[08/12] 2015年より米国内での偽造カード不正利用による「ライアビリティーシフト」を施行(Visa)

Visa Inc.は2011年8月9日、米国内外の偽造カードが米国内のPOS端末で使用された取引についての「ライアビリティーシフト」(債務責任の移行)を、2015年10月1日より施行する予定であることを発表した。また、GSなど燃料販売の加盟店に関して、自動給油機における取引についてのライアビリティーシフトは、2017年10月1日からの実施となる。
ライアビリティーシフトが施行されると、EMV準拠の接触型ICカード(チップ)に対応する決済端末を設置していない加盟店で同接触型ICカードが使用された場合に、偽造カード不正による債務責任が、その加盟店と契約している加盟店契約会社(アクワイアラー)に課されることになる。現在はその大半をカード発行会社(イシュアー)が吸収しており、この責任が移行する(シフト)ことからライアビリティーシフトと呼ばれる。
2011年8月時点で、ICカード(チップ)取引に関して国内外におけるライアビリティーシフトのいずれにも誓約していない国は、世界中で米国のみとなっている。

なお、本件を含むニュースリリースのタイトルは「Visa、EMV チップへの移行およびモバイル決済導入の促進を発表」。この中でVisaは、接触型および非接触型EMVチップの米国内における導入を促進する計画を発表しており、「デュアルインターフェースチップ技術の導入により、サインにもPIN 入力にも対応可能なチップ決済の処理に必要なインフラが構築され、NFC(近距離無線通信)ベースのモバイル決済の到来に向けた米国内の決済インフラの準備が進むことになります」とコメントしている。
Visaではそのほか、米国内の加盟店契約会社のプロセッサと傘下のサービスプロバイダに対し、2013年4月1日までに、加盟店のICカード(チップ)対応へのサポート体制を整えるよう求めていくなど、EMVチップへの移行を促進するいくつかの国際プログラムに基づくプランを発表しており、米国内でのEMV対応の本格化に弾みを付けるものとして注目されそうだ。

●プレスリリース
(ビザ・ワールドワイドによるリリース抄訳 ※内容および解釈については英語が優先される)
Visa、EMV チップへの移行およびモバイル決済導入の促進を発表
サンフランシスコ, 2011年8月9日(Visa Inc.)
http://www.visa-asia.com/ap/jp/mediacenter/pressrelease/NR_JP_100811.shtml

(原文・英語)
http://corporate.visa.com/media-center/press-releases/press1142.jsp

●関連するリリース
Visaの新プログラム、動的認証につながるEMVチップ導入を加盟店に推奨
東京, 2011年2月17日(ビザ・ワールドワイド)
http://www.visa-asia.com/ap/jp/mediacenter/pressrelease/NR_JP_170211.shtml

【ePayments.jp管理人のコメント】
少しマニアックなニュースですが、業界的にはインパクトのある内容が含まれていましたので、ニュースのツボをご紹介しました。詳細はリリースの原文もご参照ください。
世界を牽引するカード大国であるアメリカが、唯一ライアビリティーシフトの適用外になっていたことにも驚きますが、いよいよICカード化への道筋が見えてきたようです。NFCケータイを含む非接触ICカードの導入との兼ね合いも気になるところですね。(多田羅)

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日々、電子決済サービス関連各社のプレスリリース発表を泳ぎ回り、秀逸なニュースを集めて紹介する電子決済研究所のスタッフ。ほぼ人力のボット。

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