総務省がJPQR広報大使に吉本芸人チームを任命、全国4県で8月1日から半年間の普及事業スタート

総務省は7月31日、翌日の8月1日から来年(2020年)1月までの半年間、全国4県(岩手、長野、和歌山、福岡)で実施する統一QR規格「JPQR」の普及事業に関連し、広報大使任命式を東京都内で開催した。広報大使に任命された人気漫才コンビの銀シャリをはじめ、4県でそれぞれ活躍する吉本芸人も登場し、JPQRのにぎやかな船出を演出した。

JPQRの広報大使は銀シャリのお二人、広報動画はテレビCMにも

 広報大使の任命状は、総務省 総括審議官の秋本 芳徳(あきもと・よしのり)氏から、吉本興業所属の漫才コンビ「銀シャリ」の橋本 直(はしもと・なお)さん、鰻 和弘(うなぎ・かずひろ)さんに手渡された(写真1)

写真1 秋本総括審議官から任命状を受け取っておどける銀シャリのお二人。「街中でボクらを見かけたら『あっ、JPQRや』と呼んでほしい」と鰻さん

 銀シャリのお二人はそのままステージ上で、店舗提示型(MPM)の静的なJPQRシートを使ってスマートフォンで決済するデモにチャレンジ。司会者に「(デモなので)何を買ったことにしますか? いま何が欲しいですか?」と尋ねられた鰻さんは、迷わずに「家が欲しいです」と回答。「2年後くらいに8,000万円の家を一括で買いたい」と続けた。橋本さんに「そんなもんホントに決済できるか? 金額を入れた後、手が震えて決済のボタン押せないやろ!」と突っ込まれていた。
 司会者の機転により、「では今日はお家ということで、特別に700円で買ってもらいましょう」とコード決済らしい金額帯に落ち着き、スマホで読み取って金額を入力する手順に進んだ(写真2)。橋本さんがスマホアプリを起動し、JPQRを読み取り、金額を入力。満を持して「決済」のボタンを押すと、まさかのエラーが!
 「『残高が不足しています』。残高が545円しかありませんと出てます。ちょっとちゃんとしてくださいよ、これリハーサルでペイし過ぎました!」と会見場を爆笑させた(写真3)

写真2 MPMなのでスマホアプリを起動してJPQRを読み取って金額を入れ・・・

写真3 痛恨の「残高が不足しています」表示

 その後、気を取り直して、500円に負けてもらった家をJPQRで購入するデモに見事成功した橋本さん。「残高は必ずご自身で用意をお願いしますね」となぞり、期せずしてJPQR利用時の注意喚起(?)にもなったようだ。
 銀シャリに加えて、JPQRの地域サポーターとして、岩手、長野、和歌山、福岡を拠点に活躍する吉本芸人たちも会場へ応援に駆け付けた(写真4)。JPQR普及事業では銀シャリが登場する広報動画も作成しており、テレビCMなどでも放映される予定とのこと(写真5)。普及事業が行われる4県では、銀シャリに加えて地域ゆかりの芸人の顔が登場するバージョンも用意される。

写真4 地域サポーターの「住みます芸人」の顔ぶれは、アンダーエイジ(岩手県)、こてつ(長野県)、わんだーらんど(和歌山県)、ぶんぶん丸(福岡県)の4組8名

写真5 地面の背景をQRコードにしたのは鰻さんのアイディアだそう

MPM方式は8ペイに対応、CPM方式はコンビニ・スーパーのみ

 総務省のJPQR普及事業では、利用者提示型(CPM)と店舗提示型(MPM)の両方を実施する。MPM方式では、1つのJPQRを掲出することで、NTTドコモ、Origami、KDDI、福岡銀行、みずほ銀行、メルペイ、ゆうちょ銀行、LINE Payの8ペイに対応できる(写真6)。なお、PayPayはCPM方式のみの参加となる。
 参加店舗に関して、CPM方式では4県でセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、各県の地方スーパーが参加する予定である。
 対してMPM方式では小規模店舗での利用を念頭に、決済事業者に加えて地元の関係者(県庁・商工団体・金融機関・NTT東西)が協力し、加盟店開拓を行っていくという。イベントや展示会、地域メディアと連携して利用者向けの周知広報も進める。
 総務省では本事業で、CPMとMPMをあわせて、4県で2〜3万店舗の参加を目指している(写真7)

写真6 MPMの提供イメージ(出典:統一QR「JPQR」普及事業概要説明資料、総務省情報通信政策課)

写真7 総務省 総括審議官の秋本 芳徳氏。「平成の30年間で良くなったもの」をアンケートしたら「情報通信環境」との回答が多く寄せられた。過去には(現在は当たり前に普及している)携帯電話も、電子マネーも、「日本では普及しない」と言われたことがあったがそれらの予想は見事に外れた。「普及しない」と言われたとしても、制度上、実務上、その環境を整備しておくことの重要性を学んだ。今年は5G元年であり、JPQR元年だ。非常に象徴的なこれら情報通信環境の整備に取り組んでいきたい」

写真8 8月1日から6カ月間に渡る普及事業がスタートする

 

 

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多田羅 政和 / Masakazu Tatara

電子決済マガジン編集長。新しい電子決済サービスが登場すると自分で試してみたくなるタイプ。日々の支払いではできるだけ現金を使わないように心掛けています。

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