オーケーで最大8.9%還元の衝撃、楽天ペイの紙プリント型QR決済を使ってみる

オーケーは昨年12月、対応するコード決済としてPayPay、LINE Payに続き、「楽天ペイ(アプリ決済)」をラインアップに加えた。その楽天ペイは今年1月1日から対応する全店舗での5%還元キャンペーンを開始。オーケーが独自に展開する「食料品103分の3割引」も併用できる「神対応」と聞いて、さっそくお店で使い勝手を試してみた。

オーケーも楽天ペイ5%還元の対象に

 関東圏を中心にディスカウントセンターとディスカウントスーパーマーケットを展開するオーケー(写真1)。コード決済への対応は、PayPay、LINE Payに続いて「楽天ペイ(アプリ決済)」(以下、「楽天ペイ」という)が3番目となる。昨年の12月3日から全121店舗で対応した(写真2)

写真1 オーケー店舗の看板

写真2 一番左に楽天ペイのポスターが。コード決済はいずれも「食料品103分の3割引」が適用される。条件が折り合っているということなのだろう

 先に「3番目」と書いたが、衆知のようにPayPay、LINE Payは将来を誓い合った仲なので、それを踏まえればPayPay/LINE Payが寡占するオーケー店頭のコード決済市場に、初めて切り込みをかけたのが楽天ペイということになる。
 このオーケーをはじめ、食品スーパーなどではコード決済への対応にあたり、設備に関する初期投資負担が極めて少ない紙プリント型の店舗QRコード(静的MPM)を用いるところが多い。そのため楽天ペイも、オーケーへの導入にあたっては、まだ目にする機会が少ないプリント型のQRコードによる対応とした。
 そして年が明けた1月1日の朝9時から、楽天ペイは対応する全店舗での「5%還元キャンペーン」を開始した(写真3)。特典は「楽天スーパーポイント」として後日還元される。楽天ペイに楽天カード(クレジットカード)を紐付け登録しておくと、通常の還元分として1%分(100円につき1ポイント)のポイントが付与されるので、楽天ユーザーであれば「6%還元」を狙うのも難しくない。

写真3 オーケーのほか、ココカラファイン、イケアなど楽天ペイの加盟店が増えている

 ちなみに楽天ペイは、楽天カード(国際ブランドの別を問わない)以外にも、Visa・Mastercardのクレジットカード、Visa・Mastercardのデビットカード、そしてプリペイド式のサーバ型電子マネーである「楽天キャッシュ」に対応。支払い源として、クレジット、デビット、プリペイド、そしてポイント(楽天スーパーポイント)のすべてを指定できる柔軟性を持つ。

還元キャンペーンに加え「食料品103分の3割引」も適用

 オーケーのコード決済対応で特筆すべき点は、従来からオーケー店舗での現金支払いに対してのみ適用されてきたオーケー会員向けの「食料品の3/103割引」が、コード決済ではそのまま適用になることだ。クレジットカード、電子マネーなども利用できるが、この割引(2.9%)が適用されないことから、よほどの緊急時以外はキャッシュレスを使用しないお客が少なくないと予想される。
 これに対してコード決済では期間限定ながら2.9%割引が享受でき、さらにコード決済事業者が繰り出す還元キャンペーンの恩恵にもあずかれるため、お客の利用モチベーションがぐっと上がるようになっている(写真4、5)

写真4 クレジットカードや電子マネーの利用では「食料品の3/103割引」が適用されない。楽天ペイもクレジットカードを登録すれば間接的なクレジット決済であることを考えると、驚くべき高待遇

写真5 オーケーはキャッシュレス還元事業の対象店ではないが、もともと「食料品の3/103割引」(=2.9%)を提供しているため、キャッシュレス還元店舗と比べてもお客に割高感を感じさせない土壌がある。飯田会長・二宮社長からお客さんへのメッセージにも迫力があり、経営者が直接ここまで消費者に語りかけているスーパーは珍しい

 今回の楽天ペイ「5%還元」を活用すれば、5%+1%+2.9%の最大「8.9%」還元が受けられる計算だ。日常的に利用する食品スーパーでのこの割引率には、日頃キャッシュレスを敬遠しがちなお客さえも巻き込む誘因力に満ちていると感じる。
 それだけに、楽天ペイの参入と還元キャンペーンからは楽天の本気を感じてしまう。

楽天スーパーポイントの充当も自在に設定可能

 オーケーでの楽天ペイの利用方法は至ってシンプルだ。オーケーで先行していたPayPay/LINE Payの使い方とまったく同様に、まずは楽天ペイで支払いたい旨を店員に告げる。すると、支払い用のQRコードがプリントされたシートが店員の手で提示される(写真6)ので、楽天ペイアプリの「 [-]QR読み取り 」ボタンを押し、起動するカメラでQRコードをスキャンする。

写真6 オーケー店頭での楽天ペイの利用方法イメージ(出典:2019年11月28日付け楽天ペイメントの報道発表資料より)。QRコードシートの撮影は固く禁じられているので、支払いの場面は公式写真でご覧ください

 自動で金額を入力する画面に移行するので、店員の指示に従って支払う合計金額を手入力する。店員に金額が正しく入力されていることを確認してもらったら、次の確認画面で下部にあるグリーンのボタン「スライドでお支払い」を指で右にスライドすれば(写真7)決済が完了する流れだ(写真8、9)。このアプリ画面をスライドして支払うというユーザーインタフェースは、数あるスマホ決済の中でも楽天ペイに特徴的なものとなっている。

写真7 最終の確認画面。支払い源(お支払い元)の設定状況や、ポイント/プリペイド残高の充当設定も確認できる

写真8 支払い完了を示すアプリ画面。5%還元ポイント分の付与が別になることもしっかりと説明されている

写真9 発行されたレシート。一度のアプリ決済で、軽減税率の適用から「食料品103分の3割引」、楽天ペイによる支払いが完了する。楽天スーパーポイントの還元はレシートに記載されず、後日付与される仕組み

 なお、これは楽天ペイに限らずスマホ決済アプリ全般に言えることだが、決済の際にポイントの「貯める/支払いに充当する」を同時に実行しやすく出来ている。例えば楽天ペイの場合、わざわざ別アプリなどで楽天スーパーポイントのバーコードを表示して読み込ませる手順を踏まなくても、支払いの操作だけでポイントまで一挙に処理できる。楽天ペイでは支払い時に使用するポイント数をあらかじめ指定できるなど、かゆいところに手が届く作りにもなっている(写真10)。期限切れとなる前に、ぜひ先に使ってしまいたい「期間限定ポイント」だけを支払いに充当し、残りの通常ポイントはそのまま保持していたい際などには極めて使い勝手が良い。

写真10 楽天ペイアプリからあらかじめポイントやプリペイド残高(楽天キャッシュ)の併用可否を設定できる。ポイント数を指定して一部だけ使うことも可。ちなみに通常ポイントと期間限定ポイントでは、期間限定ポイントのほうから先に使用される

 ご自身の体験を思い出してみてほしい。お店のレジであまり細かく利用方法の仔細を申告していると、店員から過度な倹約家に見られるのではないか?との懸念から、「ポイントカードも持ってます。ポイントは貯めてください」とか「これはポイントを使って支払いたい」とは表立って言いにくい時もあるだろう。そんな時、楽天ペイのようなスマホ決済アプリでは、店員にポイントの細かな使い方を告げることなく、自分の計画した通りに支払いを済ませることができる。
 これらの利点は、実は消費者にとってだけなく、複雑な操作を回避できるお店にとっても有効なものといえる。

還元ポイントは約1カ月間有効、上限は2,000ポイントまで

 年が明けて1月1日の朝9時から始まった楽天ペイの5%還元キャンペーンは、今年3月2日の朝9:59まで続く。楽天ペイが使える店舗ならどのお店も対象だが(写真11)、事前にWebサイトからのエントリーが必要なので、そこだけよく注意されたい。
 また、特典として還元される楽天スーパーポイントの上限は1人当たり2,000ポイント。単純計算で4万円までの買い物が対象になる。特典ポイントは今年3月31日頃までに付与される予定で、翌月の4月30日まで利用できる「期間限定ポイント」の扱いとなる。
 ぜひ、計画的に活用したい。

写真11 KDDIは昨年6月末に「楽天ペイ(アプリ決済)」の対象加盟店でKDDIの「au PAY」が利用できるようになることを発表済み。オーケーはこれに対応していないため、注意書きが掲出されていた

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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