[07/21] 【コラム】「FeliCaソリューションセミナー2011」を見てきました。

先日ソニーの主催により、業界関係者に向けた「FeliCaソリューションセミナー2011」が東京・大崎で開催されました。「~NFCで拡がるFeliCaの利用シーン~」との副題が付けられた同イベントには、ソニーの開発した非接触IC技術、FeliCaの今後の方向性が披露されるとあって、参加希望者が殺到。定員の200名枠は即日埋まってしまったそうで、業界がFeliCaに寄せる関心の高さが伺われます。

そのセミナー会場で、来場者にもれなく配られたのが写真の特別版FeliCaカードと、USB型のクリップデバイス。一見、USBメモリに見えなくもありませんが、実はNFC対応のリーダライタでした(「FeliCa」ロゴマーク入りですが、TypeA/Bでも利用できます)。参加者はもれなくお土産として新型のFeliCaポートを持ち帰ることができました。

●USB対応スティック型FeliCaポート(ソニー)
http://www.sony.co.jp/Products/felica/business/products/RC-S360.html

カードのほうもただのFeliCaではなく、廉価版として発売されている「FeliCa Lite」のプラスチックカード。これはセミナー受付時の認証用カードとして参加者に事前配布されており、当日、会場の入り口で簡易端末によるチェックを受ける仕組みでした。

これだけだと少しもったいないなぁと思っていたら、さらにもう1つ仕掛けがあるとのこと。帰宅してからパソコンに先のスティック型FeliCaポートをセットし、ドライバソフト類をインストール。その後カードをスティック部分にかざすと、自動的にセミナー当日の配布資料をダウンロードできるサイトへ飛ぶことができるようになっていました。単にWebサイトのアドレス(URL)を自動入力するだけでなく、同サイト上からFeliCaカードの認証もオンラインで行われ、正当なカード以外をはじく仕組みを実現していました。

最近は、頂いた紙の資料はまとめてスキャン→PDF化して保存してしまうので、こういう仕組みはとても有りだと思います。ダウンロードできる資格の有無もチェックできますし、何より環境にも優しいですよね。

さて、同セミナーでは4時間以上にわたって、ビジネス・技術の両面から、FeliCaに関する最新の動向が紹介・解説されました。詳しい説明は専門誌などに譲るとして、ここでは筆者の心に残った項目を簡単にまとめておきたいと思います。 (多田羅/ePayments.jp)


■FeliCaのマーケティング活用には「ウィジェット/アプリ」が重要らしい

ウィジェットというのは、パソコン上に常駐して動くミニアプリケーションのようなもので、通常のWindowsアプリケーションほど立ち上げるのに手順も時間も要しません。(事前に補助ソフトウェアをインストールしておけば、カードをリーダにかざすだけで勝手に起動します)

カレンダー(スケジューラー)や時計などのコンテンツを見てもわかる通り、ウィジェットは別にFeliCaやNFCなどの非接触デバイスありきなサービスではないのですが、電子マネーのビューワーなど連動することで面白いマーケティング展開ができそうなことは意外と容易に想像できます。<こういうオンライン(バーチャル)とオフライン(リアル)の連動のことを、マーケティング用語では“O2O”(オンライン・ツー・オフライン)というそうです>

筆者として発見だったのは、担当者がパソコン用の「ウィジェット」を、ちょうどスマートフォンの「アプリ」のポジションに位置付けてお話しされていたことです。確かに日頃からiPhoneやAndroidの操作でアプリの起動に慣れてしまうと、パソコンでも同じ感覚で立ち上げておけるアプリがあればカードの利用頻度も上がるだろうなということが実感できました。

というわけで使ってみました。恥ずかしながらパソコン向けのウィジェットは、WindowsのVista以降でしか利用できないと思っていたのですが、Windows XPでもOKなんですね。やはりこういうものは、自分で使ってみないといけません。

●ソニーのウィジェットサービス「FLO:Q(フローク)」
http://www.floq.jp/index.html

●「電子マネービューワー」ウィジェット
http://www.floq.jp/special/emoney/

■「FeliCa=NFC準拠」ということが(いまだに)意外と理解されていない

冒頭に、同日のセミナープログラムの全体像を交えながら「NFC/FeliCa」の現状を解説するセッションがあったのですが、その中で講演者の方が嘆いておられたのがこちらのテーマ。

相変わらず「『FeliCa=ガラパゴス』vs『NFC=グローバル』」という誤解が日本のあちらこちらに残っているそうです。そうした誤解を少しでも解消できるようにと、世界的なNFCの推進団体、NFCフォーラムの活動をソニーが全面支援していることや、NFCフォーラムの認定テストラボとして、来年(2012年)にも同社がリーダライタやモバイルの性能検定を開始する予定などが紹介されました。


■さらに安価なFeliCa Lite-Sが登場するらしい

来場者カードとしても配布された「FeliCa Lite」は、メモリ容量や機能を絞ることで低廉化を実現した安価なFeliCaカードとして注目されてきました。
そしてソニーでは、2012年春のリリースを目指して、さらなるコストダウンと小チップサイズ化を追求した新製品として「FeliCa Lite-S」を開発中であることを明らかにしました。加工や形状にもよりますが、Liteでも100円以上の価格が言われていましたので、これは大いに期待できるのではないでしょうか。

また、これらのLiteシリーズはNFCフォーラムの定める「Type3 Tag」規格に準拠していますので、海外ですでに販売されている「Nexus S」や「Galaxy SⅡ」といったNFC対応Android端末での情報読み取りが可能な点も注目されます。

■NFCの展開ではタブレットとの連携が超重要

NFC関連のデバイスといえば、スマートフォンやパソコン、テレビなどでの活用ニーズがこれまでは一般的でした。しかし、そこに新たに割って入り、新しい市場を開拓していくことが期待されているのがタブレット端末です。この市場のパイオニアであるiPadこそ、Apple社のNFC対応方針が不明なことでその影響が見えづらくなっていますが、片やAndroidタブレットにはGoogleによるOSレベルでのNFCサポートもあり、さまざまな可能性が開けています。

タブレットの場合、その端末の形状から、NFCのサポートはリーダライタ機能とPeer to Peer機能の活用に集約されています。例えばNFC対応タブレットにFeliCaカードをかざすことで、特定サイトへの誘導からID認証、そして決済へと、一連の操作手順を簡略化することができます(これは実際にデモで実現済みのレベルです)。タッチパネルのソフトウェアキーボードからタブレット端末に文字をすらすら入力できるようになるには若干の鍛練が必要ですので、入力支援だけでも意味がありますね。

パーソナル用途以外にも、ポータブルPOS端末としての利用や、医療健康機器間での連携、ホームエネルギーマネジメント(家庭内の消費電力モニタリング)などなど、業務への活用についてもさまざまなアイディアが提案されています。

会場では実際に、NECエンべデッドプロダクツ社などがNFCリーダライタを搭載したAndroidタブレットのプロトタイプを開発・披露しており、商用機を目にする日も近いことを感じさせてくれました。
ソニーではNFC対応リーダライタ向けのSDK(ソフトウェアディベロップメントキット)についても、これまではオプションで提供してきたTypeA/B対応機能を含めて一本化して提供。8月1日から「SDK for NFC」(従来の製品名は「SDK for FeliCa」)として新発売するそうです。Windows向けのほか、組み込み機器向けではAndoridにも対応しているとのことで、開発環境も出揃いつつあります。


今回のイベントはとにかく発表内容が多岐にわたっており、聴講しているだけでもお腹がいっぱいになりそうな、情報量の多いイベントでした。日本のICカード市場を牽引する存在であるFeliCa(ソニー)からこうした情報発信がされることは、業界にとってもプラスだと思いますので、ぜひ今後も続けていただきたいと思います。

セミナー当日はこのほか、AES暗号に対応する新FeliCaチップの技術詳細や、フェリカネットワークス社のNFC対応(同セッションは満員御礼)、Android端末でのFALP機能の詳細などなど、盛り沢山の講演が繰り広げられました。枚挙にいとまがありませんので、詳細は今後、専門誌などでご覧ください。

About Author

Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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