【展示会レポート】QR対応ATMからセルフ式カード発行機まで、銀行向け新技術が続々 〜FIT2017 金融国際情報技術展

20171026日と27日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムで「FIT2017 金融国際情報技術展」(主催・日本金融通信社)が開催された。全国銀行協会をはじめ国内金融機関の関連団体が後援に名を連ね、多くの金融関係者が集う同会場で、電子決済と密接に関連しそうな展示を探した。

生体認証に対応したモバイルバンキングアプリみずほ情報総研
みずほフィナンシャルグループのみずほ情報総研ブースでは、みずほ銀行が提供する「みずほダイレクトアプリ」が大きく紹介されていた。スマートフォン向けに提供されている同アプリは、今月(2017年10月)初旬から生体認証ログイン機能が追加されたばかり。さっそくこの機能を試してみたいと関心を寄せる来場者に、生体情報の登録と認証を体験してもらっていた。

顔認証は本当に一瞬で終わるため、静止画で撮影するのは至難の業

顔認証は本当に一瞬で終わるため、静止画で撮影するのは至難の業

AndroidとiPhoneの両OSに対応し、生体認証は「指紋」「虹彩」「顔」の3種類から選んで利用できる。「虹彩」は富士通スマートフォンのみで利用可能。いずれの生体認証方式でも生体情報そのものは利用者のスマートフォン端末内に保存され、銀行やシステム側には保存しないことにより、情報漏洩を防止する。FIDO規格にも準拠した。

実際に利用体験してみると、アプリ起動時に入力の必要な「お客さま番号」をあらかじめ端末に保存しておくことができるため、この状態であれば「アプリ起動→生体認証」のワンステップを踏むだけでモバイルバンキングへスムーズにログインできることが実感できた。安全性もさることながら、便利に使える点は見逃せない。

セルフオペレーション型即時発行機凸版印刷
銀行ATMのような外観の無人端末から、銀行のキャッシュカードやデビットカードなどが発行され、カードを受け取れる。そんな銀行の将来イメージを反映した製品が凸版印刷の展示した「セルフオペレーション型即時発行機」。カードの申込から受け取りまで完全にその場でセルフ操作、というわけではなく、事前の申込についてはPCやスマートフォンなどからオンラインで手続きを済ませておく。その後、従来はカードの受け取りが郵送や銀行窓口での手渡しに限られていたところ、セルフオペレーション型即時発行機を訪れて運転免許証やパスポートといった本人確認書類を提示すれば、希望するカードがその場で即時発行され、受け取れる仕組みだ。

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銀行の窓口でカードを交付する場合には営業時間に制約があるが、ATMライクな今回のセルフオペレーション型即時発行機であれば、サービス提供時間を拡大することも可能だろう。カード発行業務の効率化に加えて、銀行、お客の双方にとってメリットがありそうだ。なお、このシステムに組み込まれている即時発行機は「CP600MH-SⅢ」という型番で、国際ブランドデビットカードなどの裏面に必要な「セキュリティコード」の打刻(文字が凸む)に対応した機種としては業界最小クラスだという。

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そのほか、カタログに印刷されたQRコードをスマートフォンアプリで読み取るだけでその場で商品が購入できるサービスのデモンストレーションも展示されていた。11月1日にスタートするこのサービスは、AliveCast社の商品販売システム「ExOrder」と、Omise Japan社の決済システム「Omise Payment」を組み合わせて提供される。

●QR対応のスマホ入出金ATM NTTデータ
NTTデータでは、キャッシュカードいらずでATM取引が可能になる「My Pallete(マイパレット)スマホ入出金サービス」として、小型ATM実機を使ったサービスデモを披露していた。

ATM画面に表示されたQRコードをスマートフォンアプリ「My Pallete」のカメラ機能を立ち上げて読み取って進むと、ATM画面が暗証番号入力に切り替わり、暗証番号と出金したい金額を入力すれば現金が引き出しできる仕組み。同様の仕組みはセブン銀行でも採用されており、利用の仕方はほぼ同じ手順となっていた。

NTTD

担当者によると、「カードレスで銀行ATMを利用できる仕組みとしては、NFC(非接触IC)対応のスマートフォンをATMにかざしたり、スマートフォン画面に表示したQRコードをATMで読み取るなどの方式があるが、(今回の展示では)ATM側に表示したQRコードをスマートフォンのカメラで読み取る方式を採用している。ATM側に特殊な読み取り装置が要らないなどの費用メリットがある」という。

御用聞きAI+地域通貨 TIS
TISの展示コーナーでは、TISが出資するベンチャーのエルブズ社が提供する地域通貨のサービスが出色だった。お店や市民との間でやり取りされる地域通貨だが、そのユーザーインターフェースにスマートフォンやタブレット端末などを採用。2台の端末間はBluetoothで接続されるが、特筆すべきは接続の際のペアリングが不要なこと。お店側の端末でお客を特定して決済金額を入力、「決済」ボタンを押すと、お客側のスマートフォン上の残高表示がリアルタイムに減算される。

TIS

同社では「過疎地連携経済圏構想」を掲げ、ふるさと納税などによる寄付を地域通貨であるエルブズコインとして付与し、これを使って地域の小売店や公共施設、地域バスなどを利用できるようにするという。スマートフォンに搭載したAIアプリにより高齢者の「御用聞き」を担う機能などと合わせて、地域活性化実現の可能性を検討していき、将来的にはTISの決済ソリューションとの連動も視野に入れているそうだ。

●DNPカード即時発行サービス DNP
大日本印刷のブースでは「決済連動マーケティング」、「金融セキュリティ」などのテーマゾーンを用意して製品やソリューションの展示が行われていたが、KIOSK端末型の即時発行サービスの説明が興味深かった。利用の際には、事前にPCやスマートフォンなどからオンラインで手続きを済ませておく必要がある。その上で運転免許証かマイナンバーカードを持参して来店し、KIOSK端末にそれらの公的身分証を読み込ませると、端末のカメラが来店者の顔写真を撮影、運転免許証・マイナンバーカード内の顔画像データと照合して本人確認が行われる。OKであればカードが発行される流れだ。同社のスマートフォン向け口座開設アプリとも連動しており、事前申請時にアプリ上に発行されるQRコードをKIOSK端末に読み取らせることで、カード発行の手続きに進むことも可能となっている。

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この即時発行サービスに組み込まれている発行機「SJ-DS5」は、1台でキャッシュカード、デビットカード、クレジットカード、キャッシュ/クレジット一体型カード、非接触機能付きカードの5券種を発行できる。なお、大日本印刷はFIT展に先立って、提供する「国際ブランドデビットカード 決済サービス」へ新たにMastercardブランドに対応したサービスを2018年夏より提供すると発表済み。Mastercard とVisaの両ブランドに対応した国際ブランドデビットカード対応の決済サービスの提供は国内初(2017年10月25日現在)という。同発行機を後ろ盾として非接触IC電子マネー機能付きカードなどを含む即時発行サービスを展開していく。

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電子決済関連では他に、通常は「加盟店名」と「決済金額」しか蓄積されないデビットカードなどの決済データに対し、同社独自の加盟店マスターDBから「業種(詳細カテゴリー102分類)」「会社名」「ブランド」などの施設情報を付与することでマーケティングに活用するサービスのデモなどが展示されていた。

トークナイゼーション、P2PEを支援タレス(THALES
最後に、海外におけるカードビジネス関連の展示会では常連のタレス(THALES)社が、FIT会場に出展していた。これまでも製品としての出展実績はあったが、タレス社として同展へ出展するのは今回が初めてだそうだ。

THALES

デビットカードやクレジットカードの発行や取引に必要なハードウェアセキュリティモジュール(HSM)の提供に強みを持つ同社。担当者によると「世界では95パーセント、日本でも75パーセントのマーケットシェアを持つ」という。日本においても「トークナイゼーション」や、改正割賦販売法で注目を集める「P2PEソリューション」の導入機運が高まっており、それらを実現するための暗号化ソリューションとしてHSMの販売実績をさらに高めていきたい意向だ。

[2017-11-02]

About Author

Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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