Visaカードの月間取引件数が10月以降、前年比20%に迫る伸び 。「時を戻そう」なあのお笑い芸人コンビもキャッシュレス推進を応援

ビザ・ワールドワイド・ジャパンは2月19日、東京都内で「Visa キャッシュレス推進プロジェクト2020」の発表会を開催した。日本国内におけるVisaの最新取り組み状況をはじめ、JapanTaxi、りそな銀行などのパートナー企業における事業の概況、そして「キャッシュレス・プロモーター」としてお笑い芸人を起用したPR企画の内容などについて紹介した。

タッチ決済対応カードの発行枚数はこの1年で3.8倍に

 「日本政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げる目標を掲げているが、われわれVisaはパートナー企業と組んでこれを必ずや達成したいと思っている」(ビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役社長のスティーブン・カーピン氏/写真1

写真1 ビザ・ワールドワイド・ジャパン・代表取締役社長のスティーブン・カーピン氏

 カーピン氏がそのために重要と位置付ける「3 things」は、コンタクトレスペイメント(非接触決済/タッチ決済)、デビットカード、そしてトークン化技術によるスマートフォンやウェアラブルなどへのデジタル化対応。この主張は以前から変わっていない。
 その成果が、ここへ来て表れてきたという。カーピン氏が英語で「METI program」と表現した、日本政府のキャッシュレス・消費者還元事業が始まった昨年10月以降、Visaカードの取り扱いは目に見えて増加している(写真2)

写真2 Visaカードの月間取引件数は、キャッシュレス・消費者還元事業の始まった10月以降、対前年比で15〜17%へと急上昇

 それを支えているのがタッチ決済の普及だ。特にスーパーマーケットでは昨年10月からの3カ月間で、タッチ決済の利用が3倍になったという(写真3)。タッチ決済に対応する加盟店の数、あるいは設置された対応端末の台数拡大に依存する部分も大きいが、カード発行(イシュイング)の部分でも「日本では約1億6,000万枚のVisaカードが出ているが、そのうち約1,900万枚がコンタクトレス対応になった。今後も大部分のVisaカードがコンタクトレスで発行できるようになる」(カーピン氏)

写真3 タッチ決済に対応するVisaカードの発行枚数は昨年末時点で1,900万枚に。この1年で3.8倍と急増している

 加えてこの発表会の前日に当たる2月18日には、コンビニエンスストア国内最大手のセブン-イレブンが今年6月から国際決済ブランド会社のコンタクトレス決済に対応すると発表。当然、Visaのタッチ決済も利用できるようになるため、この普及ペースがますます加速していくことにカーピン氏も期待を寄せていた。
 発表会では他に、JapanTaxi・代表取締役社長の川鍋 一朗氏(写真4)、りそな銀行・決済事業部長の横山 智一氏(写真8)がパートナー企業として応援に駆け付け、Visaカードへの対応を含めた自社の取り組みを紹介した(写真5〜7、写真9〜11)

写真4 JapanTaxiの代表取締役社長で、日本交通の代表取締役会長、タクシー業界団体会長を兼任する川鍋 一朗氏

写真5 川鍋社長が9年前に提供を始めたというJapanTaxiアプリ。日本交通における存在感は年々増しており、900数十万ダウンロードの実績がある。2019年現在では実に8割の配車リクエストがアプリから利用されている

写真6 JapanTaxiアプリ内での決済に加えて、タクシー後部座席でのセルフ決済にも対応している日本交通では、すでに全体の売上の6割がキャッシュレスに移行した

写真7 セルフレジ型のマルチ端末『決済機付きタブレット』は、設置地域を全国13都市にまで拡大している

写真8 りそな銀行・決済事業部長の横山 智一氏

写真9 りそな銀行が提供する「りそなキャッシュレス・プラットフォーム」を提供するに至った背景には、同行の法人顧客約50万先に対し、人手不足による生産性向上といった課題に対応できないかとの思いがあったそうだ

写真10 「りそなキャッシュレス・プラットフォーム」は、それぞれ対象先の異なる5つのサービスによって構成されている

写真11 加盟店サービスの導入先は、90%を中小企業が占めている。他方で「業種別に見ると、飲食や小売中心と思いきや、意外と多様な業種にニーズが表れている」(横山氏)という

お笑い芸人の「メイプル超合金」と「ぺこぱ」を起用したプロモーションも

 またビザ・ワールドワイド・ジャパンは、3月からPR連載企画の「世界を変えるキャッシュレス」をVisaのホームページ上で公開していく。「キャッシュレス・プロモーター」としてお笑い芸人の「メイプル超合金」と「ぺこぱ」を起用し、「消費者の皆さまにキャッシュレスの利便性とベネフィットをわかりやすくお伝えすることで、国内におけるキャッシュレス化推進をさらに盛り上げてまいります」としている。同連載は2020年3月から7月までの間、毎月配信される予定となっている(写真12〜16)

写真12 PR連載企画「世界を変えるキャッシュレス」は、仮に全くキャッシュレス決済がない時代にキャッシュレス決済があったら、どんな便利な社会が実現するのか、人々はどんな恩恵を受けることができるのか、という創作ストーリーを綴る。「メイプル超合金」がキャッシュレス・アンバサダー(伝道師)として、歴史上のさまざまな時代にタイムトラベルをしながら、キャッシュレスの力で、人々の不安や不満を解消し、生活を便利にする手助けをしていく

写真13 「ぺこぱ」は『時を戻せる魔術』を使えるタイムトラベルナビゲーター(時代案内人)として、「メイプル超合金」のカズレーザーさんがタイムトラベルをする手助けをする役割

写真14 2019年のM-1グランプリで決勝進出を果たした「ぺこぱ」の2人。「キャッシュレス決済で変わった世界。何が変わった?」をお題とした大喜利では、Visaカラーのスーツで登場したシュウペイさんが、「タッチ-1グランプリが開催された。」とVisaのタッチ決済にかけた回答を出して、会場の出席者をざわつかせた

写真15 紫色の衣装が印象的な松陰寺太勇さんの回答は、「M-1の賞金がキャッシュレスになった。」。「現金でなく、カード1枚で手渡せるようになったりして」と無邪気にいい線をいった名回答で、会場からはどよめきも

写真16 Visaのスティーブン・カーピン社長を交えたフォトセッション。真ん中に立った松陰寺太勇さんの表情が冴えないのは、オーバーアクションと、「時を戻そう」という十八番のセリフを報道陣に連発して、ややお疲れ気味だったせいか

 

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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