【レポート】PayPalに対応するJTBのスマホ専用電子チケットサービス「PassMe」がスタート

 

 

旅行業大手のジェイティービー(JTB)は、7月23日よりスマートフォン専用の電子チケットサービス「PassMe(パスミー)」の運用を開始した。サービス提供に当たってJTBはPayPal Pte. Ltd.(本社・シンガポール)とパートナーシップを結び(写真①)、PayPal(ペイパル)決済への対応や認証情報連携などを実装している。

写真① ジェイティービー グループ本社執行役員 事業創造部長 鈴木雅己氏(左)とPayPal 日本支社社長 エレナ・ワイズ氏

写真① ジェイティービー グループ本社執行役員 事業創造部長 鈴木雅己氏(左)とPayPal 日本支社社長 エレナ・ワイズ氏

■専用アプリ不要、ブラウザベースの電子チケット 利用時の電子認証は電源不要の「スタンプ」で!

パスミーは専用サイト(https://pass-me.jp/)上で提供される電子チケットサービスで、希望するチケットの検索から、購入、入場時の認証までを一般のスマートフォンから利用できる。ページ上から会員登録することで「マイページ」が生成され、購入したチケットや閲覧履歴などが管理できるほか、LINEやメールを通じて、購入したチケットを家族や友人に転送することが可能だ。チケットを受け取った側も、通知されたURLをクリックしてパスミーのWebサイトにアクセスし、(会員でなければ)会員登録するだけでチケットが利用できる。

サービス開始日である7月23日時点では、190の対応施設より約250プランが掲載されている。時節柄、東京サマーランドのほか、大型のプール施設などが多いという。

動画 PassMe利用の流れ(共同記者発表会より)

 

実際に施設を訪れてチケットを利用する際には、スマートフォンでマイページを開き、「マイチケット一覧」から利用するチケットをクリックし、画面に表示する(写真②)。ここで、施設側のスタッフがスマートフォンの画面上に「スタンプ」を模したデバイスをタッチすると、驚くことに、スマートフォンの画面上にチケットを利用したことがわかる押印が表示される仕組みとなっている(写真③)。同時にチケット情報の消し込みを行う電子認証を実現している。

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写真② チケットを提示する画面

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写真③ スマホ画面にスタンプが「押印」される

この「スタンプ」型デバイス(写真④⑤)は、電源不要、電波を発信するわけでもなく、静電気を利用してスマートフォン画面上のポイントに認識させる技術を採用している。株式会社 コト(京都市中京区)の技術を採用し、アプリケーションの開発を株式会社エム・フィールド(東京都目黒区)が担当した。

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写真④ 電源不要のスタンプ型デバイス。人間の爪より柔らかい素材を使用し、スマホ画面を傷付けないという

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写真⑤ スタンプの周囲を握るように持って使用する

 

■決済はペイパルのほかクレジットカードにも対応

パスミーの導入に当たって、施設側は基本的に無償でシステムが利用でき、スタンプ型デバイスも無償貸与される。パスミーの利用者がチケットを購入し、実際にその施設でチケットが使用された際に、販売額面の平均10%に相当する手数料を徴収する成功報酬型のビジネスモデルとなっている。

チケット購入時の決済では、実はパートナーシップを結んだペイパル以外にも、一般的なクレジットカードが利用可能だ。しかし、ペイパルでは決済機能にとどまらず、既存のペイパル会員であればパスミー会員登録時にペイパル会員情報が連携され、登録作業が簡略化できるほか、パスミーでのペイパル利用に関して各種優遇キャンペーンなどが展開されている。

JTBではパスミーの当面の展開目標として、2015年末時点で施設数3,000、商品数6,000件、販売額3億円、利用者数10万人を掲げる。これを2019年末までに施設数5,000、商品数1万5,000件、販売額80億円、利用者数270万人まで引き上げたい計画だ。

開始当初は国内向けサービスとして提供するが、近い将来には海外から訪れる訪日外国人にも利用してもらえるように多言語対応を進めたい意向だ。「世界の1億6,900万人が利用する電子決済サービスであること、JTBがペイパルをパートナーに迎えた狙いはここにある」(ジェイティービー 事業創造部企画開発担当部長の花園 聡一郎 氏)

 

■eBayからの独立を果たしたPayPalが狙う市場は?

なお、7月20日、PayPal Holdings, Inc.はeBay Inc.からの分社手続きを完了し、米国東部時間午前9時30分にNASDAQへ再上場を果たした。ティッカーシンボル(銘柄コード)は「PYPL」。これを記念して、PayPal Pte. Ltd.東京支店は東京都内で会見を開き、日本における今後の事業戦略を説明した。

具体的な詳細については明らかにされなかったが、戦略上のキーワードとして「中小企業」「モバイル」「訪日観光」の3つが挙げられた(写真⑥)。

2015年7月20日時点で、ペイパルは203の国と地域の100通貨以上で決済が可能。アクティブユーザー数は1億6,900万人で、ペイパルを決済サービスとして導入している事業者は1,000万以上に上る。またアメリカではECのトップ100社のうち74%がペイパルを導入済み。PayPalの売上の50%以上はアメリカ国外で発生しているという。

 

 

写真⑥ 

写真⑥ ペイパルの日本市場展開に向けた戦略キーワード

 

 

[2015-07-24]

About Author

Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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