データ分析支援のカステラシリーズに「地図サービス」が初登場

三井住友カードは10月24日、キャッシュレスデータを活用したデータ分析支援サービス「Custella(カステラ)」の新メニューとして、消費分析地図サービス「Custella Maps(カステラ・マップス)」の提供を11月1日から開始すると発表した。キャッシュレスデータをもとにした地図情報サービスの提供は、クレジットカード業界初になるという。

同業種の「競合データ」も参照が可能

 カステラ・マップスでは、導入した企業やグループ内の加盟店で決済されたカード決済データのほかに、三井住友カードと直接契約する加盟店のデータと、三井住友カード会員の利用したカード決済データや属性データ(画面1)を匿名化して表示。また、三井住友カードが外部から仕入れた情報として、全国にチェーン展開する店舗の名称と住所情報(売上データなどは含まれない)も重ねて表示されるため、データ分析などに利用できる。これらの情報から三井住友カードが生成した、導入企業と同業種の「競合データ」も参照が可能だ(画面2)

画面1 キャッシュレスデータの特徴と項目(出典:三井住友カード記者説明会での発表資料)

画面2 商圏ヒートマップのイメージ(出典:三井住友カードの報道発表資料より)

 ヒートマップで表示されたこれらの情報から、導入企業は自社のシェアや消費動向が把握でき、課題の発見や販売促進などの施策が検討可能になる。また、出店候補地の購買力や顧客像が掴めるため、出退店を検討する際の有力な判断材料にもなるという。
 カステラ・マップスはWebサービスとして提供されるため、常に最新のデータが参照できるほか、ダッシュボードを通じて、店舗別や業種別などあらかじめ設定したグループごとに商圏や顧客層のデータ分析が可能。データはCSV出力にも対応しており、自社で導入済みの分析ツールなどへインポートして活用することもできる(画面3)

画面3 キャッシュレスデータは外部出力も可能(出典:三井住友カードの報道発表資料より)

コロナ下で進む出退店や統廃合の検討に「使える商圏データが不足」

 三井住友カードではカステラ・マップスの導入先として、チェーン展開するような流通企業のほか、数十店舗以上の規模で運営するお店などを想定している。担当者は「事前にプレセールスも行ってきているが、『Maps』へのニーズは非常に高く、反応が良い。コロナの影響により、既存のお店でも出退店や統廃合、ブランドスイッチが活発になっているが、その際に使える商圏データが不足していることがご期待につながっているのではないか」と話し、手応えを感じている。
 料金プランは、登録できるアカウント数が5つまでとなる月額20万円(税抜)の「ベーシックプラン」と、アカウント数無制限で月額30万円(税抜)の「アカウント無制限プラン」の2種類を用意している。
 カステラ・マップス個別での売上目標は非公表だが、可視化された地図サービスでの分析をきっかけとして、さらに深い分析を行うための「Custella Analytics(カステラ・アナリティクス)」や、販売促進策の打ち手ともなる「Custella Promotion(カステラ・プロモーション)」といった“カステラ・ファミリー”の拡販にもつなげていきたい意向だ。

画面4 2019年は2億件だった月間の取引件数が今年までに4億件へと倍増。クレジットカードの日常利用が増えていることが原因と考えられるが、三井住友カードでもコンビニ3社+マクドナルドでの「ポイント付与常時5倍」などの施策を強化中。どちらかといえば高単価に強かったクレジットカード取引の裾野を広げることで、決済データの偏りがなくなってきているという(出典:三井住友カード記者説明会での発表資料)

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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