【展示会レポート】Mobile World Congress上海 2017 見聞録(1)いよいよ動いた中国銀聯、ついにQRコード決済市場へ参戦

 

 

モバイル業界の伝統ある国際見本市、Mobile World Congress(モバイルワールドコングレス)の名前を冠する「MWC上海 2017」が、今年は6月28日(水)〜7月1日(土)の4日間に渡って中国・上海で開催された。近年、電子決済やICカード技術の新しいトレンドは、スマートフォンを皮切りに生活者と非常に近しいポジションにあるモバイルや、家電業界から登場してくることも珍しくない。
という理屈に拠り、広大な上海新国際博覧中心(SNIEC)会場から、電子決済市場に関連しそうな展示を紹介する。

■中国銀聯(UnionPay)ブース

まばゆいブルーのブース展示で会場に華を添えていたのが中国銀聯/China UnionPay(以下、「銀聯」という)。昨年の出展時には、Apple Pay、Samsung Payなど端末メーカー系の「Pay」サービスに加えて、Android端末の「HCE仕様」にも対応したモバイル非接触IC決済「クラウドQuick Pass(銀聯云闪付)」を発表した直後ということもあり、提携する銀行団とともに巨大なブースを披露した。それに比べれば、展示は昨年よりはひと回り小規模なものだった。

▲「銀聯云闪付」の単語を全面に打ち出した銀聯ブース

▲「銀聯云闪付」の単語を全面に打ち出した銀聯ブース

銀聯ブースの今年の目玉といえば、QRコードに対応した決済サービスの登場だ。ご存知の通り、近年、中国でモバイル決済といえば、非接触IC以上に盛り上がりを見せているのがAlipay、WeChat Payに代表される(事実、これ以外にもいくつかのサービスが導入されている)QRコード決済。銀聯が、これまで接触IC、非接触ICへと対応させてきたプラスチックカードと、非接触IC対応のモバイル決済に注力する傍らで、一気に市民権を得てしまったQRコード決済に対し、オール中国の銀行連合組織である銀聯もさすがに無視できなくなったということだろう。

銀聯のQRコード決済は、銀聯と提携する銀行のスマートフォン向けモバイルバンキングアプリを通じて利用するのが特徴。AlipayやWeChat Payのような専用アプリが不要で、預金者がふだん利用しているモバイルバンキングアプリの1機能として提供される。QRコードの安全性を高めるため、カード番号をそのまま利用しない「トークン技術」を採用した。利用者がスマートフォンで対応するQRコードを読み取り、所定の手順を経ることで決済が完了し、代金が預金口座から引き落としされる仕組みだ。銀聯のQRコード決済は今年4月からサービスを開始し、対応する銀行、利用可能店舗ともに急速に数を増やしているという。

▲銀聯QRコードの機能を説明したボード

▲銀聯QRコードの機能を説明したボード

▲銀聯QRコード決済のフロー

▲銀聯QRコード決済のフロー

▲銀聯のQRコード決済に対応する銀行のモバイルバンキングアプリの例

▲銀聯のQRコード決済に対応する銀行のモバイルバンキングアプリの例

展示ブースでは、セットトップボックスを通じたデジタル番組の購入を銀聯のQRコード決済で行う場面を披露していた。すでに実稼動しているサービスとあって、番組を購入する画面では、銀聯での支払い用QRコードに並んで、AliPayでの支払い用決済用QRコードが表示されていた。銀聯の「追いついた感」と、AliPayの「先輩風」が同居する風景に見えた。

▲デジタルTVの番組購入にも対応。右が銀聯決済用のQRコードで、左はAlipay決済用のQRコード

▲デジタルTVの番組購入にも対応。右が銀聯決済用のQRコードで、左はAlipay決済用のQRコード

QRコードは決済だけでなく、マーケティングの施策にも採用されている。「U Plan」は、銀聯国際(UnionPay International)が提供する銀聯カード会員向け送客スキーム。日本でも「優計画」のサービス名称で、マツモトキヨシグループ、ラオックスなどの店舗が参加してサービスが提供されている。
利用方法は、利用者がU Planのスマートフォンアプリを操作して支払い時に利用したい割引クーポンを選択。すると対応するQRコードが画面に表示されるので、これをお店の決済端末側で読み取ることで割引が適用になる仕組み。その後は通常通りの手順で銀聯カード決済を行う。説明員によれば、今後はQRコードクーポンを店舗端末から一度スキャンするだけでカード決済まで完了する仕組みの導入を予定しているという。

▲利用者のスマートフォンに表示されたU PlanのQRコードクーポンを、お店の読み取り端末でスキャンし、割引された金額でカード決済するデモ

▲利用者のスマートフォンに表示されたU PlanのQRコードクーポンを、お店の読み取り端末でスキャンし、割引された金額でカード決済するデモ

なお、銀聯は今回のQRコード決済対応を機に、先述した「クラウドQuick Pass」の製品カテゴリを広げた模様。昨年まで対象範囲としていたモバイル非接触IC決済に加え、QRコード決済、プラスチックICカード、スマートウォッチなどによるウェアラブル決済までもが加わったことで、銀聯が現在ラインアップするほぼすべての決済サービスを内包するコンセプトになったようだ。ただ、あまり厳密に規定しているわけでもなさそうで、このあたりの打ち出し方は意外とアバウトなのかもしれない、と感じられた。

▲昨年まではHCE対応のモバイル非接触IC決済の名称に見えていた「クラウドQuick Pass(銀聯云闪付)」が、対象範囲を広げた格好

▲昨年まではHCE対応のモバイル非接触IC決済の名称に見えていた「クラウドQuick Pass(銀聯云闪付)」が、対象範囲を広げた格好

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▲端末メーカーのラカラ(拉卡拉)が提供するスマートウォッチ。交通支払いとカード決済に対応する

▲端末メーカーのラカラ(拉卡拉)が提供するスマートウォッチ。交通支払いとカード決済に対応する

▲ラカラ(拉卡拉)のスマートPOS端末

▲ラカラ(拉卡拉)のスマートPOS端末

 

[2017-07-20]

 

 

About Author

Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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