【展示会レポート】やっぱり決済端末が好き〈後編〉(リテールテックJAPAN 2017)

 

 

3月7日〜3月10日まで東京ビッグサイト(東京・有明)で開催された展示会『リテールテックJAPAN 2017』にはICカードに対応する最新型の決済端末が百花繚乱、咲き乱れた。「やっぱり決済端末が好き」な電子決済研究所がお送りする決済端末レポートの後編では、POS接続型の決済端末を中心に報告する。[2017-03-22]

 ・加盟店POSとICクレジット端末をLANで接続するという解決提案〜POS ICクレジット対応推進協議会
後編のスタートは、おそらく展示に気が付いた方は少なかったのでは?と筆者が感じた活動の紹介から。情報システム構築支援のソリマチ技研ブースの一角に掲げられていたのが「POS ICクレジット対応推進協議会」。読んで字のごとく、加盟店が導入しているPOS端末のICクレジット対応に関連する組織の活動と想像できるが、割賦販売法の改正で待ったなしとなった本課題に正面から取り組もうとする内容だ。
カード加盟店のICクレジット対応については、日本では大きく2つの導入形態、①POS端末(POS連動型を含む)、②専用端末(CCTなど)、とに分かれるが、特に大型店舗ではPOS端末にカード処理機能を自社開発で組み込んで運用するのが主流だ。採用するお店の規模感から、クレジットカード決済取扱金額の全体に占める規模の割合でもPOS端末経由が多く、それだけにICクレジット対応が喫緊の課題となっている。ところが、単体で端末を置き換えるだけでIC対応が済む専用端末に比べて、自社のPOSシステム全体に影響する開発が必要なPOS端末のほうが、システム面、技術面で移行のハードルが高かった。
POS ICクレジット対応推進協議会では、こうしたPOS端末のICクレジット対応時の課題を検討し、次の3つの事項ーー①POS端末とICクレジット端末の接続仕様の検討、②店舗におけるクレジット端末の運用検討、③検討仕様に基づいたICクレジット端末の開発ーーに取り組んでいるという。
協議会では検討したPOS接続仕様に準拠したICクレジット端末の開発にも取り組むが、割賦販売法の求める「ICクレジットカード対応」と「カード情報の非保持化」に対応するのはもちろん、LAN接続を利用して複数POS端末と共用可能な仕組みにする(WS-POS)。POS端末との連動動作により、お店の決済オペレーションをほぼ変更しない運用を目指している。
なお、同協議会の参加企業は展示会時点で、セイコーソリューションズ、ソリマチ技研、パナソニックシステムネットワークス、富士通、ヤマトシステム開発の5社となっている。

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▲店舗における決済時の運用オペレーションはICクレジットカードの処理でも従来と変更のないようにする

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▲ICクレジット端末とPOS端末とはLANで接続する構成を想定

・POSメーカーが提案するクラウド型決済サービス〜寺岡精工
改正割賦販売法に対応するワンストップマルチ決済サービス、と銘打ち展示されていたのが寺岡精工の「Payoss(ペイオス)」だ。日本クレジット協会の公報している割賦販売法改正や、クレジットカードのIC取引、インターネットショッピングでのカード決済時の本人確認強化などの啓蒙ちらしを配布し、業界課題に真摯に取り組む姿勢の表れた展示であると感じた。(筆者の個人的な感想だが、リテールテックJAPANの展示全体の中で割賦販売法対応を全面に打ち出した展示物は意外に少ない印象だった)
ペイオスは、POSメーカーである寺岡精工が提供するクラウド型決済サービスで、同社の運営する決済処理センターとPOS、決済端末を連携させることにより一気通貫のサービス提供を行う。銀聯カードを含むクレジットカード決済をはじめ、交通系電子マネー、iD、楽天Edy、WAON、nanacoにも対応する。ブースでは米・ベリフォン製の決済端末「P400」とPOS端末を連動した決済サービスをデモ展示していた。「2020年からクレジットカード100%IC化がはじまります」と記されたカラフルPOPの掲出など、大変にわかりやすいサービス提示であったように思う。

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▲米・ベリフォン製の決済端末を採用

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▲ワンストップマルチ決済サービス「Payoss」のシステム構成

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▲2020年までのIC化対応完了をアピールするPOPステッカー

・丸い決済端末はお好きですか?〜トッパン・フォームズ/TFペイメント「シンカボール」
こちらはあいにく割賦販売法とは直接関係しない(同法が加盟店に義務付けているのは接触ICカードのみ)非接触ICサービスの専用だが、丸い決済端末というのは世にも珍しい。トッパン・フォームズとTFペイメントサービスは球体形の電子マネー決済端末「ThincaBall(シンカボール)」を披露した。TFペイメントサービスの提供するクラウド型電子マネー決済プラットフォーム「シンカクラウド」に接続し、複数の非接触IC電子マネーに対応する。今年の秋頃から提供開始する予定だ。
特徴はご覧の通り、丸いだけなのだが、これまで丸い決済端末なんて見たことがなかった!ということだけで特筆に値するかもしれない。デザイン性を重視するお店には、決済端末選びにおける新しい選択肢になり得るのではないか。

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▲球面型の決済端末「シンカボール」。カタカナで表記すると「シンガポール」と読み間違えそう?

・JIS Ⅰ・Ⅱ同時読み取りから非接触ICまでオールインワンで対応するオムロン
決済端末では老舗のオムロン(提供はオムロン ソーシアルソリューションズ)だが、同社のブースでもICクレジット対応を前面に押し出した端末の展示が行われていた。「eZPAD(イージーパッド)」は接触ICカードリーダ、非接触ICカードリーダ(オプション提供)、磁気カードリーダ、PINパッドを一体化したコンパクトサイズの決済端末。無線型と有線型の2種類を用意し、有線対応はPOS端末から電源供給する。磁気カードリーダはJIS ⅠとJIS Ⅱの同時読み取りに加えて、双方向読み取りにも対応している。このあたりのきめ細やかな対応は国内メーカーの面目躍如といったところだろう。
クレジットカード、J-デビット、銀聯カード、FeliCa電子マネー(交通系IC、QUICPay、iD、楽天Edy、WAON、nanaco、PiTaPa)のほか、非接触ICクレジットサービスにも対応する。セキュリティ面の機能では、「PCI P2PE」への対応と、PCIが決済端末に求めるセキュリティ要件「SRED(Secure Reading and Exchange of Data)」への対応により、加盟店に「カード情報非保持化」と同等の決済環境を提供可能だという。

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▲写真手前が「eZPAD(イージーパッド)」。接触ICカードリーダ、非接触ICカードリーダ(オプション提供)、磁気カードリーダ、PINパッドを一体化した決済端末

・Apple Payの同時待ち受けにも対応するPOS接続型決済端末〜パナソニック
決済端末レポートの最後に登場してもらうのは、パナソニック(提供はパナソニック システムネットワークス)だ。国内の決済端末市場では高いシェアを誇る同社の新製品は、セキュリティ面では先述の「SRED」に対応し、磁気カード、接触ICカード、非接触ICカードリーダ機能、およびPINパッドの機能を一体化したPOS接続型マルチ決済端末「JT-R600CRシリーズ」。国内のApple PayやFeliCa電子マネー、海外の非接触IC決済サービスなどに幅広く対応する。
Apple Payを決済端末側で「待ち受ける」際には、ワンボタンで国内版Apple Payの対応電子マネーである「iD」「QUICPay」「Suica」の3種類に関して同時に待機する。また店員が端末から「クレジット」のボタンを押下すると、磁気カード、接触ICカード、非接触ICカードによる処理を同時に待ち受けることが可能だ。
ややマニアックな観点では、「EMVセレクタブルカーネル方式」に対応する点。PIN入力や署名(サイン)などの本人確認方法を取引単位で切り替え可能となっている。
パナソニックではそのほかに参考出展として、「PCI P2PE」に対応するPOS接続型マルチ決済端末(組込型)を披露するなど、種類豊富な従来機種のラインアップとあわせて意欲的な展示が目立った。

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▲PCIのセキュリティ要件「SRED」に対応するPOS接続型マルチ決済端末「JT-R600CRシリーズ」。同社製POSとの接続によりお客自身が決済するセルフ決済のデモなどを展示した

PANAJETS

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▲パナソニックの決済端末は、JET-S、INFOX、J-Mupsなどさまざまな決済センター向けに供給されている

 

 

[2017-03-22]

 

 

About Author

Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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