ファミマが採用した新決済プラットフォームやセブン銀行の新型ATMも登場〜NECがユーザーフォーラム開催

今年7月1日から自社のコード決済サービス「FamiPay(ファミペイ)」を開始したファミリーマートでは、翌8月以降、順次決済端末を置き換えることで、最大21種類の決済サービスに対応しているところだ(導入する決済手段は店舗により異なる)。これを支えているのが、日本電気(NEC)が提供する「マルチサービスゲートウェイ」。NECが11月7日と8日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開いた自社グループ主催による展示会「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2019」で披露した。

日本では珍しい縦型上向きのカードスロット、磁気カード読み取りも

 NECが11月7日にプレスリリースしたペイメントプラットフォームとは、同社が従来から提供してきた「マルチサービスゲートウェイ(MSGW)」を強化し、各種電子マネー、クレジットカード(磁気カード、接触ICカード、非接触ICカード)、コード決済の約30種類の決済サービスに加えて、共通ポイントにも対応する新たなプラットフォーム(写真1、2)。ファミリーマートが採用し、2019年8月から順次、導入が始まっている。

写真1 セキュリティ面ではPCI-DSSに準拠するほか、2019年度中にPCI-P2PEソリューションプロバイダの認定取得を予定しているという

写真2 各社のコード決済をはじめ、国際ブランドのタッチ決済にも対応

 対応する決済端末は、ファミリーマートが採用したPOS接続型(内回り方式)と、スタンドアロン型(外回り方式)の2種類(写真3)で、いずれも製造を中国のPAX Technology社が担当した。
 POS接続型は日本では珍しい、クレジットカードなどを上から手差しする形状の挿入スロットを搭載した。スロットが上部にあることから、お客が自ら挿す運用と、店員が挿す運用の両方に対応しやすいという。接触ICカードの読み取り時にはカードを奥まで差し込んだ状態で固定されるが、磁気カードを読み込ませる際には、カードを差し入れる際と、カードを引き抜く際の2回、磁気ヘッドが読み取りを行う仕様とした(写真4)

写真3 写真左がスタンドアロン型(外回り方式)、写真右がPOS接続型(内回り方式)

写真4 接触ICカードは奥で固定される。共通ポイントカードでは磁気カードを採用するものも多いが、基本的にはお客が自分自身で上からカードを差し込み、引き抜く手順となる

 磁気カードを決済端末で読み取る場合、これまではもう一方のスタンドアロン型のように、端末側面などに設けられた切り込み口にカードをスワイプ(スライド)する運用が一般的だったため、導入時には利用者へのわかりやすいガイドが必要となりそうだ。

写真5 ファミリーマートでは本格採用していないが、仕組みとしてはカメラ撮影での顔認証決済にも対応できる

新型ATMをはじめ生体認証ベースのサービス提案が続々

 C&Cユーザーフォーラムの会場内では、今年9月に発表されたセブン銀行の新型ATM「ATM+(プラス)」も紹介されていた(写真6)。NECと共同開発したATM+は、順次、店舗への導入が始まっている。引き出し、預け入れ、残高照会といったATMの基本機能に加えて、「運転免許証を用いた口座開設」、「顔認証取引」、「(電子マネー、コード決済などへの)現金チャージ」などが利用できる(写真7〜9)

写真6 ATM本体(筐体)の素材も、従来のものがメタリックだったのに対して、柔らかい印象のものに変更している

写真7 ディスプレイは2画面が上下に配置されている

写真8 アンテナの工夫によりディスプレイ表示も可能な非接触ICカードリーダ部分。FeliCaとISO/IEC 14443の両方に対応するほか、本人確認書類のICチップ読み取りにも対応する

写真9 非接触ICリーダと対向する位置にカメラがあり、QRコードは上向きに提示した状態で読み取る

 口座開設では、運転免許証の券面を撮影した後に、ATMに搭載されたカメラで自身の顔を撮影する手順となる。また顔認証取引では、あらかじめ登録しておいた顔情報を用いることでカードレスでのATM利用を可能にする。

 近年は、顔認証をはじめとした生体認証に最も力を注いでいる印象の強いNEC。会場内でも「I:Delight -信頼が生み出す自分だけの冒険-」をキーフレーズとして、空港の「OneID」や街中などさまざまな場面を想定した、生体認証を基盤としたサービスのデモンストレーションを披露していた(写真10〜15)

写真10 普通に歩く速度で虹彩認証を実現する技術を開発中。写真の人物がぶれていることからもわかるように、立ち止まる必要がない。人物右側の装置は虹彩を認識しやすくするための光を照射しているという(目視では確認できない)

写真11〜13 会場に入る前にあらかじめ顔情報を登録しておくと、入場や、顔認証に基づいた各種サービスの体験ができる

写真14 空飛ぶクルマの試作機も

写真15 研究開発中の超伝導量子アニーリングマシン。2023年頃をめどに「圧倒的性能差」を実現予定とのこと

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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