)。
聞けば聞くほど、「mPOS」の「m(モバイル)」の特性を最大限に生かしたソリューションに感じられた。ある日、実際のお店でコイツに出会ってしまったら、思わず唸ってしまいそうだ。
ついに出た! 3面待ちのCCT端末 〜東芝テック
東芝テックのブースでは、ワンボタンで「接触IC・非接触IC・磁気ストライプ」の決済カード処理を待ち受ける、いわゆる「3面待ち」に対応したCCT(Credit Center Terminal)が初お目見えしていた(参考出展)。決済端末本体(CT-6100)と、IC/バーコード・QRなどの読み取りに対応するリーダライタ(PICT-6100)のペア構成セットで、通常、お客側で操作する暗証番号入力装置(PINパッド)をソフトウェア化してリーダライタに搭載したことで、従来の同社製品が「3台でひとセット」だったのに対して、「2台でひとセット」を実現した(写真37〜39)。
決済端末本体(CT-6100)については、従来と同様のネイティブタイプに加えて、Androidモデルもラインアップ。カラーリングの違いだけでなく、Androidアプリを搭載することでの機能拡張性を持つ。
日本カードネットワークの情報処理センターに接続するCARDNET端末として、早ければ年内にも登場する予定とのことだ。
東芝テックのブースでもうひとつ目を引いたのは、同社とDGフィナンシャルテクノロジー(旧ベリトランス)の合弁会社であるTDペイメントとの協業で提供する「オムニチャネルペイメントプラットフォーム」だ。店員は一般のPOSレジの要領で商品登録を行っていくが、最後の「お支払い」の場面で画面にQRコードを表示する(写真40)。お客がそれをスマホで読み取ると、支払いに利用できるオンライン決済手段が表示されるので、手順にしたがって代金の決済を完了させる。すると即座に情報がPOSレジ側に通知され、「支払完了」を店員が確認できる仕組みだ(写真41)。
コード決済利用における「MPM(加盟店提示方式)」の普及で一躍市民権を得る格好となった、店頭でお客が自分のスマホを使ってオンライン決済する方法。ちゃんと支払われたのかどうか、お店側の不安を解消するソリューションとして注目に値するサービスだと感じた。
自動機向け端末でリアル決済市場への進出目指す 〜ルミーズ
ルミーズのブースで、前面にイチオシとして稼動していたのが自動精算機や自動販売機向けの組込型マルチ決済端末の「salo-01」(写真42、43)。1台でカード、電子マネー、コード決済に対応する。利用場面が「完全無人環境」となるため、EMVレベル2(端末タイプ25)の認定を取得済み。POSアプリとの連携にあたって、SDKやマニュアルなどの準備を充実させた。
元々はEC決済の環境構築を強みとしてきたルミーズだが、コード決済の普及や国際ブランドカードのタッチ決済など新しい決済手段の登場を好機ととらえ、リアル決済環境での事業拡大を目指している。なお、自動機による決済の場合には必ず接続先となるPOS製品や上位機器が存在するため、それらパートナーの製品に組み込まれた連携ソリューションとしても露出機会を増やしていた。
メタバース空間でお買い物、決済はどうする? 〜凸版印刷
凸版印刷のブースでは、近頃話題の「メタバース」への取り組みを披露していた。よくよく見れば、同社のメタバースはひと味違う、というかひと文字違う「メタ『パ』」。説明員によれば「パーティー」や「人が集まって体験する」意味の『パ』だというから、聞いてみるものだ。
同社の「メタパ」は、ゴーグルを装着したりする大げさなものでなく、スマホアプリ上に表示される3D空間に、自らも3Dのアバターとなって店内を移動したり商品を眺めたりできるもの。実店舗さながらに複数階のフロア構成となった店内を回遊できる。
友人や家族など複数名で同じお店を訪れたり、店員に話しかけたり話しかけられたりしながら買い物を楽しめる。展示会場では岡山県倉敷市に実店舗のある「桃太郎 JEANS 児島味野本店」の内観外観を再現したバーチャル店舗を実際に体験できた(写真44)。メタパにアクセスする際には利用者の時間や居場所を問わないので、例えば海外から訪れたり、遠く離れた友人と待ち合わせて同じバーチャル店舗でショッピングを楽しむことなどが考えられるという。
陳列された商品も、バーチャルではあるものの立体的に確認できるが(写真45)、実際に購入しようとしたところで桃太郎 JEANSのECサイトに遷移する構成になっていた。説明員によると「メタパは場所貸しに徹する事業」とのことで、バーチャル店舗のデザインや商品の3DCG企画・制作などをなりわいとする想定。現状では、メタバース空間での、メタバースならではの新しい決済方法が組み込まれるという趣向は見られなかった。
世界最大手のアクワイアラがリテールテック初出展 〜Worldpay(ワールドペイ)
取材の最後に出会ったのは、「Worldpay(ワールドペイ)」の目立つ看板(写真46)。決済業界では知る人の多い、オンライン環境におけるカード決済のアクワイアリング事業で高いシェアを持つグローバル企業だ。元々、英国で創業、発展したWorldpayだが、2019年に米国のフィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)に買収され、社名を「Worldpay from FIS」に変更した。そのWorldpayがリテールテックJAPANに初出展した。
日本ではこれまで航空会社や旅行業などのオンライン決済支援に実績を積んできたが、世界ナンバーワンの実績や、同社が得意とする多通貨決済対応などの特長をアピールしながら日本でのシェア拡大を目指したい考えだ。
4日間の来場者数は5万人超えに
今年もリテールテックJAPANのリアル展示会場を見て回ることができて感無量ではあったが、いかんせん会場が広すぎて、回り切れなかった、見逃してしまったブースやサービスも多数あったと思われる。紹介しきれなかった出展先にはお詫びしたい。ごめんなさい。
最後に、今年の会場への来場状況についても触れておこう。来場者数は初日3月1日(火)の9,218人から2日(水)以降は1日1万人を超え、最終日の4日(金)は1万4,760人に達した。4日間の累計では5万29人が2022年の来場者数だった(リテールテックJAPANと併設のSECURITY SHOWの合計数)。コロナの影がなかった平常時の4日間の来場者数は約13万人(2019年時)、そして昨年2021年が約3万5千人だったので、今年は昨年比1.4倍の来場だったことがわかる。客足は順調に戻ってきているものの、全盛期にはまだまだ足りないといったところだろう(写真48)。
さてさて、気になる来年のリテールテックJAPAN、2023年は2月28日からの4日間、また東京ビッグサイトを会場に開催される予定だ(写真49)。来年は、来年こそは、さらに平常運転に戻っているであろうリテールテックJAPANの会場を心おきなく楽しみたいと思っている読者は多いに違いない。
また、会場でお会いいたしましょう。